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海にて06~宿泊者エリア02~


「へっへっへっ、ここに、オペレーション・スピット・ナンパを実行するぜ~」


 四人は円陣を組む。


 三人は嫌々で、一人は超乗り気だ。


 そう、種次、ボル、守、三下の四人だ。


 守とボルは二人で遊びたかったが、三下が無理矢理引っ張ってきた。


 種次は何かあったときのためのお守り役として、貧乏くじを引かされた。


「おら、ナンパなんてやったことないだ」


「僕も、そんなことできないよ」


「全く、トラブルしか起こさないのだよお前は」


 三人から否定的な言葉が出てくる。三下はちっちっちっと指を振り、得意げな笑みを浮かべる。


「へっへっへっ、分かってないっすね~。夏と言えば海。海は人を開放的な気分にさせてくれるっす。一夏のアバンチュールって奴っす~。みんなこれ欲しくないのかよ~」


 三下が小指を立てる。


 誰かがゴクリと喉を鳴らす。


 こうなってしまっては、三下ペースだ。


「へっへっへっ、おれっち統計では、海でのナンパは、成功率が数倍跳ね上がるんだぜぇ~。どうせ知り合いなんて仲間ぐらいだし、ここで一旗上げなければ何処で勇者になれると思っているんだよ~。一回だけでもいいから、やろうぜぇ~」


 三下の口八丁のごり押しに負け、全員がやることになった。


 狙うは、宿泊者エリア。一般エリアは滅多に女子はいない。高級エリア以上だと、何かあったとき、危険すぎる。手頃にナンパしたいと思った三下は事前に調査はすんでおり、三下に先導され、宿泊客エリアにやってきた。


 カップルが多いが、女の子だけのグループや、三下達と同じで、若い男の子だけのグループがちらほらおり、その何割かは、三下と考えていることは一緒だった。


「へっへっへっ、ほらっ、結構いるぜっ、あっ~あれはだめだなぁ、ぜんぜん脈がねーや」


 いかにも遊んでいそうな十代の色黒の男三人組が、ギャル三人グループに声をかける。


 男の一人は二枚目で、成功しそうな感じだが、ギャルに冷たくあしらわれる。


 三下の言ったとおりの展開となった。


「へっへっへっ、ビビっときたっすよ。一見遊んでそうだけど、身持ちが堅いと感じたぜぇ~~。ここは、守の出番だ。おれっちの予想じゃ守がいけば、八十%成功するぜぇ~」


「え~と、どんなこと言えばいいのかな。クラブの女性以外、話したことないから、どうすればいいか分からないよ」


 守はまさか自分が最初にいくとは思っておらず、困惑している。


「何でもいいから話すっすよ、ほら言った言った」


 三下は守はギャルの方に押し出す。


 押し出された守は、仕方なくおっかなびっくりで、ギャルに向かって話す。


「あのその、すいません」


 おどおどとした口調で守は話す。


「どうしたの僕」


「きゃーかわいいっ僕何才」


「迷子になっちゃったの」


 守は平均より背が小さく、可愛い系の男子だ。


 お姉さま方の母性本能がくすぐられたみたいだった。


 守は頭を撫で撫でされて、トマトの様に顔を真っ赤にしている。


「えっとその十六歳です。僕達とお茶しませんか」


 無い知識を振り絞って守は言えた。典型的なナンパ文句を。


 お姉さま方は、三下達をちらりと見る。


 鼻の穴を膨らませ、下心丸出しで、にこやかに手を振る三下。


 ここが三下の三下たる由縁だ。


「あの人達ね、最低だわ」


「可哀想に、苛められてたのね」


「さっお姉さん達と遊びましょう」


「えっと、ちが」


 お姉さま方が三下の方を嫌悪感丸出しで睨み、守りの手を引き、守るがなにかをいう前に、連れ去った。


「そりゃないぜぇー、何で守るだけ良い思いすんだよぉー。なぁーボルゥー」


 三下は振り返りボルに同意を求めるがいない。


「ほら、危ないだよ」


「ありがとうおじちゃん」


「娘がすいません。宜しければお礼に食事を一緒にしませんか」


「オラ友達と来てるんだ」


 でかしたぜぇ~ボルぅ~。


 ボルは溺れかけていた少女を助け、母親からお礼を言われていた。


 夫が居ないのがプンプンするぜぇ~。


 年は二十代前半。おしとやか系の女性。三下のストライクゾーンだった。


 しかし・・・・・・。


「あのお兄ちゃんは、怖いからやっ!おじちゃんだけがいい」


 少女はは三下の邪な思いを敏感に察知する。


 少女はボルを掴んではなさない。


「すいません娘が」


「んだ、子供は元気な方がいいんだな。守さいなくなったし、お言葉に甘えさせてもらうだ」


 少女と手を繋ぎ守に続いてボルも去っていく。


「くそくそくそぉぉ~~~なぜだよぉ~、何でボルや守はいいおもいして、おれっちばっかり噛ませ犬になるんだよぉぉ~~」


「そういうところだと思うのだよ」


 三下の絶叫が辺り一面鳴り響き、遠巻きに退避していた三下が冷静につっこみを入れた。


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