夜にて07
御影はⅨを気絶させた後ロープで拘束する。
ホテル全体を探知するが、どうやら敵はいないようだった。
障壁を解除し、ちびっ子達と今日子を呼ぶ。
「おまえ等、又隠れてみていたな」
翼と風花の様子を隠れてみていた五人の光景が御影には想像できる。
「後で説教だからな」
国のトップがいる手前、ここではしないが、海でも注意したのに全く困った奴らだ。
仲間達にかまけている暇はなく、それだけ言って、Ⅸを担いで純一達の所に向かった。
五人はがっくりしながらも、その場に残っている。
逃げたらもっと酷いことになると、身を持って知っているからだ。
さすがはトップだ。すでに動揺はなくなっていた。
「その人物が、今回の主犯ですか」
「おそらくそうだと思います」
Ⅸが被っていた仮面を純一に差し出す。
「おい、もう大丈夫なのかよ」
「気絶させてますし、無力化しています」
若干罰の悪そうな顔で、アルバーンの問いかけにも事も無げに御影は答える。
まるで自分の功績をなんとでもないかのように。
三人の目の色が変わる。
まるでロックオンしたかのように。
「言っておくが、やらないぞ」
舞先生は、アルバーン、マルーン、サーシャの三人に釘を差す。
「え~な~、うちにも欲しいわぁ~。うちと結婚せーへん」
「確か、娘のニャルコと仲良かったよなぁ~。あいつをやるから、俺の元に来い」
「宜しければ私の所にきてくれませんか。最先端の技術を提供できます」
そんなことでとまる三人ではない。
三者三様の誘い文句で、御影を勧誘する。
「すいませんが、『学園生』なので、『まだ』どこにも行く気はないですし、ニャルコとは『友達』なので、結婚する気はないです。サーシャさんのお誘いは嬉しいですが、恐れ多くて自分にはとても」
舞先生との予行練習が活きた形だ。あれから、なにがあっても言いように、立ち回りは質問の受け答えを練習してきた。
先ほどの断りも、予行質問にあった物を少しアレンジした内容だった。
三人は舞先生を見て、引き下がる。
この場で、引き抜けるとは思っておらず、決意表明みたいなものだ。
「今日はこんな事になってしまったが、会えて良かった。後は癒杉さんと交渉にうつるとするよ」
純一はさりげなく、御影がこの場を抜ける口実を与えた。
事実、Ⅸの引き渡しや交渉等々は舞先生に任せるつもりだった。ぼろがでる前に退散しようとも。
本音を言えば仲を深めたかったが、御影が早く帰りたいと分かっていて、心象を悪くしてもあれなので三人も特に不満もなく、御影は純一の好意に甘えて、「失礼いたします」と退席の言葉を言い仲間達を引き連れこの場から去る。
「どういううもりですか」
解せないのは純一の対応だ。さすがは大人の対応だと思うかもしれないが、一つも売り込まないのは消極的すぎる。
なにかしら意図があるかもしれないが、舞先生は分からなかった。
「『我が国』の学園生を守るのは当然のことですよ。それでは、癒杉さんと御影さんのおかげで初の幹部を逮捕する事ができました。誰が最初に『身柄』を確保するか、話し合いといきましょうか」
純一の眼が光った気がした。
「はい、手筈通りにナンバーⅨは撃退され、捕まりました」
ホテルの屋上、とある人物が通信をしていた。
元々、ナンバーⅨを失脚させるための『作戦』だった。
「いえ、被害は軽傷です。どうやら本命に戦力をさきすぎ、ターゲットにたどり着く前に、あちらの戦力に負けた模様です。別働隊は屋上にいた人物にやられました」
破滅の十二人の幹部がやってきたにしてはお粗末な襲撃だった。そこが唯一の誤算だ。
「はい、それは抜かりなくやってます。でわ、これより帰還します」
その人物は通信をきる。
「やはり、御影の敵ではなかった」
その人物、ナンバーⅪはそう呟いた。