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序章

 それは異なる世界の物語。

 魔法と精霊。

 精霊の宿りし聖なる”月の石”が崇められし国から始まる物語。


 ***


 凍てつくような冬の朝。

 湯気が立ち上る中、雪が静かに降り積もっていく。


 温泉街でもある、ここラフィリル王国王都ラフィールは、用水路に流れる温泉のお湯からも湯気が立ち上りその湯気が空気中で凍り、朝日の光が反射してキラキラと、まるで虹の欠片が舞うかのように七色の光が漂う。


 ラフィリルの冬の風物詩とも言えるこの幻想的な美しい光景は冬の一番寒く眩しい程の日の光などの条件がそろった時にだけ見られる『彩輝(さいき)』と呼ばれるものである。


 街並みは真新しく清潔で、道路も建物も綺麗に整えられ美しい。

 広場には温泉の湧き出る噴水があり美しい女神と精霊の彫像が設置され花壇には冬の最中、咲き誇るという淡い水色と白の小さな花、雪雫花がふんだんに植えられている。

 行きかう人々も皆、幸せそうで貧困街というものがこの街にはなかった。


 そんな美しいこの国、この街は、五年前、黒魔石と呼ばれる負の力を宿す魔石の瘴気が溢れ大きな地震と地割れ、そして地上の動物たちが魔物と化して溢れだすという未曾有の魔災害が起きた。


 王城、神殿、街並み、ことごとく瓦礫と化したその時、この『はじまりの国』と呼ばれるラフィリルに精霊軍が異界から現れ、魔を一蹴したことは、まだ伝説として語られるには新しい出来事だった。


 街の損壊は酷いものだったが人々は、それを機に奮起し街は新しく生まれ変わった。


 より美しく!より住みやすく!より機能的に!


 人々は精霊と女神の加護に希望と光を見出し新たな希望を胸に再起したのである。


 そんな精霊からの特別な加護を受けるこの国には、『現存する女神』とも『月の石の主』とも呼ばれる美しい公爵夫人がいた。


 ルミアーナ・ラフィリアード公爵夫人、精霊の宿りし月の石の主であり、この世界に現れる精霊達のたった一人の主である。


 そして、その夫ダルタス・ラフィリアード公爵。

 この国の要、三将軍の一人、この国の英雄、鬼将軍と呼ばれる猛将である。


 この女神と呼ばれる公爵夫人が未曾有の黒魔石に寄る大災害の時、自らの魔力とお腹に宿る子供達の魔力により精霊軍をこの世界に召喚し、その危機を救い、あまつさえ、その精霊軍の人ならざる神々しい空の行進は他国への強いけん制となった。


 この世界のはじまりの国にして、精霊に護られし伝説の国ラフィリルを崇めない国はこの世界にはないだろう。


 このお話は、そんな国に()()()()()として生まれた幼い双子の物語である。

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