思う事…
早朝、車を走らせる。
何かに苛立つと決まって車を出す。目的地は別にない。ただ走らせる事で嫌な事を風に流すのだ。
首都高を抜け湾岸から京葉道、そして館山自動車道を走る。平日の館山道は…日本で2番目に空いている高速道路だけあり…特に下りは空いている。
苛立ちを踏みしめる様に…子供じみた行為とわかっていながらも…アクセルを踏み込み。苛立ちを具現化したエンジンは唸り声を上げ、加速度的に速度を上げる。
一時間足らずで“海ほたるPA”に到着。
車を降りると…家を出た時には気付かなかったが…今朝は、昨日の五月晴れが嘘の様に肌寒い。海の上だからか?何かに羽織る物は?と車内を見渡すと後部座席にストールがあった。無いよりマシか、と思い首に巻き付ける。すると甘い嗅ぎ慣れた匂いがする。普段、この匂いに包まれると落ち着き、癒されもするが、今は邪魔。『煩わしい』と“わざ”と声に出し、ストールを助手席へ投げ捨てる。
喫煙所で一服する。三ヶ月前から煙草を吸う様になった。昔から酒も女も賭事もやらない、ストレスのはけ口が喫煙と言う形になった。決して煙草が好きな訳ではない。立て続けに三本吸う、口の中がヤニとタールで苦々しく感じる。血管が収縮したせいか、興奮していた頭は幾分冷静になった。少し目の前がくらつきながらも、PA内のスタバへ向かう。
カフェラテを注文し席に着く。すると側には、これからか出掛けるであろう女性の二人組が…おそらくママ友が…会話に花を咲かしている。お互いの家族に付いて、子供の、互いの家庭について話している。一人は膨よかな、もう一人は華奢な女性。揃えたのか?流行りなのか?二人共白のカットソーにジャンバースカート、白のスニーカー。二人共、緩くパーマを当てたセミロング、ダークブラウンに染めた髪を無造作に束めている。一見すると姉妹か?と思う程、外見は似ている。
会話が盛り上がるにつれて、声のトーンに緩急が付き、姿勢が前のめりなっている。余程、会話に没頭しているのか、かなりの音量で会話は“ダダ漏れ”だ。
華奢な女性の方は“やんちゃ”な性格なのか?口調はやや乱暴だ。知識もやや希薄だと思われる。メールのCCやGメール、ショートメッセの使い方に付いて話しているが、膨よかな女性が質問しても“しらね”と言い切り捨てる。自分の経験からしか話しを出来ないタイプだと想像つく。
ふと、姉の事を思い出す。新しい知識、勉強する事も無く自分の出来る事だけをして過ごしている。
それが悪い訳ではない。女は“それ”で良い。家に居て、美味い料理を作り、男を勃たせれば良い。
俺は、女にそれ以上求めない。それだけで良い。
決して“男尊女卑”ではない。女には…女性を“尊ぶ”からこそ…仕事という争いごとには関わってもらいたくない。余計なストレスは抱え込まずに笑っていてもらいたい。
そんな風に考える。こんな事を書くと…女を専業主婦をわかってない…批判されると思うが、何も主婦の日常に無関心な訳ではない。ママ友同士、子供の世話、町内会の付き合いと様々な問題で頭を悩ます場面も多いのは承知している。そんな時は、男を頼って欲しい。頼らずとも愚痴を吐き出して欲しい。聞くぐらいなら、もしかしたら何か助言が出来るかもしれない。だから、たまには此方の愚痴も聞いて欲しい。黙って抱かしてもらいたい。ただ甘えたい。
冷静さを取り戻した頭は、昨夜のことを内省し互いの考えを分析する。
『言うは易し、するは難し』
冷静になれば簡単に考え至るが、実際、なかなか難しい。忙しさにかまけて、自分だけが…と思ってしまう。
帰ったら抱きしめよう。
いつもありがとう…と感謝を込めて抱きしめよう。