夜にて01
肉や海鮮等のBBQの食材は岬が手配してくれた。
コテージにあるグリルセットを屋外に設置し、好きな物を串に刺し、おもいおもいに焼く。
人によって特色が違う。
ニャルコは海鮮系を中心に、カティナは肉中心、玲奈はバランス良く綺麗に刺し、シンリィは雑多に刺している。
御影は鉄板で焼きそばを焼いていた。
海鮮焼きそばと豚焼きそばの二種類。
ソースは魔法を使った熟成物。
御影のオリジナル魔法で、生活魔法を応用したものだ。
御影は異世界で日本のものを食べたかった。どうせならとおいしい物を食べたくて追求した結果だ。
確かにお盆の魔道具でおいしい物が食べれるが味気ない。
良い匂いが辺り一面に漂う。
ニャルコやプゥやシンリィなんかは今か今かと待っている。
今日子や水流も虎視眈々と狙っている。
俺の分はないかな。
焼きながら御影はそう思った。
結局、最初の方は、焼きに徹し、焼きそばだけでなく、クレープや焼きアイスなんかも振る舞った。
ちびっ子達が腹一杯になった頃から、ちょくちょくと食べ始める。
お酒はなしだ。舞先生や岬、翼も飲んでいない。
BBQでのビールは最高に旨いが、自制はできている。
そのかわりホテルに帰ったら飲むつもりだった。
二時間ほどの夕食も終わり、コテージの退去時間となったので、片づけしお開きとなる。
「バイバイにゃー、絶対に会いに行くにゃー」
「じゃあな」
「ば、み、ぜ(ばいばいにゃーちゃん。絶対会おうねぇ~)」
「絶対じゃぞぉ~」
「絶対でじよ」
「約束」
御影と、今日一日でニャルコと随分と仲良くなったちびっ子達は、ニャルコとお別れする。
さすがにホテルまで来るのは無理で、ここでお別れとなった。
ホテルに帰り、さんざん遊んだちびっ子達は、眠たそうにしており、早々にお開きとなった。
岬、御影、翼、舞先生の四人はホテルのラウンジに向かう。ここからは大人の時間だ。
ラウンジは最上階にある。
岬が予約していたため、すんなりと入れた。
一杯目は『とりあえず生』だ。
「今日は一日お疲れさん。今から飲むぞ」
御影の乾杯の音頭で四人は杯を傾ける。
酒が体に染み渡る。
学園内ではあまり飲む機会はなかった。
ディーノと飲んだ一杯が久しぶりの酒だ。
スラムで飲んでも良かったのだが、やる事がたくさんあったので先送りにしていた。
上品な苦みと、抜群のどごしが、御影を出迎える。至福の一時だ。
ここのビールは、地ビールで、ラウンジ限定のオリジナル。値は張るが、品評会でも金賞を受賞する、有名はビールだ。
二杯三杯と立て続けに飲む。
他の皆もペースは速い。ここまで我慢したのだ。飲まなきゃやってやれない。
五杯飲んでようやく一息つき、話題は翼の事だ。
「今日一日風花と一緒だったみたいだけど、どうなんだ」
御影の問いかけに、翼がむせる。まさか御影から聞かれるとは思ってなかった。
「私も知りたいぞ」
「私も」
舞先生と岬も同意する。最初の酒のつまみは翼の恋愛話だった。
「あーその、確かに楽しかったですよ。でも風花はなんていぅーか、俺の感覚では弟弟子みたいな感じですよ。俺には一切その気はないですよ。可愛いですし、慕ってくれて嬉しいって思うんですけどね」
翼は風花と付き合う気はない。いくら雫が焚きつけ風花からアタックされたとしても、弟弟子以上の感情はない。
「俺なんかより、若くていぃl男なんていっぱいいますよ」
「それは後ろに聞くのが一番じゃないのか」
これは御影からのアシスト。御影から見れば、お似合いに見えた。
翼はいい奴だ。体感時間で何年も一緒にいて御影もそう感じていた。そして恋愛に臆病なところも。
風花は一見大人しそうだが芯がある。きっと、翼をぐいぐいと引っ張ってくれるだろう。ディーノと清音の関係みたいに
後ろを見なくてもわかる。
そりゃないっすよといった表情の翼が二人組に連れてかれた。




