橋での戦い08
あり得ない。
ニナは目の前の光景が信じられなかった。
絶対破壊。第一級魔法を放ったら最後、敵は塵一つ残らない。
だからこそのスペシャリテ。第一級魔法は伊達ではない。
ニナは第一級魔法を使えることに誇りを持っていた。
レベル七十のダンジョンボスですら一発で倒せる。
なのに・・・・・・なんでよぉぉ!!!
強固が放った玉が黒く光り、ニナの放った魔法が吸い込まれる。ブラックホールの様に、次から次ぎえと。全部を吸い尽くした後。玉が割れた。
御影が渡した魔道具、それは『魔法球』。
その名の通り、魔法を封印した玉で、キーワードを言うことによって、玉に封印した魔法が解放される。
預かっている魔法球は全部で三つ。
そのうちの一つアンチマジック魔法『ブラック・ホール・クラッシャー』
敵の魔法消去に特化した、対魔法破壊魔法で、特殊魔法に分類される。
ブラック・ホール・クラッシャーは第二級魔法だが、一個上の魔法、第一級の魔法も消去できる。
第一級魔法といっても、内容はピンキリで、九十台程度の魔法なら防げるが、五十台ぐらいから厳しい。
ニナの第一級魔法は、そのカテゴリーの中では弱い方の部類だ。
今日子はニナの魔法を知っていたので、この玉を選択した。
断じて、ケチったわけではない。
まだよ!
ニナはもう一度魔法を放とうと、準備するが。
「おっと、もう俺の領域だ。分かっているだろー」
翼の射程距離にいるため、魔法を放つ前にやられる
ニナはぎりっと口を噛み、鬼の形相で翼を睨む。
「あんたっ!隼人を裏切るつもり。あんなに恩があるのに、さいっていね」
「俺たちを殺そうとしたのによく言うぜっ。どっちみち隼人は俺らには期待してねーよ。それに俺は俺の流儀に従う。わりぃーけど、おまえも良く知ってるだろ」
「くそエゴイストが、あんたなんか私に黒焦げにされればいーのよ」
「そういう所が隼人に信頼されない部分なんだぜ。隼人がお前の裏の性格を知らないと思っているのか。弾かれた三人、俺は自分自身の信念に従うから裏切るかもしれない。お前は加虐趣味でいざというときにやりすぎる。そして速道は何を考えているか分からない」
「うるさい、黙れっ!」
二人の罵りあいに、ついていけず、ニナに警戒しながら、囲む。ニナが不審な行動をとれば、攻撃できるように。
どうにかしないと。
今の状況、ニナにとってはピンチだった。
長年パーティーを組んでいるから、翼には、魔法を放つタイミングが丸わかりだ。
この時点で翼達に九割九部勝敗は傾いている。
見渡すと・・・・・・あった、穴が。
ニナには覚えがあった。
その人物はギルド主催の魔法教室に来ていた。
炎魔法を熱心に教わっており、ニナのことも尊敬の眼差しで見ていた。
こいつなら、取り引きできるわ。
生活魔法、テレパシーを送る。いざというときのために仕込んである魔法。
「(ねえ、私を見逃してくれたら、第一級魔法を教えてあげるわ)」
テレパシーの相手は、水流は。
水流はぴくんと一瞬動く。
水流にとって、魅力的な提案だった。
第一級魔法は基本、秘匿する場合が多い。それを教えてくれるというのだ。これで私もスペシャリテ使いになれる。
教えてあげるわ、あなたの体でね。
このピンチを乗り切った後、全員殺すつもりだった。ここまで惨めな気分にされたのだ、惨ったらしく殺そうとニナは思っている。
当然水流も、手足を消し炭にした後、文字通り第一級魔法で殺すつもりだった。
第一級魔法は価値があるものだとニナは知っている。
さl早く、了承を。
水流のあの眼差しから、了承すると信じて疑わない。
しかし、今の水流をニナは見ていなかった。
気付いたときには、視線が下を向いていた。
何でよ!
「・・・・・・師匠は一人・・・・・・他いらない、故に拒絶」
水流は胸を張る。
ちくしょう・・・・・・が。
ニナは気絶する。
橋での戦いは風花達の勝利で終わりを告げた。
連日の孤児脱字報告ありがとうございます。
あんなにたくさんあって恐縮です。
たくさんの誤字脱字報告ありがとうございました。