表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/95

9 病室にて反省します

バカップル注意報 発令中!

病室に戻ってベッドに寝ます。いえ、身体は起こしているので座った状態で、旦那と向き合います。


「えーと、ごめん、旦那。もしかしなくてもまずかったのね、私」

「やっとわかってくれたようですね。だから家でもおとなしく安静にしていてほしかったのですけどねぇ~」


うん。本当にごめん。せっかく休ませようとしてくれたのに、いうこと聞かなくて。

旦那が私の頭にポンと手を乗せてきた。


「わかってますから。舞子さんは家族のことが好きすぎますよ。いろいろしたいのはわかりますが、まずは身体を労わって休んでください。でないと中学に迷惑をかけることになりますよ」

「そうだよね。次年度役員受けちゃったし」

「それについては私も悪いですよね。舞子さんが役員をやってくれるのに甘えてしまって。どうしても駄目なら私が役員をやりますからね」

「ありがとう、旦那。でも私が受けたんだから私がやるよ」

「舞子さん、私を甘やかさなくていいのですよ。今まで楽をさせて頂いたのですから私がやりますよ」

「そんなことないってば。私がやりたくて役員引き受けているんだもの」

「いえいえ私の不甲斐なさが・・・と言うかたまには名前を呼んでくれませんか、舞子」


・・・不意打ちです。旦那~。呼び捨てにドキリとしたじゃないですか~。


「え~と・・・」

「駄目ですか?今は子供達もいませんし」

「えー、あー、はい。浩輝ひろきさん」

「・・・相変わらずかわいいですね、舞子は。そんなかわいい顔をされると手を出したくなりますよ」


そこでおかしそうに微笑むな~!悪かったわね。名前を呼ぶだけで真っ赤になってる自覚はあるわよ!

・・・あのね。ここは病院なんだけど。なんで頭から頬に手をあてるのよ。・・・って顎に手がかかったんだけど?


「そこまでにしてくれないかしら。でないとバカップルっていうわよ」

「チッ」


私と旦那の会話に割りこんできたのは、中学からの親友亜季子。苦虫を噛み潰したような顔で現れました。持っていたコンビニの袋を差し出したよ。

・・・って、旦那?いま舌打ちしました?ねえ、ここは病室よ。カーテンで仕切られてるとはいえ部屋の中には人がいるのよ。


「とりあえず飲み物ね。これならいいんでしょ」


見るとミネラルウォーターが入っていた。旦那が立ち上がり椅子を亜季子に進めたの。それに座って私の顔を覗き込んできた。


「少しは顔色がいいようね。ところでなんであんな会話になっていたの」


というかどこから聞いてたの?えっ、家でもおとなしく・・・から・・・。


遠慮のない亜季子の言葉に私は病状説明が頭に入っていなかったことを話した。亜季子はその言葉にため息を吐くと言った。


「やっぱりね。あの説明、おかしいと思っていたのよ」


そうなのよ、亜季子もなろうユーザーなの。ついでに言うと私の作品のブレーン的存在な人でもあるのよ。煮詰まった時は彼女によく話していたからね~。次はこんな展開にしたいけどどうかな?とか、ここのとこおかしくない?とかね。投稿始める前の作品も彼女には読ませていたから、最近投稿した昔の作品も覚えていたのよ。


・・・は、いいとしてなんと言いました?今。


「だって入院前に点滴に通うのっておかしいじゃない。きっと舞子のことだから無理を言って入院を伸ばしたんだろうなって、思っていたのよ」


ハッハッハッ。バレてーら。彼女には私の性格も行動もお見通しね。


「それでさ、舞子。みんなにはお見舞いに来てもいいけど、お見舞い金も品物もいらないと伝えておいたからね」

「ありがとう~、キャン。いつもごめんね」

「まあ、いいわよ。それより・・・このノート何?」


あっ!見つかっちゃった。本を読むのをやめて少し書いてたんだけど~。


「見ていい?・・・何を書き始めているのよ。闘病記?・・・これ入院前から書いていたでしょ。・・・脚色をかなりしているじゃない。・・・ねえ、もしかしてこれもアップする予定なの?」


鋭い。・・・だってさ~、パソコンに触れなかったし、頭に霞がかかっているみたいに、連載の続きを考えるのが面倒くて・・・。それよりも今回の事を思い出していたらさ、脚色部分が思いついちゃったんだよね。・・・ではなくて、真面目に病気のことと向き合おうと思ったのよ。それを書き記すつもりだったのよ。


な・の・に!

フハハハハハ~!これが作家魂というやつか?やっぱり面白可笑しくしないとな。


「って、痛いってば~、キャン。なんでデコピンなんかするのよ~」

「うるさい!今の全部声に出してたからね。周りの迷惑考えなさい」


首を縮めて反省しました。


「ところでアップする予定ならこれ、貸しなさい。またメモリーに入れといてあげるわよ」

「キャン!愛してる!」


キャンの手を握ってそう言ったら旦那が横で「私のことは?」と軽く涙目でした。

キャンには金曜日にノートを渡す約束をしたの。持つべきものは親友ね。


このキャンこと亜季子は中学からの親友だ。彼女とは部活が一緒で2年の時に同じクラスになった。その中2の時に他に女子2名と男子5名と仲良くなり、いまだに年に何度か飲み会をする仲だったりする。それに実は彼女とは家がとっても近いのだ。うちの3軒隣斜め向かいが彼女の家。去年そこの家主のお婆ちゃんが、娘さんの説得に負けて家を売って娘さんのところに行っちゃったの。そこを買ったのが、キャンの旦那。キャンと結婚するために私の家のそばに、家を用意するなんてことをやらかしてくれましたよ。


まあ、キャンのことは置いておいて、そろそろ旦那も家に帰さないと。息子娘だけでなくワンニャンも待っているものね。


旦那。家のことは頼んだぞ!


そう言ったら渋々帰って行ったけど、どこ見てたの?旦那。名残惜し気はうれしいけどさ~。

唇見るの禁止~!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ