第五試練01
指名されたのは中堅パーティーの一人。
指名された瞬間失神しそうなほど、顔が白くなる。
正面画面がデジタルリールに切り替わり、リールが回る。
「第一試合は五感欠如試合です。五感全てを失った状態で戦ってもらいます。尚、第五試練を通過できるパーティーは二パーティーです。それでは辞退しますか、受けて立ちますか」
「辞退します」
か細く、吹けば飛ぶような小さな声で答える。
「つまらんじゃりじゃ」
そうなることが分かっていたかのように、女は退屈そうに言う。
これで中堅パーティーのライフルは一、後が無くなった。
「第二通過者パーティーは複数いますので第三試練の貢献度順となります。それでは選択してください」
御影に光が当たる。
「出るのは俺だ、選択するのは」
御影が指さしたのは破滅の十二人で四十代の男。
選んだ理由は、破滅の十二人の人数を削る事と、実力を見たかった。
「第二試合は灼熱試合です。気と魔法、殺しは不可です。熱さ五十度の鉄板の上での我慢比べです。時間が経つにつれ温度は増します。気絶したり異常が見られた方が負けになります。辞退しますか受けますか」
指名された男は、女に伺いをたてて、うなずいたのを確認して。
「受けて立つ」
そう言った。
「それでは選手の方は移動してください。
扉が開き、御影は。
「行ってくる」
「おっちゃんがんびゃれ」
「絶対勝てよな」
「にゃー、頑張ってにゃー」
「影さん、こっちは任せてくださいっす」
仲間からの激励を背に、入っていく。
扉は閉まらず、他の人達も見えるようだ。
中は柔道場ぐらいの広さ。
中央付近に、五人ほどが座れるぐらいの大きな鉄板があった。
「二人が座った後、十秒後にスタートします」
両者はさして躊躇することもなく座る。
「それでは、第二試合、灼熱、スタートします」
十度、二十度とどんどんと温度が上がる、
しかし御影は平然としておりそれは相手も同じだ。
「何処の直属部隊だ」
返答は返ってくるとは御影は思ってないが、とりあえず尋ねた。
男は御影を一瞥して、正面を向く。
「Ⅸの選抜試験か」
御影は憶測を口にする。
Ⅵ、Ⅺ、でないのは分かっていた。この前の事件で、Ⅸは空位になっていたはずだ。
Ⅺからの情報で近く選抜試験を行うと聞いていた。
最終候補者は二名、試験内容はⅪも知らなかったが、Ⅵが口出ししているとの情報だ。
だったら、高い確率でここに送り込まれると思っていた。
男は顔色を変える。まさかそこまで知られているとは思ってなかった。
御影の行った通り、我が主は最終候補者二名に選ばれた。
そして、主の試験内容は特殊ダンジョン『蟲毒』をクリアすることだ。
簡単だと思っていた。最後にして一番簡単な試験だと。
今回でた欠員番号に対し、エントリーは五十名に上った。数年ぶりの幹部交代。他の幹部直属部隊の人間も参加していた。
内、適合試験通過者は二十名。そこからさらに絞って二名になった。
主に従う人間は五十名はいたが、今はここにいる四名のみ。
先ほど一人減って三名。消えた者は『内通者』と噂されていたものだ。
主は面白がって残していたが、興味は御影に移ったらしい。
Ⅸを破った男。Ⅸは意味嫌われる存在だが、実力だけは本物だった。
それを軽くあしらった。危険だ。
我が主の実力は疑っていない。幹部達と何ら遜色はない。
しかし、どっちが勝つか、分からない。だけど壮絶は戦いになることだけは確かだった。
そうなる前に俺が。
すでに温度は百度に達していた。
化け物か。
すでに足の感覚がない。
焼ける焼ける焼ける。
激痛で意識が遠のきそうだ。
しかし敵は、何一つ表情が変わっていない。まるで何とでもないかのように。破滅の十二人に入ると、定期的に拷問の類を一通りうける。苦痛耐性は常人より遙かに上回る。
すみません。
百五十度、とうとう体が耐えきれず、意識を失った。
御影の勝利だ。
「第二試合、チーム二の勝利です。チーム一はライフルを一つ失います」