表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/112

出発の前に!

 ラフィリアード家の双子の七歳の誕生日は、国を挙げての祝日となり朝から祝砲があがり、夜には花火も上がったが、この歳の誕生日は屋敷の中、家族だけで過ごすことにした。


 翌日には留学の為、タイターナ公国へと向かう予定だからである。

 ごくごく身内だけという事で、ラフィリアード家の曾お婆様と父母、母の実家のアークフィル公爵家のおじい様、おばあ様、そしてリミアの許嫁のティムンが招かれた。


「ジーン、リミア、学園への入学おめでとう!」

 オレンジ色の髪と蜂蜜色の瞳のその美しい青年は双子達に満面の笑みで抱きつく。


「「ありがとうございます!」」

 二人は、しゃがんでハグをするティムンに頬を紅潮させて返事をする。

 本当に仲良しなのである。


「兄様、兄様お願いがありますの」リミアがティムンに上目遣いのすがるような目でお願いと声をかける。

「かっ…かわ…いや、何だい?リミア」思わずそのかわゆさに、口元を抑えてティムンが聞き返す。


「兄様、リミアは頑張って早く大人になりますわ!だから、社交界に出ても恋人とか作らないでほしいのです!婚約解消とかしないでほしいのです」


「ぐはっ…もう何言って…」

 はわわ…と悶えつつ、うれ恥ずかしがるティムンに、リミアは真剣に訴える。

「真面目なお話ですの!」


「ははっ、わかったよ。大丈夫。僕はリミアの許嫁だからね?君が誰か他に好きな人が出来ない限りは、そんなに急がなくてもちゃんと待っている自信があるからね?」と穏やかに笑った。


 その場限りの口約束…。

 それでも今のリミアにとっては希望となった。


「「ほぉ(まぁ)」」と両親も微笑ましいものを見るようにリミアとティムンの様子を見ていた。


 小さな女の子にも優しいティムンの対応は素晴らしく、周りの皆はにこやかに頷き合いながら、その可愛らしいやり取りに微笑む。


「リミアは、本当にティムンが大好きなのねぇ?」とルミアーナが笑った。

「うんうん、ほんとにティムンが相手なら安心なんだけどな」と父ダルタスも軽く笑いながら受け応える。


 そんな両親の軽い言い様にリミアは少しばかりむっとしながらも

「お母様、私、ティムン兄様以外のところにお嫁にはいきませんからっ!」と言い切った。


 そんなリミアのきっぱりとした言い様に『孫命!』のアークフィル家のおじいさまは大喜びである。

「よくぞ、言った!リミア!卒業したらそのまま我が家へ嫁入りしてきなさい!」

「ほんとね」とおばあ様も笑った。


 この時は、皆、そうなればいいなぁ~くらいに微笑ましく思って皆が笑っていた。


 ティムンもこんな事をいうリミアの事を純粋に可愛いなぁ~としみじみ感激していた。


(まぁ、大きくなって、それこそ学園で好きな男の子とかできちゃうんだろうな~?ちょっと寂しいな~…)などと思いをはせるのだった。


 ジーンだけはわずか六歳の初恋の()()を真剣に心配していたが…。


 そして翌日、リミアとジーンは旅だった。

 供は人がたをとり従者に身をやつした精霊のリンとシンである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ