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その頃の御影06~ダンジョンの扉を壊せ!02~


「うにゃにゃー、死ぬにゃー」


 すごい勢いで落ちてくるニャルコを風魔法で緩和して受け止め、御影は予想外の事に驚きを隠せない。


「にゃにゃにゃんにゃ~~~」


 ニャルコも結果を確認しようと振り向き驚きの声を上げる。


 それは摩訶不思議な現象。数多くの人がダンジョンにこれまで入ってきた。そして、誰も見たことがないであろう光景が広がっている。


 御影は予想していたのは、扉を破るか破られないかだ。


 ロンギヌスの槍、破壊の申し子にして、破壊しか生み出さない槍。


 使った後に残るのは無だ。


 何も残らない。


 ゆえに最強の矛。


 それは、ダンジョンの理を改変できるほどに。


 一方、ダンジョンの壁や扉は、完全防御の代物。異世界でも誰かが壊したとは聞いたことがなく、あっちの世界では試したことがなかった。


 最強の矛と盾。


 何にしても、ダンジョンを揺るがすような凄まじい衝突はあると思っていた。


 しかし。


「共鳴しているのか」


 扉に当たる直前で止まっていた。


 地面に落ちるわけではなく、中に浮いたまま。


 それはまるで、話し合っているかのように。


 敵対するのではなく、その空間がオーロラに包まれているかのような、幻想的は風景。


 そこで、なにを語り合っているのか、御影達は知る由もない。


 でも、この光景が終わる時何かが起こるだろうと確信していた。


 時間にして二分少々。短い会合は終わりを告げ、槍はカランと音を立て、地面に落ちる。


 何も起こらないのか。


 御影は落ちた槍を手に取ったがまるで変わったところはなく、扉も先ほどと変わったところはない。


「んんにゃー、使えないにゃー」


 異変に最初に気づいたのはニャルコだった。


 困った感じで走り回っている。


 御影もすぐに違和感を感じた。


 魔力と気を感じられない。


 まだ四日目まで時間があるはずだった。


 なのに使えない。


 次に問題を見る。


 そこにはこう書かれていた。


 ○ルール違反発生、ペナルティとして一日追加


 つまりそう言う事だ。


 三日目が四日目に変更し、魔法と気を使えなくなった。


「シャー、どうしてくれるにゃー、裏目になったにゃー」


 ニャルコは、耳をピンと立たせ、御影に抗議する。


 御影達のやった事は結果的には裏目にでてしまった。


 ダンジョンの意志の逆燐にふれたのかもしれない。


 しかし、そんな風には御影には見えなかった。


 御影が槍を亜空庫に入れるまでは問題なく使えた。


 と、御影は考える。


 まるで、槍を入れるのを待っていたかのような。


 何にしても・・・・・・。


「びにゃーー、聞いてるかにゃー」



 まずい事になったと。





「どうするにゃどうすにゃどうするにゃ~~~~」


 ニャルコは相変わらず不機嫌なままだ。


 御影の周囲を回っている。非常にうざったい。


「今ニャルコが装備しているものやるから、じっとしていろ」


 機械のように停止し、電池が切れたかのように静かになり、お口をチャックしていた。


 全くもって現金な奴だ。ここを出なければ猫に小判だというのに。


 でもそんなニャルコの事を嫌いではなかった。


 リミットは一日短縮して、このままだと一日と少しで、ニャルコはレッドラインに突入する。


 おそらくそれまでに救出にくる事はないだろうと御影は思っている。


 二日と少しも、かなり絶望的確率だとと思っていたので、挑戦したことに後悔はない。


 只、確認しなければいけないことができた。できればしたくはなかったのだが。


「一つ確認するが、ニャルコは何でも飲んで食えるか」


 もちろん、きちんと食料や水があればいい。しかし不測の事態、これから先冒険者としてダンジョンにいく場合、食料と水がなく探索しないといけない場面が必ずある。


 今の場面もそうだ。


 そうなった時、人の尊厳、プライドを捨てないと死ぬ。


 拘ったもの、踏ん切りがつかなかったものは、衰弱して、モンスターに殺されるか、トラップにかかって死ぬか、餓死するか、いづれも死ぬ可能性が高い。


 だから、そういう冒険者がパーティー内にいたとき、置き去りにするのは優しい方で、大抵の者は殺してしまう。


 そういう人物はパーティーの害悪にしかならないからだ。


 熟練になるにつれ、そういう人物はいなくなる。誰も彼も何回かは経験することだからだ。


 御影も数え切れないほど経験したことはある。


 でもニャルコは学生のためそおいう経験はしてないだろうと思っている。


 ニャルコは、んっと考えにへらと脳天気に笑う。


「にゃーは・・・・・・にゃー」


 そして生存をかけた過酷な・・・・・・間が始まった。



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