海にて16~最高級エリア07~
着いた時には美夜は既に起きており、傷も舞先生が治しており、外傷は全く見えない。
良かった。
とりあえず上手くいったみたいだ。
上機嫌の舞先生の表情から、御影はそう判断する。
ちびっ子五人組は誰もいないプールに突撃し、雫と風花と翼はプールサイドで涼み、玲奈とカティナは、事情を聞くため御影と一緒に舞先生の所に向かった。
天音達を見たとき、玲奈は驚いた。まさかここにいるとは思っていなかった。
玲奈から見た天音はいつも忙しいイメージで、ここにくる時間なんてないはずだ。完璧超人で非効率的な事を嫌う。
だから理由が知りたかった。既に玲奈は学園長派や天音のクラブから離れ、部外者になったが、どうしてここにいるのかを。
「無事だったみたいですね。美夜は大丈夫か、なにがあった?」
「ごめん、師匠。生徒会長達に囲まれて太刀打ちできなかった。癒杉先生がこなかったらどうなっていたことか」
反省している美夜を見て、じと目で御影は舞先生を見るが、舞先生はしれっとしていた。
美夜が攻撃される前からいた事は言ってないのだろう。
仕方ないな全く。御影が言ったところでしらばっくれるだろう。
「天音さん達はなぜ来たのでしょうか」
玲奈が疑問を口にする。
「分からない、突然囲まれて襲われたから」
「私は知らないぞ」
天音と対峙した二人はそう口にする。
「わたたたし、が知っているるすよ。なんででもクラブ派と学園長派の結束を高めるためと、書記さんの発案だったらしいいよ。書記さんは今度どんどの『フェイルゲーム』に参加するららしく、生徒会長との思いで作りとして来たみたいすすよ」
いつの間にか現れた今日子が、メモ帳片手に話す。
カティナと玲奈は驚いて、びくっとなるが、舞先生と御影は気付いていたため、驚いた様子はない。
ようやく、御影にも見えてきた。玲奈達も納得したような表情だ。
おそらく美夜を襲ったのは突発的事だろう。
クラブ派と学園長派の関係はここ最近悪化している。クラブ派トップ代理の団と関係を修復し、今回の『フェイルゲーム』以降もいい関係を気付きたいのだろう。
そしてたまたま美夜を見つけて反抗に及んだ。こんな所だろう。
突貫だったとはいえ、あまりにもお粗末な作戦だったと御影は思う。
美夜一人で来ているわけでわない。当然御影も来てるし舞先生も来ていると思うのが普通だろう。生徒会長の天音がそこまで考えてないとは思えない。
なら何故こんな事をしたのか。
「信じられませんね。天音さんがこんな短絡的な犯行に及んだことが」
御影の疑問を玲奈が代弁する。玲奈にとっても信じられなかった。玲奈が知っている天音なら、絶対にやっていない。これじゃあまるで一昔前の自分のようだと。
「それほど、御影が怖いのだよ。仲間になれば分からないが敵からしてみたら、これほど不気味な人物はいない。武力なら適わないからなのだよ。考えてもみてくれたまえ、今までの起こった事件から実力を鑑み、おそらく生徒会長は自分よりも強いと思っているのだろう。絡めても真っ正面からでもことごとく潰される。キューブ事件は生徒会長にとってもチャンスだったが、それも無事終わり、絶対に勝たなければならない、次の『フェイルゲーム』に御影が参加すると仮定してシュミレーションした結果、勝率は絶望的だった。クラブ派学園長派連合は選定もままならない状況。生徒会長の精神もすり減っていたのだよ。短絡的反抗に及ぶぐらいにね」
近くにいた種次が自分なりの推論を言う。生徒会内のパワーバランスや一の躍進は言わないままに。
そんな種次を、意味深な目で玲奈は見ていた。
「舞先生はどういう契約をしたんですが」
確信を持って、御影は言う。
なにもせず天音達を返すなどあり得ないからだ。
「憂いを断ったということだけ教えておくぞ。話はこれで終わりだ。ここは、後一時間ほど『貸し切り』らしいから、好きに遊ぶといいぞ」
悪戯な笑みで舞先生は話を締めた。