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レベルの説明です

 リーデハルトはマイペースで慇懃無礼の見た目で得するギルド職員である。いつの間にか固定ファンを着々と増やしファンクラブまで作られているのだが本人に一切自覚はない。何て罪作りな野郎だ。


 今回査定するダンジョンは「雪禍の嘆き」だ。名前通りダンジョン内は万年雪で覆われており登場するモンスターも雪や氷の能力を持っている。

 薄氷の道は一歩間違えれば簡単に割り砕け、階下へと真っ逆さまに落ちていく。トラップではないその道は罠解除技能が効かない。レベルは7。


 ダンジョンはレベル1~レベル10で評価されている。レベル1が初心者でもソロで冒険出来、レベル2はDランクならパーティーを組む必要がある。

 レベル3で一般的なCランク冒険者がソロで攻略するダンジョンらしいダンジョンであり、レベル4はBランクが下ランクの冒険者を指導するのに適する難易度だ。


 レベル5は一流の冒険者なら難しくはあるがソロでも攻略出来、レベル6は複数人で挑まないと厳しい強さになる。レベル7はAランクに昇進したばかりの冒険者が腕試しに攻略するダンジョン、レベル8が英雄Aランクでないと厳しい難易度を誇る。


 レベル9はもっぱら災害級Sクラスが探索するダンジョンである。そしてレベル10。これは現在、リーデハルトしか攻略出来ていない超高難易度ダンジョンである。


 入った瞬間殺人的トラップが襲いかかり、モンスターも人間のように高度な思考を持ちパーティーを組んで襲いかかってくるレベル10。

 攻略出来るのも査定出来るのもリーデハルトしかいないため、彼はこのダンジョンが嫌いだった。面倒くさいから。


 幸いにもレベル10は一つしかないため、定期的に間引きすればスタンピードと呼ばれる魔物の大量暴走も起こることはない。

 その攻略のためだけにリーデハルトはギルド職員にならざるを得なかったのだ。


 代わりに彼はギルド長に、孤島マルユノに建てられた塔の管理と維持、食事提供のための人材や物資供給を要望している。Sランクにまともに対応出来る存在はそう多くないが、ギルド長は上手いこと人材を見繕っているらしい。


 今回査定するダンジョンはレベル7。Bランクになったばかりの冒険者二人と普通のギルド職員なら入ることはなかっただろうが、元Sランクのリーデハルトがいるため探索する運びとなった。


 タンバとニワは彼がSランクとは知らないため、査定するダンジョンが知らされた時には「Aランク冒険者と同等の実力を持っているとは流石はハルトさん。きっとAランクの中でも上位に位置する実力者に違いない」と思っていた。これは他の冒険者も同じで、リーデハルトがSランクだと知っている者は極少数派だ。


 「雪禍の嘆き」対策のためしっかりと防寒装備に身を包み、雪や氷に強い炎系の宝神器武器を用意してきたタンバとニワ。背負った魔力鞄には大量の食料と水が詰め込まれている。


 この魔力鞄は値段に比例して内容量が天地にも差があり、高位のものは中の時間を停止出来る異次元空間になっていた。二人が持っているものは中位であり、内容量は一週間分の食料と水を入れてもまだ余裕がある。

 中身の時間は停止しないが、進みは外と比べある程度遅くなっていた。そして魔力鞄は共通して重さを感じない。


 宝神器の一種でもあるそれは、下位なら初心者用のダンジョンでもドロップし、魔道具士でも再現可能な装備品である。高位の物はレベル5以上または高位魔道具士でないと作成出来ないが、冒険者必須と言われる道具であった。


 比べてリーデハルトはいつも通りのギルド職員制服に、せいぜい査定と鑑定のための回収袋と冊子を入れた小型の魔力鞄しか持ってこなかった。


 明らかな軽装にも二人は「ハルト様はこれほど難しいダンジョンですら普段のご自分を崩さないとは。流石です一生着いて行きます」と都合のいい方へ解釈する。


 実際には転移魔法で必要なものは持って来られるし、いつでも帰ることが出来るからなのだが、転移魔法は魔力を大量消費するため普通はそう頻繁に使わない。

 一日に何度も繰り返し使用しても何ともないリーデハルトは、やはりSランクに相応しい存在であった。

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