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御影救出作戦:最終決戦05


 黒の世界が晴れた。


 そこにいたのは御影だけ、Ⅺの姿は何処をみても見あたらなかった。


 舞先生は防御魔法を解除し、皆はおそるおそる結界からでる。


 翼と風花はニナの所に、他は御影の所に向かった。


「すまないな、逃してしまった。みんなありがとう、みんなのおかげで俺は脱出できた。不甲斐なくてごめん。今回はすべて俺の責任だ。償いといっては何だけど、『何でも一つ』願いを叶えてやる。俺ができる範囲内だけどな」


 皆、思い思いに喜びの声を上げる。御影がこんな事をいうのは珍しい。


 御影の場合、大抵の事は叶えられる。それこそ○ラゴンボールの様に。


 敬啓には言わない。それだけ今回の件を重く見ていて、御影の誠意だ。


 何事にもプロセスは必要だ。例えば高難易度の技をいきなり挑戦して、成功するわけがない。こつこつと低難易度から順に挑戦して、ようやくその技の練習に取りかかる。その過程をすっ飛ばして、成功させたとしても、本人の為にはならない。稀に見ただけで成功させる天才もいるが、最後にものを言うのは、積み重ねだ。同じ技でも天才の薄っぺらな技より、下から這い上がってきた者の方が重みがある。


 だから技や魔法を願い事で言われれば、叶えるつもりだ。日数は一日だが、文字通りできるまでやる。体感時間で『どれだけ』かかったとしても。『破滅の十二人』は必ずまたくる。それまでに実力の底上げは急務だ。


 だからこれからは遠慮はしないつもりだ。こんなにも、俺のために動いてくれた人たちがいるから。それが分かったからだ。



「さすがわっちの師匠じゃ。太っ腹じゃ。見えなくて分からなかったが、とにかく凄いのじゃ。無事で良かったのじゃ」


「凄かった。そして無事で良かった」


「ブイ・・・・・・第一級ゲット」


「やはり貴方は凄かったですね。私の想像以上でした。あの、私もその権利はあるのでしょうか」


「あれっ、その髪型」


 そこで御影は初めて玲奈の髪を見る。ばっさりと切っていた。


「ちょっと、踏ん切りがつかなくて、でも今はすっきりしています。私はクラブも派閥も辞め、今は一人の、『藤島玲奈』という人間として、一から仲間を集め、スタートするつもりです。そして今は胸を張っていえます。私のクラブと協力関係になってくれませんか」


「ああ、いいぜ。それに、俺は助けてくれた皆に『お礼』がしたい。もちろん玲奈も対象内だ」


 玲奈と御影は握手する。


 捕虜を見ていた、翼と風花は帰ってきた。表情が芳しくないところを見ると『助からなかった』ようだ。


「お前が、御影か、俺の名は早乙女翼だ。今回は本当にすまねぇ、俺の仲間が馬鹿やった、もうあわないかもしれねぇが、一つ頼みがある、風花の師匠なら俺に円の八を見せてくれ。この通りだ」


 翼は頭を下げる。


 翼は自分がこの後、捕まるのは分かっていた。あんな事を起こしたのだ。隼人は捕まったと聞いた。失敗した今、誰も庇ってもらえず、ギルドの名の下、刑が執行されるだろう。


 翼は一回でもいいから見たかった。自分が追い求めた先を。


 気づけば、ダンジョンルートにいった人物、岬とデジ子、苺と隣もいた。


 まるで見せ物みたいだな、と御影は思う。


「ああ、少し聞いたが、風花と玲奈を守ってくれてありがとう。一つ言っておくが、円の型は8で終わりじゃない。円は十、縦は八、奥義は三つだ。俺も全てはできない。俺の復帰祝いと、今回助けてくれたメンツ全員いるみたいだから、余興としてはちょうどいい、俺ができる型の全てを見せよう」


 そういって、御影は風花から刀を借り、みんなから距離をとり始めた。


 ふぅーーー。


 一旦大きく息を吸い、ゆっくりと吐く。


 そして始まった。


 型と演舞の融合。分からない人が見れば、綺麗な演舞だと感じるが、風花は技の完成度に、自分はまだまだだと思い、翼は男泣きしていた。


 確かにあった。もがいてもがいて、見つからなかったその先が。


 演目自体は十分程度で終わった。


 皆がパチパチと拍手するのか涙が止まらない翼は御影の元に行き握手を求め、御影は快くそれに応じる。


「ありがとう」


 それは万感の思いを込めた翼の言葉だった。



 こうして御影救出作戦は終わった。多くの冒険者を犠牲にし、様々な謎が残され、『破滅の十二人』の関与。巨大な闇を感じながら。




次回第四章エピローグとなります。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

今後の予定は、幕間を三話程度後、簡単な登場人物紹介と設定資料集も書いて、五話程度載せた後、第五章に移りたいと思います。

今後ともよろしくお願いします。



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