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トップ会談02

 

「私も許可を出すのは吝かではありません。ですが貴女は『大切』な部分を隠している。そうですよね」


 純一の物腰は柔らかだ。しかし射抜くような目で、舞先生をみる。


「水田はんのいうとおりやわ~。『このメンツ』で、すぐわかる隠し事なんてないわ~」


「そうですよ舞さん。今日集まったのはそこじゃないです」


「だ、そうだがぁ~」


 サーシャとアルバーンはニヤニヤとしており、アルーンはホログラムのため分からない。


 やはり一筋縄ではいかないか。


 それぞれが御影の事について何かをつかんでいる。


「実は、その生徒はここおられるフォルスさんの娘、フェリスさんと契約している者です」


「ほう、うちの愚娘の。普通の人間なのか?」


 既にフォルスは知っているが、話の流れで知らないふりをする。


「はい、『普通』の人間です」


 フォルスは興味深そうに舞先生を見る。


 レータからの報告で、ある人物と契約し、チュートリアルダンジョンをクリアしたのは知っていた。


 その後の活躍も。


 だからある程度御影に力があることは知っていた。


 無論その程度の情報はここにいる者達なら知っている。


 問題はその先だ。


 どれだけ探しても学園に入学するまでの痕跡が見つからない。


 学園がある桜花国はもちろんの事、随一の情報網を持っている四国連合でさえ足取りを掴めない。


 はっきり言って、不気味意外なにものでもない。


 さらに分からないのは、フェリスの契約者になった点と、舞先生が信頼しているという点だ。


 レータからも、フェリスが何処からか連れてきたと聞く。


 だから、クラブの顧問になった舞先生なら何か知っているのではないか、というのがここに集まる者の見解だ。


「彼から口止めされていたが仕方がありません。彼は『果終街(はてのまち)』出身です。出自や痕跡がなかったのはそのためです。彼にはそこそこ力がありました。だから、奇跡的にそこを脱出して、偶然出会ったのがフェリスというわけです。私も彼に興味を持った者の一人で、彼は私達にはない特別な力を使います。そう、『破滅の十二人』と同じようにです」


 今の日本に死刑はない。最高刑は果終街送りだ。


 千葉から少し離れた島。


 一般人がそこに送り込まれたら数秒で身ぐるみ剥がされ、殺され、一日経てば、臓器はもちろん、血や骨すらどこかに売られる。


 まさに地獄に相応しい環境。


『破滅の十二人』は日本を滅ぼすことを目的とした犯罪集団で、SS級ブラックリスト。苦労して構成員を捕まえ、尋問した結果、幹部級以上が十二人、幹部を殺した奴が次の幹部になり、幹部級の大半は『果終街』出身。その強さはソロでダンジョンレベル八十以上、全員が揃えばレベル九十以上もクリアできると噂されている。


 まさに、一人一人が一騎当千。


 しかし幹部級の姿が確認されているのは四人だけで後はわかっていない。


 何故なら会えば最後殺されるからだ。


 これが、御影と口裏を合わせて作り上げたシナリオ。異世界から来たというより余程信憑性がある。


 ある程度分かっていたのか、トップ連中に驚きはない。玲奈とかは凄く驚いていたが。


「話の続きをお願いします」


 それだけではないだろうと、やんわりと有無を言わせず問う。


「その人物の名は御影友道、年は二十歳、性格は温厚ですが、敵対すると容赦はありません。人を教えるのに長け、クラブのメンバーは加速度的に成長していると聞きます。理由は言えませんが、『破滅の十二人』や犯罪に関わったことがないのは私が保証します。この先彼が問題を起こした場合私が責任をもちます。そして彼の実力は・・・・・・私以上です」


 このときばかりは、一様に驚きの表情を浮かべている。


 驚いた内容については様々だが、大半を占めるのは御影の実力だ。 


 舞先生の実力は他国にも知れ渡っており、表の人物だけなら五本の指に入る。


 それよりも強いとなると、各国がにわかに騒がしくなったのも頷ける。


 これが舞先生が言えると考えたぎりぎりのライン。


 御影が注目を浴びるのは仕方ない。既に興味をもたれていたのだから。


 しかし、まだあのことは言えない。


「そして、学園には・・・・・・」







 三時間後、契約は成立した。


 効力が発揮するのは明日、ギルドに申請して受理されてからだ。


 しかしニャルコのタイムリミットは刻一刻と近づいていた



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