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旅行へ行こう


「皆すまない、俺の行動で皆に迷惑をかけた」


 クラブの面々に向かって頭を下げる。


 キューブを脱出してから一週間が経過した。


 御影は周りの人間に随分迷惑をかけたと思っている。


 舞先生とスラム組には休みの日にした。だから今日はクラブの面々だ。


 時間がかかったのはクラブ外の玲奈と雫の時間があったのは今日だった。


 あれから玲奈は、S級クラブを辞め派閥は自ら辞め自分のクラブ部を作った。


 今は雫のクラブと同じで協力関係にある。


 その話をしたときの玲奈は、やけにすっきりとした表情だった。


 助けてもらったときに軽くはしたが、クラブのトップとしてきちんとする事はする。


 謝ることは謝るし、怒ることは怒る。


 そうしないとけじめがつかないからだ。


 今回は完全に御影に非があった。


 だからこうして謝っている。


「へっへっへっ、ほんとーだぜ全くよぉ~。感謝しろよな」


「あん? あんたはなにもしてないだろーがよ」


「あらあら、調子に乗るのはどこの口かしらね」


「調子に乗るのはよくないと思います」


「嘘はいけません。そういう人は嫌いです」


「だめだよ嘘は」


「そい(そーだよ、いけないことだよー」


「全くなのだよ」


「でじこもそういう人は嫌いでじ」


「・・・・・・三下嫌い」


「わっちもどうかと思うのじゃ」


「おらも嘘はよくねーと思うぞ」


 三下は調子に乗り、周りからふるぼっこにあった。三下は三度目の退部をしたが御影が戻ってくるとちゃっかり戻ってきた。


 皆は笑って許してくれた。それが御影にはありがたい。


 いい仲間を持ったな・・・・・・例え・・・・・・だったとしても。


 今の御影には眩しく見える。


「そういうわけにわいかない。前にも言ったが、俺ができることなら何でも一つ叶えてやる」


 それは、スラムの面々にも言ったこと。


 特に舞先生には随分借りができた。


 最も、色々と要求されているが。


「いつでも聞くから後でゆっくり」


 御影が言い終わる前に。三下が手を挙げ。


「はいはいはぁーい、おれっち海に行きたいでぇーす」








「それで、私に引率するのを頼みにきたのか」


 次の日の午後、保健室に来た御影は舞先生に頼みに来た。


 観光用のダンジョンは存在し、その中の一つリゾートダンジョンに夏休みに行くことになった。


 夏休みは二十二~二十六の五日間で、一泊二日の小旅行。


 初めは反対が多かったが、言葉巧み三下は説明し、結局全員で行くことになった。


 学生でも、夏休みにそういうダンジョンに行くことは認められている。


 但し引率付きだが。


 まったくといった感じで、舞先生は煙草を吸いながら、御影を見る。


「たまには、いいかなと思ったんですよ。学生ですからね、息抜きや青春や楽しみも必要かなと」


 それは自分自身にも言っているようだった。


「やっぱりつらいか、今度の『フェイルゲーム』は」


 御影がフェイルゲームにでるのは決定事項だ。


 舞先生に多大な迷惑をかけた。故に、なにがあっても、どんなことになろうとも、協力するつもりだ。


 舞先生は既に今回のフェイルゲームの内容を御影に伝えている。


 今回は、本当に過酷だ。


 もしかしたら・・・・・・が出てくるかもしれない。


 だから、舞先生としても御影に任せるほかなかった。


「大丈夫ですよ。慣れてますから、知らない人を殺すのも、知っているものを殺すもの、裏切り者を殺すのも、絶対に殺さなければならない状況で、親しいものを殺すのも、線引きはあくまで線引きです。状況次第で変わります。だからその心配はないですよ。ためらわないです。必ずやり遂げます。只、ジンクスじゃないですけどその前は『楽しい』ことをやろうって決めているんです。今回の話はちょうどいいかなと」


 御影の瞳の奥の闇は深い。


 今回の依頼は状況次第で見知らぬ人間も殺すことになる。


 自分の中に明確な線引きを持っている御影は、はたしてそれを行えるか。


 はっきり言って贅沢な悩みだ。実力があるからこそ、そう思えるし、舞先生も少し頭によぎったことだ。


 この世界に来てから、御影は誰かを『殺して』はいない。


 ボブじいさん、連太郎、輝義、ニナ、第八席にナンバーⅪ、今ままで、殺せるチャンスはいくらでもあった。


 なのに見逃している。


 舞先生も懸念も当然だ。


 口では言えるが、本当にやれるかと。


 またなんやかんやいって、助けるのではないかと。


 今回は絶対に・・・・・・しなければならない。


 舞先生は御影の目を見て判断した。


 どうやら杞憂だったみたいだと。


 なら、舞先生が言えることは一つだけだった。


「全く仕方ないな、今回だけだぞ。私は御影の先生だからな」











 こうしてリゾートダンジョンへの一泊二日の旅行が決まった。











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