人)No.69「タイ人に学ぶこと」
タイ人に学ぶことが、時々ある—————。
彼らは、両親を非常に大事にする。
日本人が両親を大事にしないとは言ってないのだが、昭和の時代に残っていた大家族制みたいなのがここタイでは田舎を中心に残っている。
じいちゃん、ばぁーちゃん、とーちゃん、かぁーちゃん、おばちゃん、おっちゃん……みんなんで暮らしている。
子供達は、そういう両親が親の面倒を看る姿を見て育ってるもんだから、ごくあたり前に自分たちも大人になったら親の面倒を看るのは普通のことだと思っているのだ。
タイ人の若者の多くは、田舎から大都会バンコクやバンコク近辺の工業団地などに働きに出てくる。
しかし、それなりの年齢になると当然、両親も年老いることになる。両親が年老いても元気な場合は、仕送りさえしていればいいのだが、いざ病院の世話になるようなことになると、彼らは今の職を捨てでも田舎に戻り両親の面倒を看る。もしくは金を払って、代わりに看護してくれるものを雇ったり。
タイでは一般庶民は、病院に入院などすると、あっというまに貧困に陥る。医療費が高いのだ。
であるから、病気を患った親を持つ子供達は、大変だ。毎月の仕送りだけでは足りず、借金してでも仕送りをする。
いや、それって、当たり前でしょ?————
ですよね。当たり前なんだけど、なかなか出来ることじゃないと思う。自分も思うのだが、年老いても子供の世話にはなりたくない。子供の家庭に負担をかけたくないと思っている。
おそらくタイ人とて同じなのだろうけど、やはり医療費の高さはそれを許してくれない。日本のように「生活保護」や「社会保険制度」はほとんどない国だから、子供たちに頼らざるを得ないのだ。
せっかく、入社した優良企業を辞めて、田舎で畑仕事してでも親の面倒を看る彼らを見ていると、偉いな—、とても出来ることじゃないよな、俺たちには………と思う。
それを彼らも、不幸なことだと思っていないようだ(本当はどうかはわからないけど)
確かに、日本の場合だと「介護施設」がある程度整っている。介護保険制度もある。だから、子供達の“犠牲”は限定出来である。それでも介護疲れによる肉親殺人は起こる。
それと、平均寿命の違いもあるかもしれない。日本人の場合、男女ともに80歳前後であり、かなり高齢化社会であるが、タイの場合は70歳前後までそれは落ちる。
だから……面倒が看れる、と言ってしまえば血も涙もないやつだと言われそうだが、それが現実ではなかろうか。
子供が親の面倒を看るのは当たり前————。
両親を二人とも亡くしている筆者が
親孝行、したい時に親は居ず————と、嘆くのは、やはり身軽であるが故に言えることなんじゃないかと思う。
自戒を含めて思う。
子供には迷惑をかけず死にたいものだ—————と。
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【古都水没】
“微笑みの国”——タイ王国で2011年に発生した巨大洪水と戦った日本人たちの100日の記録
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