海にて02
最初に来たのは、プゥ、デジ子、シンリィ、水流のちびっこ四人組。ワンピースタイプの水着を着て、元気に飛び出してきた。。
「み、ど(御影さんどうですか~)」
「どうじゃ、わっちの魅力に骨抜きじゃろ」
「評価」
「デジ子、かわいいでじか」
期待の籠もった目で三人は御影の元にきた。
「みんな可愛いよ」
御影は期待を外さない。何を言ったら相手が嬉しがるか分かっていた。
仕草、目の動き、表情、言葉。それだけで結構な情報がある。普段はやらないが、今日はもてなす立場だ。気分を落ち込ませたら本末転倒だし、本当に御影が思ったことだ。
次にきたのは今日子。タンキニタイプの白黒カラー、まるで囚人服に見え、それがまた似合っていった。
「なにももいわなくてももんが」
今日子ずーんと気分が沈んでいて、ふてくされていた。
おそらくギーレンの指示なんだろう。
今頃してやったりと、爆笑しているギーレンの姿が目に浮かぶ。
「その、なんだ。ドンマイ」
「慰めはいらないっす」
思わず今日子はダウナー気味の素の口調で呟いた。
三下が歓声を上げる。
周りの人も一斉に目が釘付けとなった。
玲奈と美夜、カティナだ。
特に玲奈と美夜に視線が集中している。
二人の水着はセパレートタイプのビキニだ。
タイプは違えど、超絶の美少女だ。白く透き通る肌のモデル体型の玲奈に小麦色で健康的な肌のグラビアアイドルの様な美夜。
三下じゃなくても、目がいくのは頷ける。
恋人同士で来ていた女の方が耳を引っ張って連れて行く。
「ほらっ、みせもんじゃないんだ、いったいった」
カティナが二人の前にたち、手を払う仕草をして、見物人を追い払う。
カティナはスポーツビキニだ。
追い払うとするが、見物人は徐々に多くなってゆく。
仕方ない。
御影は、三人に認識阻害の魔法をかける。
周りからは消えたかのように見え、塩を引くように謎の美少女を探しに行く。
「ありがとうございます御影さん」
「ありがと師匠」
「やっぱ師匠はすげーよ」
三人が寄ってくる。
「あれじゃあ、身動きとれなかっただろう。今日は楽しみに来たんだ。注目されるばかりじゃいやだろう。実力者にはばれるが、ここの人達なら大丈夫だろう」
仲間以外には認識しないよう設定した。
「ひどいっす、おれっちには見えないっすよ」
三下以外は。
少しして舞先生と岬が来た。
ラッシュガードを着て、水着は見えない。御影や翼もラッシュガードを着ていた。
御影や翼は、体中に傷があるため、ここに来ている人達を怖がらせないための配慮だ。
岬や舞先生は大人ならでわの着こなしだ。
残りは雫と風花。
時間が少し空き、雫が風花を引っ張って更衣室から出てきた。
二人の水着はフリル型のビキニ、風花のもじもじした姿も相まってすごく可愛く見える。
「うひょー」
と奇声を発している三下の前ではなく、御影の前でもなく、雫が連れて行ったのは翼の前だ。
「ほらっ、風チャン」
しがみつく風花を強引に前に押し出す。
「あのその、どうですか?」
手をすり合わせ、顔が凄く赤い。
「あー、その、なんだぁ、可愛いぜっ」
翼は視線をさまよわせ、御影に助けを求めようとするが、自分で何とかしろという視線を送られ、当たり障りのない言葉を言う。
今まで翼は、剣と酒に人生を捧げてきた。学園時代は何人かと恋人同士になったが、卒業してからは縁がなかった。
今更だよなぁ。
ここ何年か服の感想すら聞かれたことがない。だからか気の利いた言葉すら一つ言えない。
何でおれなのかねぇ。
アオハルは学園生同時でやってもらいたいのが、翼の正直な感想だ。
しかし慕ってくれる風花に対し、憎からず思っている。
その感情は同士という意味合いが強い。
同じ剣の道で同じ師匠の元、翼を追っかけてきている。妹がいればこういう感情になるのかなと。
「ありがとうございます」
風花の、恥じらいながらも眩しい笑顔が、翼には直視できなかった。
「よし、みんな集まったな。とりあえず、海の家に行った後、昼食まで自由時間だぞ」