第四章幕間03~一の野望と○○○~
遅れてすいません。
時刻は、御影がダンジョンからでた日の深夜。
とある学園の中にある会議室の一室に目垣兄弟はいた。
「とりあえず終わったな。概ね俺の予想通りだ。癒杉教諭陣営を切り崩せなかったが、ディーノを対人まで追い込み、クラブ派の戦力低下に成功した。くっくっく、これが笑わずしてなんになる。弟よ、『これから』どうなるか分かるか」
上機嫌に一は種次に問う。
「潰し合いが起こるのですか」
これまでの作戦と結果と話の流れを想像して、種次はそう答える。
まず、舞先生の派閥と学園長派は敵対関係となった。ディーノも今回の責任をとって辞めざる終えない。
おそらく次のクラブ派のトップは清音になるだろうと種次は思っている。
それでも、今学園内のクラブ派は荒れに荒れており、うまく使えば、学園長派と同盟を結んで、舞先生の派閥と対決する。
そうなれば潰し合いが起こるのだろうと種次は考えた。
「三十点だ。もう少し頭を使え愚弟、そんなことは誰でも分かる」
一は得意げにドヤ顔して、眼鏡の中心を人差し指で押す。
「お前は人の感情を読まなさすぎる。誰しもが合理的に判断できるわけじゃない。いいか、お前はクラブ派のトップが清音さんになると思っているが、それは無い。清音さんの封印を解いた今、おそらく辞退するだろう。誰が言っても無駄だ。『ディーノ』を差し置いてできないと。となれば、エンド・ワールドが居なくなった反クラブ派の人間か、ディーノや清音のいないクラブ派の人間か、いずれにしても数段落ちる人物だ。もはや他の五大派閥は敵だと思っていない、良い鴨だ。となると次のフェイルゲームで結果を残さなくてはならない、それは学園長派も教会派も貴族派も同じだ。
次のフェイルゲームでは潰し合いが起きる。そして癒杉教諭がこのまま黙ってみているはずがない。それに・・・・・・おっと、喋りすぎたか、くっくっくっ、くっかぁくぁくぁ、もうすぐだ、後一ヶ月と少し、十月には五大派閥のトップに俺がなっている。誰もできなかった、玲奈の兄も、清音さんも隼人さんも、できなかった、自身の派閥を率いての五大派閥入りを。俺の予測が言っている。今度のフェイルゲームで、学園内の序列が大幅に入れ替わり、九月のクラブ対抗戦で・・・・・・派は壊滅する」
~同時刻~
「よくも、あんな化け物をかっつけてくれたわね」
Ⅺは、人気がないところで通信する。
相手はナンバーⅥ。
元々ナンバーⅥが、遊び半分で関わっている案件だ。
今回、協力依頼を受け、ナンバーⅪがやってきた。
「心外だね。元々、御影の実力は未知数だといったはずだよ。それにも関わらずⅪは構わないと引き受けたんだよね。依頼料も渡したし文句を言う筋合いはないんじゃないのかな。そもそも、Ⅺは納得して受けてくれたじゃないか、終わった後どうこう言うのはナンセンスだよ」
Ⅵは理路整然と説明する。Ⅵは説明好きの毒舌かだ。
Ⅺは気分が悪くなる。元々Ⅵとは反りが合わない、今回は大金に目が眩んだだけだ。
今回は予想外の収入があったのでⅪはよしとしておいた。
「はいはい、私が悪かったです。私はこのまま帰るけど、Ⅵはどうするの、忠告を一ついうけど、彼と会ったら、あなたでも勝てないわよ」
「へぇー、面白いこというね、でも心配しなくてもいいよ、御影と会うつもりはないよ、そして帰るつもりもない。今いい所なんだ、ちょうどいい感じに煮詰まって、最高潮な感じなんだよ。ここからいかにして落とすか、この甘美は、極上のワインよりも美味だ。後に一ヶ月と少しで、帰ると思うから、本部の方に言っていてよ。あの事は内緒にしとくから」
「・・・分かった」
やっぱりやな奴だ。断れないのを知っていて、あえてそう言っているのだ。
通信を切り、Ⅺは闇に紛れ早々にこの都市を去る。
また来る予感を感じながら。
一方、ナンバーⅥは、貴族街にある最高級のホテルの一室、そのテラスで、ワインを飲みながら、星空
を見上げる。
「さて、八月の終わりと九月のクラブ対抗戦、どんな物語を見せてくれるのかな」
ナンバーⅥ、『破滅の十二人』の中では、知っているものが多い人物。
別名『悲物語狂』と呼ばれている。
次の舞台は、八月下旬。『フェイルゲーム』というなのデスゲームはさらに加速していく。