海にて15~最高級エリア06~
すいません。遅れました(__)
「そうだな。フェイルゲームまでこちら側に危害を加えないこと。こちら側に不利となる契約をしないこと。もちろん契約主もだ。ここにいる全員にサインしてもらうぞ」
代償は高くついた。もし御影がフェイルゲームに参加するなら、フェリスと契約するつもりだった。
がめついフェリスと交渉するのは大きく足元見られふっかけられるが、御影が参加するよりましだと天音は思っていた。
その手段が潰された。
おそらくここで、魔法契約書をかわすのだろう。
偽証は無理だ。フェリスと交渉した途端、バンだ。
目の前の人参にぶら下がって、安易にはしってしまった結果。
天音らしからぬミスだ。美夜がいるなら、御影や舞先生がいると分かっていたはずだ。
なんたる失態。
いつもの天音なら、そのリスクは分かっていたはずだ。
それほど御影の危険性と余裕がなくなっている。
「分かりました。他には」
まだ続きがありそうだったので、天音は促す。
「いや、それだけでいいぞ。クラブや派閥の人間や他の派閥に話を持ち込むのもなしだぞ」
なにやら含みがありそうに舞先生はいい。魔法契約書に三人はサインする。
これでクラブ派から経由しての作戦も。他の人物を使っての作戦も潰された。
天音が知っていた時点でNGだ。
「このクラブだけ注目していいのか」
「教会派と貴族派の対策は既にすんでいます」
ここに用はないと言わんばかりに言葉少なに天音達は撤収しようとしていた。
「やはり貴様達の目は曇っているようだな。そんなんじゃ、私達と戦う前に足下を掬われるぞ」
それは実質、言っているようなものだった。
舞先生自身そのぐらいなら言ってもいいと思っていた。いらぬ労力を使わずにすんだせめてもの対価だ。
既に学園の派閥達を敵にしていない。対策はしているが、本命はもっと大きな敵だ。
それを学園長派やクラブ派は見えていない。
ディーノや清音が言っていると思っていたが、案外義理堅い。
おそらく舞先生の派閥に不利益になると思ったか、言った所で、いらぬ不安を与えるか、どちらかだろう。
ディーノ達にとってみれば学園よりもギルドの方が大事なのだ。
たとえギルド長をやめたとしても。
それに現在はクラブ派の長も責任をとってやめており、暫定で団がトップに立っている。
トップのディーノが辞め、二位の清音は辞退し、三位の隼人は捕まり、他の者も復興に忙しく、学園にかまけてる暇はなかった。
団は実直で、『学園生』の中ではトップクラスの実力を誇り、リーダーシップもありカリスマも併せ持っているが、海千山千の猛者を相手にするのは経験が足りない。
事実、頑張ってはいるが、今回学園長派に契約書片手に迫られうまく丸め込まれ、フェイルゲームの人員の派遣と協力関係を約束させられた。
頭の回転や思慮深さは天音の方が上で、まだ、クラブは全部を掌握できておらず、二~三人の選考にも頭を悩ましている。
去っていく三人が遠くに行き誰も居なくなったと確認してから、美夜の治療をし、舞先生は、向かっているであろう御影を待った。
どうやら収まったみたいだな。
美夜と舞先生の元から去っていく天音達を気配で確認し、安心する。
不測の事態も想定して、皆と話しながら色々と考えていたが、無事にすんで良かったと御影は思う。
瞬時に行ける範囲ないではあったが、舞先生の気配が近くにあり、そこから動かなかったことから、何かするのでわないかと思い、警戒だけに留めた。
立場や交渉事は舞先生の方が一段も二段も上なので、御影が任せた形だ。
「プールサイドに舞先生や美夜がいるみたいだ。合流しよう」
全員が賛成する。
本来ニャルコは三つ星ホテルのため入れなかったが、権限を利用し、一緒に来ている。
途中で天音達とすれ違ったが、両者とも何も言わなかった。
 




