人)No.32「マイペンライ」ーに、騙されるな
「マイペンライ」———。
タイ語で、意味は、「なんとかなるさ」「気にしてないよ」「大丈夫っ」——
ってな感じ。
日本語で言う(沖縄の方言)「なんくるないさぁー」に似てる……気がする、のは最初だけ。
これ、けっこう深い言葉なんだよね——最近、そう思う。
よく、タイ人って、南国らしく、「おおらか」で「さっぱり」した性格だと言われるけど、私はそうは思わない。
確かに、あの例の「微笑み」とか、この「マイペンライ」に代表されるように、タイ人の、物事へのこだわり、っていうか広い心みたいなんを語られるけど、私はタイ人ほど、繊細で打たれ弱い人々は居ないと思う。
(もっとも、全世界の人間に接したわけじゃないけど、一般に捉えられてる感覚からして、どうだ、って視点です)
タイ人は、よく拗ねる。
マイペンライと言いながら、ネチネチ、ジメジメといつまでも拘っている。
たとえば、昇給シーズンのこと。
Aくん 昇給額500バーツ
Bくん 昇給額450バーツ
と、したとしよう。その差は、日本円で150円だ。
Bくん、には、Aくんより50バーツ少ないことの理由をちゃんと説明している。
彼は、微笑んで答える
——マイペンライ! カオチャイ カオチャイ (わかりました!、って感じ)
で、明くる日から、会社に来ない。理由は「マイサバーイ」(体調が悪い)
あんだけ、ピンピン、ヘラヘラ笑ってたやつが急に体調が悪くなるはずがない。
拗ねてる、のだ———。
ささやかな、抵抗のつもりだろう。
こっちも慣れたもんだ。捨て置く。そのうち来るだろう。休めば休むほど、また評価が落ちて、来年の昇給やボーナスに響くだけなのに(笑)
で———。
三日もすりゃ、ケロッっとした顔でまた出勤してくる。
その時にちゃんと、言い含めておく。
——休むのはタイ政府も公認の「有給休暇」だから、なんも言わんけど、来年の査定の時、ちゃんと、俺は覚えておくからな。
と、ビシっと言っておく。
【駐在員心得】
タイ人は、よく拗ねる。拗ねて会社に来ないことはしょっちゅーあること。その時は、きっちり自分のノートの記録しておくこと。
何の理由で拗ねて、何の理由をつけて休んだか。きっと、なんかの時に役にたつんで。タイ社会は「書いたもん」には弱いのです。書類社会なんですね。




