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夜にて04


「私、諦めが悪い人間なんです。例え今はそうだとしてもきっと振り向かせて見せます。清音お姉ちゃんのように」


 風花の真摯な想いに、翼はがしがしと頭を掻く。


「わからねぇな、いったい俺のどこがいぃ~んだ。前までは飲んだくれのおじんだったのによぉ~」


 そんな翼に、風花はくすくすと笑う。


「そういうところですよ。それに恋愛に理由なんて必要ないと思います。私は翼さんの事が」


 そこまで風花は言ったが、翼に抱き留められ、飛び退く。


 少し遅れて、そこにナイフが突き刺さった。


 至近距離で二人は頷き合う。それは先ほどまでのうついた空気はない。


 襲撃だった。


 翼はピンとくる。おそらく『破滅の十二人』だろうと。


 各国のトップが三人も集結している。襲えと言っているようなものだ。


 クラブお揃いの指輪から得物を取り出す。


 この指輪は、デジ子が造り、御影が改良した物で、変身機能の他、精神魔法耐性と御影が追加した『アイテムボックス』の三つの機能がある。


 美夜はあの時、無くなる可能性を考えて、外していたのだ。


 御影の心配を二人はしていない。御影なら誰がこようとも撃退するだろうと。


 御影達の予想は当たっていた。ずいぶんと早いが、フェイルゲームが開始しているときだと思ったが、その前だった。


 その理由は、おそらく。











 それは突然だった。


 純一の案内で部屋に移動しようとしたとき。


 照明の明かりが消えた。バリンと窓ガラスが割れる。


 瞬時に御影は障壁の魔法を張る。


 魔法銃の銃声が飛び交う。


 各地で悲鳴が沸き起こり、一瞬にして地獄絵図へと変貌を遂げた。


 銃弾は障壁に当たり拡散する。


 悲鳴や動揺を見せないのは、さすが国のトップだと御影は思う。


 御影は翼同様、破滅の十二人の犯行だと思っているが。学園内にいる人物の犯行だと言われれば、半々だと答える。


 破滅の十二人はテロリストだ。ここに三人もトップがいれば、狙っている人物からすれば、格好のチャンスだ。


 情報はどこからか漏れるものだ。そして今回の犯行になったのだろうと。


 学園にいるⅥが主犯なら、狙いは御影だ。しかしもし違うナンバーなら。


 御影は舞先生と目を合わせる。


「今御影が障壁を張っている。誰か襲われる心当たりはないか。特に破滅の十二人に。それと護衛は何処にいる」


「あっ、そんな堅苦しいの連れてこねっーよ。心当たりならたくさんだ」


「そんなん、数えたらきりないわ。今日はお忍びやから護衛は最小限。この分だとやられてもーたわ」


「私も同じです」


「私もです。心当たりなど考えても仕方がない。護衛は威圧するのも悪いとお思いまして、必要最小限に留めました。それがかえって徒となりましたか。ここからどうするべきか考えましょう。まず敵は何人いますか」


 純一は、御影に質問する。


「敵は三十六名だ。銃を持っているのが前方の十二人、後方五人、ナイフを持って、こっちに向かってきてるのが前方から十人、後方から五人、そして奥に三人の別格の力を持っている者に」


 御影は近くにいたきゅうにんを指弾で頭に衝撃をおくり昏倒させる。


「この紛れ込んだ敵の一名です」


 それを興味深げに聞く四人に舞先生は内心で舌打ちする。


 緊急時で仕方ないこととはいえ、御影の有用性がばれてしまった。


 報告で聞くのと、実際見るのとでは全く違う。


 命の危険に晒されながらも、試しているのだ。御影の実力を。


「素晴らしい、仮に破滅の十二人と仮定して、どのクラスだと思うのですか」


 実際対戦したナンバーⅪとの実力を比較する。


「おそらく二人は直属部隊、そして一人はナンバーズです」


 さらりと言った御影の言葉にサーシャはこの世の終わりのような顔つきとなり、アルバーンは尻尾をぶるっとさせ、震えていた。マルーンは口に手を当て、目を見開き呆然としており、純一は顔にはでてないものの、汗がにじみ出て手が少し震えていた。




 それもそのはず、それは『死刑宣告』に等しい名前だからだった。







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