表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
210/238

夜にて14


 天音はシャワーを浴びている。団も花も動揺していた。花まで抜けられると、フェイルゲームは圧倒的な敗北となってしまう。攻撃側にも負け、せっかく稼いだメダルを失ってしまう。


 ここでより一層結びつきを深め、自分に従わせる必要があった。恐怖ではなく崇拝の方向で。


 恐怖で相手を縛った場合、いざというとき綻びができて裏切られる必要がある。


 崇拝されると、裏切る可能性が低く、『自分』の為に死んでくれる。


 幸い、花の感情は理解していた。


 今回は花の望むような行為をした。


 学園長派を勝たせるために。


 今、花は幸せそうに眠っている。


 必要なら、誰にだってこの体を差し出す。天音恥分の容姿を理解していた。友好的な活用方法も。


 だから、生徒会内の覇権争いは天音は気にしていない。いざというときは、使えばいいだけの話だ。


 そうすればたちまち、こちらにつく。この体に溺れ、虜になるらしい。


 貴方は怒るのでしょうね。


 天音が初めて愛した男で、自分がこの手で殺した男。


 思い出すとつらくなるので、天音は他のことを考える。


 破滅の十二人。誰でも知っている犯罪組織。


 キューブ事件は情報担当から詳細を聞いていた。破滅の十二人が関わっているとは知っていたが、まさか幹部が関わっているとは知らなかった。ついさっき、幹部を捕らえたという情報が入った。御影がⅨを無効化したらしい。


 相変わらずの出鱈目な力。


 そして学園内にも幹部が潜伏していると種次は言っていた。頭が痛い話だ、帰ったら学園長と話し合う必要がある。


 そして御影の裏クラブのメンバー。


 今日子、輝義、ニナ、翼。


 なぜこのメンバーが入っているのか、天音が聞いたとき理解できなかった。


 何故なら、全員が御影と敵対していたからだ。


 今日子と輝義は七月のフェイルゲームで、翼とニナはキューブ事件で。


 ニナは公式には死んだ事になっている。ニナは犯罪者でもし御影が匿っていると分かれば、罪は免れない。そこをつけばいいかと思うが、それは得策ではないと天音は思う。


 花や団はそうするべきだと言っていたが、天音が説き伏せた。


 理由は三つある。


 一つは証拠だ。種次の説明だけじゃ、証拠として弱すぎる。どこにいるかも分からないし、仮に問いつめるため、クラブの練習場に乗り込んでも、知らないと言われるのがおちだ。その事で舞先生にいらぬ隙を与えるのもあれだ。


 二つ目は御影のコネクションだ。


 御影はいろんな人に注目をされている。


 国々のトップ。事件があったラウンジでは、四つの国のトップがその場にいたという。


 おそらく御影の事を見に来たのだろう。御影の実力をかいま見たに違いない。


 仮に証拠を押さえたとしても、起訴は難しいと判断した。自国のトップもいて、御影に貸しができたとばかりにもみ消されるのが落ちで、自分の心証を悪くするだけで得策ではない。


 そして三つ目は、記憶を消される可能性だ。これが一番可能性が高いと天音は踏んでいる。玲奈の幼なじみの連太郎と同じように。御影は『メモリーブレイク』を使えるので、仮に踏み込んだとして、実力でねじ伏せられ、メモリーブレイクによって、都合の悪い天音達の記憶を消されるのがおちだ。最悪の場合、記憶喪失になるかもしれない。それが天音には恐かった。


 問題は山詰みだ。どれも難題。どうして私が生徒会長の時にこう何個もこんな事が起こるのだろうか。理由は分かっている。


「御影友道」


 憎悪のこもった声で天音は呟く。天音にとって御影は疫病神にうつる。


 何とかして、こちらの陣営に引き込まなければいけませんね。疫病神を仏に変えるために。


 誰かが風呂場に入ってきた。


 その人物が誰か天音は分かっていた。


 その方法は一つだけだ。団にしたことと同じようにすればいい。


 天音は、その人物を招き入れた。





 全ては学園長派、ひいては私のために。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ