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海にて04


 御影は海に行くことにした。


 海は全部で四つのエリアに分かれており、誰でも入れる一般ビーチ。宿泊者だけが入れる宿泊者ビーチ。三つ星ホテル以上が入れる高級ビーチ、そして五つ星ホテルだけが入れる最高級ビーチ。


 とりあえず、御影は一般ビーチから順に回ることにした。


 一般ビーチは、とにかくマナーが悪い、誰でも入られるため、ならず者も多く、監視員の数も少ないため、喧嘩やトラブルが耐えない。砂浜にはゴミが多く、海に流すと、監視員に捕まるので、そういったことになっている。海の家もボロ小屋で、売っているものも腐ったものばかりだ。


 一般ビーチとは名ばかりで、ようはここに来るなら、泊まってくださいよということだ。


 幾つかあるリゾートダンジョンも同じような手法をとっており、現にカップルや家族連れは宿泊者ビーチ以上で遊んでいる。


 ここに来たのは念のためだ。


 仲間達の誰かがいれば、宿泊者ビーチ以上に連れて行こうと思っていたが、どうやら杞憂だったようだ。


 気配も目視も仲間がいないことを確認した御影はさっさと宿泊者ビーチに行こうとしたが、どうやら駄目みたいだ。


「おいおいおい、そこの兄ちゃん、有り金全部おいてけよ」


「俺か」


「はっ、おまえしかいねーだろ、ひよってんのか」


 不良達が、御影を囲む。


 力量が分からないところを見ると、大した腕ではない。冒険者崩れか三流か素人だ。


 二十人ってところか。


「来い、相手してやる」


 指をくいくいさせ、御影は不良達を挑発する。


「やっちまえ」


 一斉に不良達は、飛びかかってきたが、御影の相手ではなく。ものの数秒で全員を伸した。


 んっ。


 少し先で同じような光景を目の当たりにした。


 しかも、襲われているのは知り合いだ。


 しかもつい最近会った遠方の知り合い。


「にゃー、まだまだやるにゃー、もっとくるにゃー」


 そこには人の山ができていた。


「何やってんだ、ニャルコ」


「にゃにゃ!、御影にゃー、会いたかったにゃー」


 興奮して駆け寄ってくるニャルコを御影はいなす。


 感動の再会は意外なほど早かった。






 ニャルコおすすめの場末の海の家に入る。



 御影は特に気にはならない。すえた臭いもきたない床も。女の子と行くような場所ではないのだが、ニャルコに聞いたが、ここが良いということなので、このエリアの海の家に入ったのだ。


 御影も好都合だった。仲間にどう説明すればいいのか少し困る。


「にゃー、おちゃちゃ~久しぶりにゃー、いつもの二つに適当な場所に座るにゃー」


「久しぶりだなニャル公、ちょっと待ってな、すぐ作るからよ」


 かって知ったりというかなんというか、馴染みの店にきたという雰囲気で、ニャルコはいつもの特等席に座る。


 御影は向かいの席に座った。


「まずは、お互い無事に帰れて良かった。そっちはどうだ、おまえをはめた相手は見つかったか」


 ニャルコの目の奥がギラリと光。


「にゃー、ちゃんとお礼参りはしたにゃー。にゃ影はどうかにゃー」


「俺の方はようやく黒幕が分かったところだ。『色々』面倒な相手だが、きっちり借りは返すつもりだ。そういえば誰と来たんだ。こっちはクラブの面々と俺らを助けてくれた顧問の帯同の元来たんだが」


「にゃー、いいたくにゃいけど、にゃ影ならいいかにゃー、戦友だしにゃ。にゃーは糞親父と兄姉妹弟たちと来たにゃ。年に一回夏の恒例だにゃ。といってもにゃーは一回もくそったれをみてにゃいけどにゃー。今頃女漁りでもしてるのにゃー。にゃー達もランクがあり、にゃーは三つ星ホテルに泊まってるにゃー。みゃ影はどこかにゃ」


「悪いが五つ星ホテルだ。顧問の伝手でな、悪いが、夜は会えない。今は少し時間があるから、いろいろ聞きたいことがある」


「にゃるー、うちもだにゃ、あっ、さっそくきたにゃ」


 注文したものがきた。でかい皿にご飯と魚のほぐしたものと、丸々一匹の魚の骨。


「にゃー、遠慮せずに食うにゃ、『ニャルコスペシャル』だにゃ」


 我慢できないといった感じで涎を垂らしながらニャルコはかきこむ。


 どこの世界に行っても猫族の好物は一緒かと思う御影であった。


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