リゾートダンジョン
夏休みだ、海だ、太陽だ。
御影達一行は、ダンジョンレベル5・自然型・海、いわゆる『リゾートダンジョン』とよばれるところにきていた。
砂浜に海に、人工の太陽。ホテルも建っており、海の奥の方、テトラポットより先に行かなければモンスターは来ず、海のモンスターのみで、陸のモンスターはいない。
何かあったときのために雇われた冒険者達が巡回している。
今日来たメンバーは、御影、舞先生、美夜、種次、プゥ、三下、風花、カティナ、シンリィ、水流、デジ子、守、雫、玲奈、ボル、岬の十六人と。
「なななんでわたたたがしが、こんなところてんに」
「誘ってもらってありがとよぉ」
今日子と翼のゲストが二人の計十八人。
キューブ事件から三日後、エンドワールドのメンバーに判決が下った。
主犯格の隼人には、最高刑の『果終街』行き、ガオルドとオーガストは獣森国への強制出向。
速道と翼は降格処分、ニナは「死亡者」扱いとなった。
その事には風花が一番ほっとしていた。
今回翼を誘ったのも風花だ。翼は内々だが、桜花学園で九月から戦闘科の剣術部門の先生として働くこととなった。
そして今、判決が下った後、翼が頼み込み、御影の『裏』クラブの一員として、御影に教えを請うている。
ちなみに今日子はもしもの時の戦力として、御影が強制的に連れてきた。輝義も行きたそうにしていたが、トラブルがあるのを懸念して連れてこなかった。
「まずは、ホテルに行くぞ」
今回のお金は、舞先生に御影が魔道具売る形で捻出した、御影の奢りだ。フェリスからは『恵んでやるの、ありがたく貰うの』と、とある人物と契約して儲けたお金の中から五千円貰った。
子供のおかつがいじゃないんだとは思ったがもらっておいた。
キューブ事件で、フェリスはずいぶんと儲けたらしい。舞先生からメダル十枚もらい、どこからか金銭も大量にもらったと情報がある。いつもなら千円ほどだったが、五千円だったことから想像でき、ドケチなフェリスには珍しく、久しぶりに会ったとき上機嫌だった。
学園生がホテルを予約する事はできなく、舞先生に頼んだ。
「う、す(うわぁー、凄いホテル~)」
「五つ星の最高級ホテルですね、私も家族できたことがあります。飛び込みで入れないはずなんですけどね」
「おら、萎縮してしまうだ」
「僕もです。なんだか場違いな感じがして」
一際目立つホテルが今回の御影達の宿。
門構えは立派で、ヤシの木が所々に植えられ、広大な敷地にプールなどが設置してありホテルの外見も煌びやかで空まで届きそうな程高く、格式がありそうだ。
中に入ると、巨大なシャンデリアが目に付く。
翼や雫や風花、種次や玲奈は、何回か来たことがあり、平然としているが、ボルや守など小市民はただただ圧倒されていた。
「舞先生、大丈夫なんですか」
御影が心配しているのはお金だ。
キューブ事件の迷惑料もコミで『多少』多く渡したが、見るからに高そうなホテルで、お金が足りているのか心配していた。
「おまえが持っている魔道具の価値をもう少し知った方がいいぞ。それに良い所のお嬢さんもいるのだ、このクラスじゃないと苦情がくるぞ。心配しなくても宿は取れたぞ」
御影は、今回のお代と迷惑料して魔道具を渡しただけで、金銭はもらっていない。
そこで困ったのは舞先生だ。
魔道具の説明を聞き、換算すると、軽く億を越える。
御影は自分で作れるものだから、渡した所でどうっってことないが、この世界では、高額で取り引きされるものだ。
まだ、価値を理解しきっていない御影らしかった。
舞先生はコネで最高級のホテルを予約したが、まだまだお金は足りていた。
舞先生はチェクインの手続きをして、鍵を五つもっている。
「それでは部屋割りを発表する。異論は認めないぞ」
それが、今回のちょっとした『ハプニング』の元となった。