教)No.63「タイの教育システム」
タイも中学までは義務教育だ—————。
そう、日本と同じく9年の義務教育。その下の幼稚園とか保育園はあるにはあるが、日本ほど浸透してなくて、大方の幼児は田舎で爺ちゃん婆ちゃんや、叔母さんとかと暮らしている。
中学を卒業すると、三年制の普通科と工業系の高校に分かれて進学することになる。別枠で五年制の、日本で言う所の「高専」もある。
あとは、大学の四年。
ほぼ日本と同じシステムです。まぁ、違う点と言えば、相互の編入制度があることと、「通信教育」による大学卒業資格の認定が割とメジャーであること。
ただ、大学に関しては、日本みたいに数は多くない。進学率はかなり低い。ていうか、授業料含めて、庶民にはなかなか敷居が高いのだ。
筆者がタイに来た頃の社員のほとんどは、中卒か、高卒だった。高専卒ならエリートな方で、大卒なるとかなり少なかった。
あれから、10年以上が過ぎ、賃金も高騰しタイも中流家庭が増えた関係か、少し借金すれば大学に進めるようになったみたいだ。
(一部、大金持ちのドラ息子、バカ娘は別。彼らは、フェラリーやベンツでご通学な身分で、これは今も昔も変わらない)
ただ、タイの大学の教育レベルは低い———。
まぁ、昨今の日本も連立方程式どころか、四則演算もままならぬ者が無試験や推薦で進学するから、酷いことになっているようだが。
ただ、タイの国立大学で名門と呼ばれるところを卒業してきた奴らですら、円周率を知らない。アメリカの首都を知らない。EUって何?……
みたいな、そんなレベル。(タイの国立大って割と金を出せば入れるみたい)
そんなだから、推して知るべしで、Cランクの大学を卒業してきた奴らときたら、いっちょまえなのは口とプライドの高さだけ(笑)
うちの会社の掃除のおばちゃん、小学校しか出てないけど、英語もできるし、計算も達者だ。最近はエクセルも操れるようになってる。彼女の場合は自頭が良いんだろうね、不幸にも家に金が無かったが故に高等教育を受けられなかっただけなのだ。
やっぱり、どこの国にも「努力の人」は居るんだよね。
けど、悲しいことに、タイは「身分制度」が色濃く残る国だ。
小学校卒の人間がいくら英語が話せても、エクセルが使えても、最初の入り口の仕事は「掃除のおばちゃん」しかない————。
筆者は彼女を抜擢しそれなりの仕事をさせたいと思うのだが、そんな異例なことすると反発が強くて、結局は彼女を苦しめることになるので、控えているのだが………。
「努力」が報われる社会—————、ってほんとあるんだろうか?
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【古都水没】
“微笑みの国”——タイ王国で2011年に発生した巨大洪水と戦った日本人たちの100日の記録
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