第二試練06(新垣蓮サイド01)
学園でモニターを観察している人物たちは三者三様だ。
まずは学園長派の天音と学園長。ひとまずほっとした表情をしていた。
第Ⅶの部屋に行ったときは肝を冷やしたが、どうやら例のことを頼んだ娘がやってくれたようだった。
やってくれるかどうか半々だった。人間とは自分の命が可愛い。直前になってビビったり、我が身可愛さに逃げだしたり。だから半々だ。
本当なら『魅了』してから送り出したかったところだが、ガードが堅く決行できなかった。
とりあえず一安心ですね。
しかし一人減って四人となった。
あちらは・・・・・・。
ほんとにしょうがない奴だぞ。
舞先生は珍しく、敵がいる中、心底楽しそうに笑う、
御影達が映っているモニター。今は食事の真っ最中。Ⅶ部屋の『グランデシャーク』第Ⅷ部屋の『シャドーウルフ』、第Ⅵ部屋の『ハロウィンマッシュルーム』、『ダイアダケ』、第Ⅴ部屋の『モーモー』。御影が亜空庫から取り出したバーベキューセットでお祭り騒ぎだ。
その光景を見て、天音は唖然とする。
天音も一年前参加したとき第Ⅶ部屋に行った。
同じように、仲間を犠牲にしたクリアした。
グランデシャークはランク四十五だが水中戦ではランクが十以上跳ね上がり、深海では無類の強さを誇る。今の天音でも一人で勝てるかどうかわからない。
なのに。
ぎりっと天音は歯を食いしばる。
誰も怪我をしている様子もない。子供二人はおいしく頬張り、御影達三人も疲れた様子もない。
あのグランデシャークが、あの強敵のグランデシャークが、彼らにしてみればただの食料だ。
驚きすぎて笑えてくる。
しかし、戦力だけで勝てるとは必ずしもいえない。
そういう意味では、一人の犠牲でよかったと天音は思う。二人以上なら諦めなければいけなかった。
私なら、第Ⅶ部屋を選択せずに敵の意図を理解して、一回目でⅥの部屋を選択していましたが、まぁいいでしょう、用意した『助っ人』もまだいますしね。
そして、天音は、教会派と貴族派の方を見る。
あちらは深刻な顔つきでモニターを見ていた。
何故なら残り一時間の段階で未だに三チームが横並びの状態だった。
残り一時間。蓮は焦っていた。
今の玉の内訳は。
蓮パーティー(生存人数5人):玉七個(ⅠとⅥの部屋クリア)
第一パーティー(生存人数5人):玉七個(ⅡとⅤの部屋クリア)
第二パーティー玉七個(生存人数4人):玉七個(ⅢとⅣの部屋クリア)
第三パーティ(生存人数0人):第Ⅷ部屋クリア失敗
同点で同玉一位が三チーム又は同玉二位だった場合、両方とも落ちる。
つまりここの部屋は、ⅦかⅧをクリアしない限り全チームが第二試練で落ちる。
しかしどのチームも動こうとしない。何故なら、全滅を狙っているからだ。
ⅦもⅧも高難度だ。全滅する可能性は大いにある。チームが全滅した場合、玉は消失する。つまり残りのチームが第二試練を突破できる。
膠着状態は続き、とうとう一時間を切った。
この部屋も花達と同じ様な契約をした。
そして、花のパーティーと同じ選択順番。
違うのは、契約四は蓮が拒否し一回目Ⅵの部屋を選択したことだ。それで第一が一回目Ⅴ二回目Ⅱ、第二が一回目Ⅳ、二回目Ⅲ、第三が一位通過を狙ってⅧを選び散っていった。
部屋が残った場合は、自由に移動していいのだが、彫像のように動かない。
できることなら、このままどこかが全滅してくれた方がいいのが本音だ。
しかしこのままじゃ埒があかない。
でもⅦ部屋はリスクが高すぎる。蓮は後衛のためグランデシャークとの戦闘では一番危険だ。それに助っ人は分からないが、前衛が倒せるとは思えない。
Ⅷ部屋はもっと駄目だ。光魔法を使えば蓮自体は戦えることはできるが、罠エリアを突破する事は難しく、他のメンバーはシャドーウルフの餌食にされる。
花達がクリアした戦法で第Ⅶ部屋はクリアできるが、このパーティーでは無理だと蓮は判断している。
時間は残り三十分を切った。