特殊ダンジョン『蟲毒』
~保健室~
「じゃあ行ってきます」
「私は行きたくないっすけどね」
フェイルゲームの御影のパーティーは、御影と今日子の二人。今回のフェイルゲームは特殊ダンジョンの攻略のため保健室の転移魔法陣を使うためここにきていた。
特殊ダンジョン五。通称「蟲毒」。このダンジョンの特徴は、必ず一つのパーティーは攻略できる。裏を返せば、一つのパーティーしか攻略できない。年に一回しか開かれないダンジョン。この学園だけではなく、各国からかなりの人数が来る。
百人毎にチャンネルが分けられ、最大百人で争う。学園、同じギルド内毎の単位なので、この学園内では、同じ場所になる。
だからフェイルゲームは成立し、必ず他のパーティーは死ぬ。生き残るのは生き残るのは一つのパーティーのみだ。だからこそこどくといわれている。
パーティー人数はそのときに決まる。最少人数二人、最大人数六人。
だから御影達は、最少人数でいくことにした。御影は確定として、パートナーは公平にジャンケンで決め、一番やる気がない今日子に決まった。
「まぁ、御影なら心配はないと思うが、『何』があるかわからない、だから気をつけるんだぞ」
フェイルゲームに確定しているパーティーは御影達の他に三つ。貴族派教会派連合パーティー、クラブ派学園長派連合パーティー、そして破滅の十二人。
懸念材料はあるが、今考えても仕方がない。
御影は軽く頷き、二人は転移魔法陣の中に入った。
着いた先は、ダンジョン内とは思えないほどでかい部屋だった。
ダンジョンは、洞窟型で、ダンジョン光があるがこの部屋は大きいため少し薄暗く感じた。
前方には扉があり閉まっている。その上にはタイマーと人数が表示されていて、残り二十一分、人数は八十六人。
御影は少し驚く。何故なら舞先生から人気がない特殊ダンジョンだと聞いていたからだ。
特殊ダンジョンをクリアすると、特有の物がもらえる。このダンジョンでは、その時一番欲しい物だ。抽象的で、実現可能なものが与えられる。
大抵はこの世界の物で、はっきり言って割に合わない。だから百人埋まるのは滅多になく、いいところ毎年三十人~五十人ほどだと聞いていた。
それが八十人以上いて、今尚増えている。
「不穏な空気っすね、それに誰かに見られている」
「まあな、気をつけろよ、何人か実力者がいる」
破滅の十二人か分からないが、かなりの実力者が数人紛れ込んでいた。
今の今日子と同等レベルで、学園生が相手できる人物ではないと御影は感じた。
見れば、大抵は二十代以下だが。中年らしき人物がちらほらといる。
そして残り五分、百人目、最後の一人が現れた。
「くそったれにゃ~~」
その人物は毛を逆撫で大声で文句を言う。
あのときのデジャブ。
「にゃ~御影にゃ~、頼もしいにゃ~」
そう百人目の人物はニャルコだった。
~学園最上階~
五大派閥の面々はすでに集まっていた。
今回は送った時点でできることは終わっており、モニターにはダンジョンが移されていた。
特殊ダンジョンは何故か外部から見られるようになっており、エンターテイナーせいから、人気がある。外部はお祭り気分だが、やっている方はたまったものではない。
中立者で今回のディーラー、執行部隊の初老の男性が時計を確認する。
「お時間となりましたので、誰にメダルを何枚賭けるかを紙に記入してください」
そう、今回のフェイルゲームは誰がクリアするかを賭ける事だ。攻撃側と防御側が一パーティー以上を送り込む。
掛け金は手持ちの半分以上、賭けられるのは自分の送り込んだものだけ。だから、弱い者を送り込んだりはせず、現状で最高の戦力を送り込む。
五人が書き込み、ディーラーが回収する。
そして読み上げる。舞先生以外各派閥が戦慄する驚愕の内容を。