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労)No.67「タイ人と働くこと」

日本人がタイで働くには、ちょっとした覚悟が必要だ————。


 日本人と言っても、日系企業の駐在員のことを指して話をしたい。現地採用の日本人や、タイローカル企業で働く日本人の場合は後日また別項で話をすることにする。


 現地に進出した日系企業に「駐在員」として派遣された場合、当然部下の多くはタイ人ということになる。そう、タイ人と一緒に働くのだ。

 このエッセイでも何度もお話しているが、タイにはタイの文化や風習そしてそこで育ったタイ人の「気質」というものがあって、それを無視して我々日本人が「会社経営」を進めることは、ほぼ失敗を招くといっても過言ではないと思う。


 日本の「品質」や「安全性」「良質のサービス」を維持するには、当然ながら日本人的な発想や規範に沿って働いてもらわねばならないのだが、それを闇雲に頭から強制すると、必ずと言っていいほど「壁」に突き当たり、右往左往してしまうことになる。


 多くのタイ駐在員を悩ますのが、この日本人とタイ人の間にある「ズレ」であろう。


「ズレ」があるから、自分たちのレベルまで引き上げようと一生懸命に教育をし規範を作って縛ることになるのだが、どうもタイ人というのは、「規範」や「規律」「ルール」の類に弱いらしい。


 基本、 自由人なのだ、彼らは————。 


 よって、私が十年以上ここに居て、得た結論は、こうだ。


 七割、八割出来たら、良しとしよう———、である。残りの二割、三割は伸び代として残しておこう(伸びないかもしれんけどね)。


 これは、例えば、トヨタとかキャノン、パナソソニックなど、日本を代表する一流企業では通じる考えではないと思う。彼らは会社に自力があるから教育システムも整っているし、タイ人への待遇も行き届いているから比較的、日本人の考え方を植え付けるだけの素地が整っている。もちろん、高い教育を受けてきたタイ人労働者を雇えるから尚更だ。


 前にも書いたが、「教育水準の低さ」による「社員教育」の難しさが一番のネックなのだ。日本人が新入社員に求めるレベルは日本だと、ある程度教育レベルの高い人材に求めることができるからスタートラインが違うのだ。


 よって、中学卒や高校卒の若い子たちに、「品質の何たるか」や「ルールを守る必要性」なんかを理屈をこねて教え込むのは徒労に近いものがある。やっと育ったと思えば、給料の高い他社に行ってしまうこともあるし。そういう意味で、あえて言うならば………


 日本が特殊なのだ。日本人が優秀すぎるのだ———。


 これは身贔屓でも、高慢でもなんでもない。実感なのだ。


 新しく、タイに「駐在員」として赴任した諸兄は、この点を押さえてから日々、タイ人と働くことが肝要です。


 タイ人を馬鹿にしてるわけでも、侮ってるわけでもない。


 これが現実なんです————。


 だから、日本は世界において、いまだに冠たる先進国として生きて行けてるのです。


 話のオチを言うならば、「タイ人と働くこと」———とは、「タイ人目線」で物事を考えてみることを時にやってみることです。

 なんでもかんでも「日本人目線」でやってると、うまくいきませんし、何よりも、貴方の精神衛生に悪いですよ(笑)


 タイの時間の流れに沿った、タイ人視線での考え方に、時に身を置くことをお勧めします。

 それは日本人としての矜持を捨てよというのではなくて、そういう余裕が必要だってことなんです。


 是非、やってみてください……何かが見えてきますから。


————————————————

タイを題材にした【新作を好評連載中です】

 併せて、ご愛読いただければ幸いです。


【古都水没】

“微笑みの国”——タイ王国で2011年に発生した巨大洪水と戦った日本人たちの100日の記録

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054884330435 『外部サイト、カクヨム』にて

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