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ダンジョンでの戦い14


 くそったれ、おい、ポンコツな体、後一度だけでいい、動け動け、うごけぇぇぇぇ。


「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」


 体中血を吹き出しながら、ディーノが立ち上がり、清音を放り投げる。


「お前だけでも生きろぉ」


 ディーノは清音に向かってにかっと笑う。


「タイガーせんせぇぇぇぇ!!!」


 ディーノは隼人達の攻撃にのみ込まれた。












































 かに思われた。


「いつだって女に涙させる、世知辛いね~この色男が、俺はそんな女の味方さ」


 清音にウインクして、玉をディーノに投げる。


 信じられないことが起こった。


 見る見るうちにディーノの傷が治っていく。


 男は二つの玉を使った。


 一つ目は防御用の玉、二つ目は回復用の玉。


 防御玉で隼人達の攻撃を防ぎ、回復玉でディーノを治した。


 二つ目の回復玉は『パーフェクト・ヒール』が封印されており、オークションに出品すれば天井知らずの値段で売れるが、男は惜しげもなく使った。


 男は悲劇が嫌いだ。そして女の涙には弱い。依頼があるなら仕方がないが、本来、女性を罠にはめたり、殺したりはしたくない。


 幸せな女性や、幸せになれる女性、恋する乙女は特に。


 だって、その男は愛の戦士だから。


「教会の犬がなにしに来たんですか。それに先ほどの魔法は?」


 隼人は平静を装っているが、内心焦っていた。まだ策が残っているが状況はまずい。


 全快になったディーノ、闘志溢れる清音、そして教会のフェイサー、輝義。


 今は、三対三の状況。どんな魔術を使ったか、皆目見当もつかない。回復系だとは分かるが、オーガストでも使えないような高度な魔法。


 それを一体どうやって。


「さてね~、恋する乙女が放った魔法かな」


 ぼんっと火山が噴火する様に真っ赤っかになり湯気が噴きだした音が聞こえたが、それも輝義のリップサービスだ。


「御影という奴が、封印したん、ですよね」


 隼人はすでに結論には達していた。


 魔法玉は魔道具として百万前後で買える比較的安価なものだ。


 可能性の問題だ。


 今までない魔法。その出所は今までいない人物と位置づけられる。


 そう考えた時、一人しかいない。


 さすが教会の暗部だと隼人は思う。


 輝義はへらへらしており、全くと言っていいほど心の内は読めない。


「どうしてここが分かったんですか」


「恋の魔法でってジョークだよジョーク、せっかちな男は嫌われるぜ。俺とディーノは小さな天使さんにお呼ばれしたんだ。ディーノは彼女の事を心配してたからさっさと行ったんだけどね。あっついね~ここは。ちなみにいえば、すでにキューブへの転移魔法陣の使用はとっくに受理されてるよん」


 そういって、輝義は首元を動かし、服で仰ぐ。


 そう、残った一人、でじ子がやってくれた。


『ある方法』で、ギルドにいるディーノの所に行き、ディーノと会い、申請の受理と、今起こっている事を話し、途中で輝義が合流し、岬が確保した裏ぎりものを保健室で吐かせ、今に至った。


 本当の中核を担っていたのはでじ子だった。


 ダンジョンルート、スラムルート、正門ルート、その『全て』が、陽動だったのだ。舞先生すらも。


 でじ子のルートが一番危険だった。見つかればただではすまず、でじ子自身それほど戦闘力がない。だけど、『でじ子以外』はやることができない。


 そして、でじ子はやってくれた。殊勲賞並の活躍だ。


 ちなみに、三下は寮の六人部屋でごろごろしており蚊帳の外だ。


「その手は」


「神様に願っていたら、生えてきたんだよね~。これほど信者になって良かったと思ったことはないよ」


 とにかく隼人は時間を稼ぐ。相変わらずへらへらしており殴りたくなる。


 しかし、『今』戦闘が始まれば、五分と経たずに確実に負ける。三対三でも一対一でも、どのパターンでも確実に。


 早く来てくれ・・・・・・。


「あー、待ち人はこの人たちかな~」


 輝義は指を鳴らす。


 そこにいなかった人物が現れる。


 それこそ奇術士たる、輝義の技で視線誘導。


 輝義はじめ、ディーノが傷をおった時には既に全員いた。


 それをいないものとして、認識させたのは輝義の技だ。


 その人物達は隼人の待ち人、清音のパーティーメンバー。


「そんな・・・・・・」


 隼人はがっくりと肩を落とす。やっと全てが見えてきた。最初から自分達ははめられていたのだと。


 隼人達は、抵抗せず犯罪冒険者用の手錠をかけられる。


 自分達はもう終わりだ。だがしかし、今回の作戦は自分達が考えたわけではない。誘いに乗っただけだ。つまり、まだ終わったわけではない。


 隼人はいうつもりはなかった。


 誘ってきた人物にいらつくがこのさいどうでもいい。ディーノ達が勝ち逃げすることだけは隼人のプライドが許さなかった。


 せいぜい、今だけ喜んでいればいい。


 地上に帰った時『どうなって』いるか、詳細は全部分からない。しかし大変なことになっているのは確かだ。




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