第二試練02
中に入ると、かなり大きなスペースだった。
大体闘技場と同じぐらいのスペース。
そして、部屋が八つあり、扉の上には番号が書かれている。おそらくなにかしらの試練があるのだろうと御影は思う。
「第二試練は、部屋取りゲームです。各部屋には玉があります。その玉を多く集めた二チームが先に進めます。各部屋には試練があり、その試練をクリアしなければ玉は貰えません。制限時間は三時間です。それではスタートです」
他のパーティーは一斉にスタートしたが、御影達は止まったままだ。
「いかなくていいのぉ~」
「早く行かないと取られるぜ」
子供二人はあたふたしているが、御影は頭を撫で落ち着かせる。
「大丈夫だ時期に分かる」
御影の視線は第二試練クリア人数と残り人数の所に向けられていた。
第二試練クリア人数:十五人残り人数:四十六人。
まず最初に思ったのはクリア人数だ。おそらく破滅の十二人と同じ部屋の人間は殺されたのだろう。一番簡単で短時間で突破できる方法だ。他のパーティーを全員殺した後、一つの部屋をクリアすれば、それで試練を突破できる。何故始まる前から御影が二つのパーティーがクリアできると思ったのか、それは残りの十人だ。
おそらく実力者達のパーティーとそこそこのパーティーが一緒の部屋で、全部屋の部屋取りが終わったのだろう。
だからそういう風に思った。
次に着目したのが残り人数。五パーティーが脱落して七十五人。仮に第一試練の最後に見た、亡くなった人数八人全員が第二試練挑戦中の人数だとしても六十七人。人数が減りすぎている。おそらく八つの部屋にも難易度があり。
各部屋から断末魔があがる。
『外れ』を引いたら、そこらの冒険者じゃクリアするのは難しい。
我先にと、後先考えず人数を分散して部屋に飛び込んだのは悪手だ。
部屋から出てきたのは三人。『Ⅰ』と『Ⅱ』の部屋だ。
「まずは俺一人でいく、ロッポとデールを守ってくれ」
「心配してないっすけど、私もやりたいので残しといてくださいっすね」
「うちもやりたいにゃー」
「二つの部屋をクリアしたら戻ってくる」
「おじゅちゃんぎゃんばれぇ~」
「早く帰ってこいよな」
デールはぶんぶんと手を振り、ロッポは照れくさそうにそう言う。
御影は小さく笑い、手を振り声援に返す。
御影は『Ⅲ』の部屋に入った。
キンと音が鳴る。瞬間的に気と防御魔法で防ぐ。先に入った人物は、耳から血を流し、気絶していた。
御影はそれをちらりと見て、前方を見る。
『音響の間、様々の音から身を守り、ボタンまで到達せよ』
縦長で二十メートルほど、奥に進むにつれて、なにかしらあるのだろう。
御影は気にせず進む。
モスキート音、黒板を引っかいたような音、そして音波が大音量で鳴っている。
耳を保護しているので、不快なだけで問題はない。
こんなもんかな。
残り五メートル。
ここまできた人物を扉側まで吹っ飛ばして爆音波でも吹っ飛ばず、同じ速度で歩き。
最後は重力波か。
油断したところボタン前で重力波によって、蛙の様に押しつぶされる。
しかし御影は微動だにせず、ボタンを押す。
『音響の間をクリアしました。玉をお取りください』
不快な音が鳴り止み、ボタンがパカリと開き、玉が出てきた。
玉の数は三つ、予想通りだった。
おそらく難易度と玉の数は連動している。誰でも分かるようなことだった。
そう、Ⅰ~Ⅷは難易度順で、玉の数も一~八個。だからこその部屋取りゲーム。一発逆転を狙うもよし、堅実に低難易度の部屋を狙うもよし。
本来なら戦略と戦力を必要とするマスゲームだった。事実五つの内、二つ以外は思惑通りにいっている。
御影達の部屋の他の三パーティーのようにむやみやたらと部屋に挑んだりはしない。
ある所は、話し合いで四パーティーの順番を決め、ある所は、膠着状態が続いていた。
そう言う意味では、幸運なところに入った。
何故なら、勝手に自滅したからだ。
御影はⅢの部屋から出て、Ⅷの部屋に向かった。
最高難度はどのくらいか。御影は楽しみだった。