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海にて12~最高級エリア03~


 美夜はプールで顔だけを出しプカプカと浮かんでいた。


 美夜はみんなで騒がしくするのも好きだが、静かな時を過ごすのもまた好きだ。


 海で泳ぐのは好きじゃなかった。良い思い出がない。


 昔、海で溺れかけたことがあった。母親が夏の期間リゾートホテルで踊り子の依頼があったとき、小学生の美夜は、足の届かないところまで行き、パニックに陥ってしまい、死にそうになった。


 直ぐに、見回りの人がきて助けてくれたが、それ以来、海では泳げなくなった。


 それに海には変な人もいる。


 昔、何度知らないおじさんに声をかけられ連れ去られそうになったことか。


 部屋に閉じこもっていても良かったが、小学生だったので遊びたい盛りだ。それは酷というものだ。


 プゥ達に誘われたが断り、最高級エリアのプールにいる。


 最高級エリアは、熟練の冒険者達や専属の凄腕冒険者達が目を光らせ、コンシュルジュやメイドも戦闘経験があるもので、事件や事故はゼロだ。


 そんな静かな時間を邪魔するものが現れた。


 溜息を一つ吐きプールから出る。


 備え付けで常備されているバスタオルで拭き、相手の方に向く。


「なにかよう、生徒会長さん」


 待っていたのは三人の人物。


 生徒会長の天音、クラブ連合の長五条団、そして生徒会書記の由良木花。


 団は、額から顎にかけて、顔にクロスする傷があり、そのせいで、一般人との初見は怖がられる。


 体は彫刻の様に筋肉がくっきりとわかれていて美しい。


 今は薄手のパーカーを着ており、自慢の筋肉は見せていない。


 花は家庭教師がつけるような眼鏡を着け、紙はお団子にして纏めている。


 冷徹そうな顔立ちで、目も少し吊り目、秘書が欲に会うといった感じだ。


 体つきは出るところは出て、引っ込むところは引っ込む、抜群のプロポーションだ。


 それでも二人は天音の前では霞む。美夜や玲奈すらも。


 女神もかくやの圧倒的な美ボディ、完璧な黄金比


 でできた体に、トップ女優顔負けの顔。


 天は二物を与えないというが、まさに与えられた存在。


 そして歴代の生徒会長の中でも五本の指に入るほどのやり手だ。


 目的のためなら手段を選ばない。


 学園長の指示に従っていたが、後手に回り、今回は確実に成功しなければならないので、自分の考えで動き出した。


 ここに来たのは、冷え切ったクラブ派と親交を深め次なるフェイルゲームに備えるためと、そこに参加する花のたっての希望だ。


 そして、偶然だった。御影のクラブのメンバーを見かけた。


 頭の中で計算し、一人でいるメンバーに狙いを定める。


 念には念を入れ、団に助っ人に来てもらい、狙いを定めたのが。美夜だ。


 逃げられない。


 三人の実力を肌で感じ、美夜はそう思った。


 実力は伸びているが、団や天音にまだ及ばない。


 気付けば、コンシュルジュやメイドの姿、見回りの冒険者すらいない。


 天音が裏から手を回した。


 既に、根回しはすんでおり、天音側の圧倒的有利な体勢だ。


 美夜の手が汗ばむ。


「私が聞きたいのは二つだけです。御影さんがフェイルゲームに参加するのか。参加するならメンバーを教えてください」


 口調は丁寧だが有無を言わせない。


「知らない、師匠もいるから聞けばいい」


 このぐらいなら、御影は言うと思っていた。しかし、美夜の口から言うつもりはなかった。


 御影はフェイルゲームに参加する事は、クラブ皆が知っている。


 御影が誰と参加するのか、一人なのかは知らないが、皆を集めて話した。


 フェイルゲームの存在は、学園内では有名だ。別名『死』のゲーム。対象にされたら高確率で死ぬ。


 学園生にとって恐怖の対象にして、絶対に関わってはいけないゲーム。


 今回のゲームは「特別」だが、御影なら必ず生還すると美夜は信じていた。


「まだ、立場が分かってないようですね。あまり手荒な真似はしたくないのですが。もう一度抱け言います。次はありません。御影さんは次のフェイルrゲームに参加するのですか?」


 天音の目を見て、美夜は答える。







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