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第二試練05(由良木花サイド02)


 ある意味、Ⅷの『暗黒の間』よりも難しいとされる部屋。


 Ⅶの部屋は『水の間』。


 入った所に書かれている文章は『底にあるボタンを押してください』


 奥にプールがある。水深五十メートル。水は底まで見えない。


 天音から教えてもらった『水の間』のポイントは五つ。

 水深十メートルでランク三十、ピラニアより二倍ほど大きな魔物『ピラッニア』が大量にいる。


 水深二十メートルで電解水とランク三十五、電気ウナギをより高電流化した魔物『デルタナギ』


 水深三十メートル、墨で黒い水となり見えない。


 イカの魔物ではなく、もっと凶悪な魔物、ランク四十、一体だけだが水の中ではシャドーウルフが束になっても適わない、普通の鮫より三倍ほどでかく、二倍ほど俊敏で、カバより顎が強く、鉄をも砕く歯『グランデシャーク』


 水深四十メートル、そこからは、気と魔法不可エリアだ。水圧と鼓膜への衝撃がおそう。


 そして最後のポイントが待ち受けている。


 全員が水着姿で武器を持っている。装備を来た状態で水深四十メートルの不可エリアに挑むなど正気の沙汰だ。


 ふぅーと花は息を吐く。


 助っ人は、中衛だ。実力はこの中では真ん中。隊列は、先頭は花で二番目はクラブ派前衛、三番目は助っ人、四番目はクラブ派後衛五番目は学園長派後衛。


 顔を魔法の空気膜で覆い、タイミングを合わせ、


 潜る。



 潜水は、一ヶ月近く練習し、この前海に行ったときも、実戦練習していた。


 おかけで、陸と変わらずに滑らかに動ける。


 空気膜は、五分維持でき四十メートルからはおそらく三十秒も保たないだろう。


 瞬く間に十メートルに到達し、ピラッニアゾーンまできた。


「冬虫夏草」


 花は針を投げ、殲滅しながら進む。


 内部から破壊されたピラッニア達がぷかぷかと浮かぶ。


 他のメンバー達も、危なげなく、打ちもらしを撃退しながら後を追う。


 続いて、二十メートルエリア。デルタナギエリアの前に立ち止まる。


 ここはある魔法を使うことができれば一番簡単なエリアだ。


 クラブ派と学園長派の魔法使いが純水を魔法で作り出し、一人毎に全体を覆い、モンスターを倒すことなくさっさと進む。


 三十メートルのグランデシャークゾーン前まで到達する。ここが難敵だ。


 天音を交えて話し合った作戦でも成功率は五割といったところだ。


 デルタウナギゾーンまではほぼ百パーセント、この先のゾーンも七割ほどある。


 犠牲前提なら百パーセントだが、それは考えないようにしている。


 花は後ろを向き、頷く。


 天音様、私に力を、勇気を。


 目を見開き、進む。真っ暗闇で、深海を潜っているみたいだ。平衡感覚が分からなくなる。どっちを進めばいいか。


 しかし、魔法で光を出せば一発でグランデシャークにばれてしまう。


 花の実力では、クランデシャークの皮膚を針で貫通されることができない。口からだと体内に進入させることはできるが、技の完成前に攻撃を受けてしまうリスクがある。花が避けても、仲間に。


 見つかるか見つからないかは賭けだ。


 エリアを抜ける時間は五秒、そこからすぐに不可エリアだ。後ろを振り返る時間はない。


 光が見えた。花は大きく息を吸い込む。


 よかった。


 シャークエリアを抜けて、花は思う。


 気付かれずに通過できるかは胆だった。


 つっ!


 ビーンという音。水圧と鼓膜への衝撃が花を襲う。


 これぐらい。


 前へ前へ。


 息が苦しい、肺が酸素をほしがっている。


 ゴーグルはしていない。水圧で割れるからだ。


 視界が赤く染まる。しかし泳ぎを止めない。


 ボタンが目前へと迫る。


 残り三メートル。


 私がぁ、必ず!!!


 残り一メートル


 最後の罠。


『反転世界』が挑戦者達を待ち受ける。


 落ちる。


 水がなくなり、空から落ちる感覚だ。


 でも!


 花は針を投げる。


 カチンと音が鳴る。


 私達の勝ちです。底が普通のプールのサイズになる。


『水の間をクリアしました。玉をお取りください』


 そして花は後ろを振り返る。残酷な結末を。


 分かってなかった。


 そんな都合がいいことは存在しない。何故グランデシャークが花を襲わなかったのかを。









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