第五試練03
「にゃー、すっきりしたにゃー」
担いできた男をそこら辺におき、すっきりした表情のニャルコが、帰ってきた。
ニャルコの苦手な極寒での戦いだったで少しは心配していたが、がどうやら杞憂だったみたいだな。
相手に実力がないのは端から見てわかっていたし、ニャルコのスピードについていけないだろうとは御影も思っていたが、寒さで動けない可能性もあった。
御影と同じように、我慢対決なら高い確率でニャルコは負けているが、戦闘だったのが項をそうした形だ。
これで蓮のパーティーはライフルが二になった。
もう一人の人物は一巡目でだしたので、必然的に蓮になる。
「こちら側は僕です。対戦相手は貴方を指名します」
蓮が指さしたのは、花パーティーのギルド派の一人。元同派閥対決だ。
「第八試合は普通の戦闘です。条件は特にありません。普通に殺すか気絶させるか参ったと言わせれば勝ちです。受けますか、辞退しますか」
男は蓮を睨みつけ。
「受けます」
そう答えた。
男は序列十九位、蓮がいれば出場しなかった人物だ。その事はいい。元々蓮の代わりに率先して自分が出るつもりだった。
男が許せないのは蓮がクラブ派を裏切ったことだ。
蓮と団はクラブ派の人間にとって憧れの存在だった。二人を慕って入ったものも多い。男もその中の一人だ
闘の団に、魔の蓮。戦闘科にはもう一人化け物がいるが変わった人物で、何より団は熱血漢の兄貴肌で、戦闘科では人気があった。蓮は魔法科のトップで、理性的で、本人に言ったら怒るが何よりその愛くるしい、小さくても精一杯胸を張っている姿は、どこかほっこりする。
しかし、今のクラブ派は見る影もない。
ディーノ、清音、雫、蓮を初め有力な人物が抜け、団も天音の言いなり。そんな派閥に誰だっていたくない。結構な人数がいなくなった。
それでも俺とあいつがここに残ったのは蓮への憎しみだった。
何で貴族はなんかに行ったのだと。
このフェイルゲームにでるのは分かっていたので、天音の思惑通りに行くのは癪だったが、出ることにした。
途中、迫り来る死を目の前に、生に縋って見苦しい場面もあったが、何とか自分の中で結論を出した。
一つの心残り。それが分かるまで死んでも死にきれない。
試合場に入る。
二人とも無言だ。
気持ち悪いぐらいの静寂。
「3、2、1、スタートです」
始まっても両者動こうとはしない。
「どうして、蓮さんは、団さんの元から、クラブ派から離れていったのですか。絶対に離れるべきじゃなかった。団さんには蓮さんが必要なんです。それなのに!!」
持っていた斧を振り上げ、蓮に当たる寸前でぴたりと止める。蓮は微動だにしなかった。
「何で何もいってくれないんですか。俺もあいつも答えが知りたくてここに来たのに。あんたのせいで、俺とあいつの人生ここで終わりだぁ!!!どうしてくれんだよぉ、まだやりたいこともたくさんあったぁ、そこそこの冒険者になって結婚して、子供が産まれて、年を取って、どうしてくれんだよぉ!なぁ!」
男は斧を落とし地面にうずくまる。
「ちくしょーちくしょー」
実力もなにも関係ない。心が折れてしまった者は赤子と同じだ。
それを見て、連は目を閉じ、明後日の方を見つめる。
「すまないと思っています。おまえ達を巻き込んでしまったことに。御影や別格のパーティーがいなければこの命で償っていました。僕もこの命は諦めている。確かな情報筋から、天音の『誘惑』魔法によって団は操られている事が分かりました。解く鍵はそれを上回るほどの精神力。ただ瞬間だけでもいい、それを解く気持ちが団の内から出れば解けるそうです。だからこの命を使って少しでも、団の気持ちに届けばいいと思い、ここに来ました。だからまだ死ねません」
それは偽ざる蓮の気持ち。
変わってなかった。裏切ったわけではなかった。
ああそっか。あの小さくてかっこいい蓮さんのままだ。
横を見ればあいつがいた。答えが見つかったかのようにやけにすっきりしていた。
「ギブアップします」
答えは見つかった。最後まで見れないかもしれないけど、俺の気持ち蓮さんに託します。天音に一泡ふかしてください。