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スラムでの戦い02


「凄いのじゃ」


「・・・・・・くノ一」


「くっ、私でもここまでできない、何者?」


 今日子の芸当に対するシンリィ、水流、美夜の評価だ。


 少なくてもCクラスの、しかも解除科の人間ができる技ではなく、身のこなしから、かなりの腕前だと三人は判断する。


「やっだだだなぁ~。今日子ちゃんちゃんですよ。はやくいきましょましょま。」


 今日子は言う気はなく、適当にお茶を濁し、前に進む。


 ジト目で見られても気にするそぶりはない。


 あくまで依頼を遂行することで、三人に対しかけらほども興味がないからだ。


 虫に対し興味を持ってないのと一緒で、三人にどう思われたところで、どうってことない。


 御影の『クラブ』の人間だが、会うことはあまりない。


 今回が二回目ぐらいで、御影の事件がなければ、個人的には会わなかった。




 後は一直線だ。


 ここを通り、後は都市に入りさえすれば、『滅多』なことはない。


 距離にして後一〇〇メートル。


 今日子の目が、前方の門、関所の前に立っている二人の人影を捉える。


 門は閉まっており、いつもいる役人ではない。


 それはあり得ない組み合わせ、いやあってはならない人物。


「何してるんっすかギーゼルさん」


 一人目はギーゼル。今日子に依頼した人物。今日子が属している組織のトップで、今は出向という形で御影の元に行ってるが、任期が終われば帰るつもりだ。


 おかしいが、百歩譲って理解はできる。


 何かトラブルがあったのか、この先の情報を伝えにきたとか、依頼の変更だとか。


 考えられる理由は幾つもある。


 しかし、隣の人物がその可能性を消した。


 反クラブ派の筆頭にして、新進気鋭のパーティーの一人。ダンジョンレベル七十を主戦場としているシーフ『風野速道』。


 冒険者達を見て、今日子は分かった。


 クラブ派の対立構造に巻き込まれたと。


『誰か』が、反クラブ派にリークし、結果、他の道でも邪魔が入っているだろうと。


 よりにもよって、最悪の道だと今日子は思う。


 今日子の上位互換。逆立ちしても勝てないと、戦う前から今日子は思う。


 比べるのも馬鹿らしいほど、実力に開きがある。


 ダンジョンレベル五十台と六十台には壁があり、七十台にはさらに山のような壁がそびえ立つ。


 いうなら、五十台は鉄で、六十台はミスリル、七十台はオリハルコンで八十台はアマンダイト、九十台はゴッド位の。


 相手の実力を正確に把握するのも、裏では必須の能力。だから、断然する。


 勝てないと。


 後ろの三人を見る。


 先ほどまで好戦的だったが、今は呑まれている。


「時はな残酷なんだよ。

 間がどうこうじゃねぇ、様は結果だ。

 おれたちスラムは、反クラブ派の依頼をする事にした。

 かていはどうあれ、それが現実だ。

 せつな的になって攻撃するってか、この

 ぐずが、俺の隣にいる人物に手も足もでねーよ。

 にげるなよ。お前等は大切は人質だ。俺を

 げんめつするか、だがよこちらにも生活があんだ

 ろ。おまえ等の頼みの綱の先生さんは転移魔法陣でダンジョンに行った。もうここにいねぇ。」


 今日子は分かった。結局スラムも巻き込まれてしまったようだった。


 より強い権力によって。


 今日子はぎりっと口に歯をたてる。


「いつまで呑まれているっすか逃げるっよ!!」


 持っていた煙幕を張り、三人を正気に戻し、来た道を戻る。


 追っ手は来なかった。ギーゼルが上手くやったか、あるいは、いつでも倒せるといわんばかりの構えか。









「なんなのじゃあれは、死ぬかと思ったのじゃ」


「・・・・・・別格」


「私たちじゃ勝てない、逃げて正解」


 スラム全体を探している冒険者達をかわし、ようやく人心地つける。


 三人も速道を見た瞬間勝てないと分かった。


 相手の実力は測れるのは、成長した証拠だ。


 シンリィや水流は、それができなくて、種次に負けた。


 そのころに比べれば雲泥の差だ。


 その横で、今日子は考える。


 ギーゼルがゴマをすって、速道をあそこに留めているのだろう。


 じゃないのなら、会った瞬間、逃げる時、ギーゼルが話しているとき、いつでも殺れていた。


 新進気鋭パーティー『エンド・ワールド』は六人で活動している。


 剣士:早乙女翼


 戦士:ガオルド


 シーフ:風野速道


 魔法使い:ニナ


 神官:オーガスト


 そしてリーダー池垣隼人。


 おそらくこっちの情報が筒抜けなら、スラムに一人、都市の正門に一人、学園と都市を結ぶ門に一人、そしてダンジョンに三人。本命は雫達が行ったダンジョン。残りの五人も強いがリーダーは別格だ。


 急がないと、詰むっす。


 舞先生が戻ってくる前に全てが終わってしまう。


 四の五の言っている場合ではなかった。


「ちょっとくささくーなところを通るけどだいじょうぶぶ」


 その目は有無を言わさぬ迫力があり、三人は黙って頷いた。





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