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71 常々言いたかったこと

他の皆もあ然呆然とした顔で私のことを見ていた。私は皆のことを睨みつけた。


舞「さっきから聞いていれば、珪が悪いみたいに言っているけどさ、あんたたちにも問題があるんでしょうが。まず、宏文!」

宏「はい」(ぴしりと背筋を伸ばした)

舞「珪が話さないって言うけどさ、私は見ていたんだからね。今までも、珪は会った時にきちんと皆に挨拶をしてたけど、あんたは挨拶を返したことって数えるほどしかないわよ。特にここ5年は軽く無視してたわよね」

宏「えっ、俺そんなことしてないけど」

舞「していたの。他の人と話してたり、電話で話していることがほとんどだったの」

椿「そう言われて見ればそうね。遅れてくるのがほとんどだったから、宏文君のほうから謝りながら来ていたけど、宇津木君とは話してないわね」


椿姫さんの言葉に愕然とした顔をする、宏文。私は視線を移して英紀のことを見た。英紀はビクッと肩を揺らした。


舞「英紀はさ、高幸同様話を振って盛り上げてくれるけど、珪が話す邪魔をよくしてたよね。最初はわざとやっているのかと思ったけど、悪気がないのは分かっていたよ。でも、自分が自分がって、うるさ過ぎ!」

英「う、うるさい?」

美「ああ~、そうよ~。私も話を取られたことが何度かあったよ~」


美那ちゃんの言葉にショックを受けて俯いて「うるさい・・・」とブツブツ呟きだした。

私は恭男君に視線を向けた。恭男君も私を見つめ返してきた。


舞「私は恭男君を見損なった。最初に珪を誘ったのって恭男君だったんでしょ。それなのに珪に負けたからって、その態度はないでしょうが」

キ「舞子、負けたってなんのこと?」

舞「今までばらす気はなかったけどさ、腹に据えかねたから言わせてもらう。大学が珪の方が上の学校に行ったと僻んでいたのよね」

恭「僻んでなんかいないぞ」

舞「どうだか。前に言ったじゃん。珪は国立で、自分は私学だって。うらやましい、負けたって」

珪「そんなこと言ったのか。俺は知らないけど」

舞「知るわけないじゃん。大学の時に集まった時で、珪がこっちに帰ってこれなかったから、珪抜きで集まった時のことだもん。大学に入ってから皆バラバラなところに行ったじゃない。年に1度もしくは2度会えればいい所だったのよ。疎遠になるのも仕方がないと思ったけど、社会人になってからの集まりの時の態度がね、許せなかったのよ。それにさ、そういう態度を取るってことは、裏を返せば私と美那ちゃんのことも馬鹿にしてたってことよね。私は高卒だし、美那ちゃんは専門学校卒だもの」

恭「俺は馬鹿になんかしてないぞ。池上がすごい奴なのは十分わかっているから」

キ「どうだかねえ~。心の中って見えないものねえ」


私はキャンのことを横目で見てから、高幸に視線を向けた。高幸は慌てて視線を逸らしていた。


舞「高幸はさ、リーダーシップが取れる半面、気遣いやでもあるよね。それにいままで助けられてきたとは思うのよ。だけどさ、なんで珪にはそれをしないの? というかさ、気にかかっているなら聞いてよ。そこで逆の気遣いするから、変に拗れたんでしょうが」

高「俺のせいか? でも、聞けることと聞けないことってあるだろ」

舞「高幸が聞かないで、誰に聞けるというのさ」

椿「そうねえ。たまに出るデリカシーの無さを発揮してくれていればねえ」


高幸も肩を落としてしまった。次に視線を美那ちゃんに向けた。美那ちゃんはニヤリとわらった。


美「舞ちゃん。私にはないよね」

舞「ある。たまに鬱陶しい視線を向けないで」

美「舞ちゃんが酷い」

舞「というか、子供みたいな嫌がらせを、珪にするな」

美「だって~、舞ちゃんがキャンや宇津木君とばかり会うから」

舞「近い所に住んでいるんだから辺り前でしょう。美那ちゃんは隣の市でしょうが。車で1時間以上かかる人と頻繁に会えるわけないでしょ」


言いおいて、キャンのほうを向いた。キャンは落ち着かなげに視線をさ迷わせていた。


キ「舞子・・・その」

舞「キャン、言わなくていいから。でも私から一言。そろそろ私からもう少し離れたら」

キ「舞子」

舞「もう、お母さんなんだからね。不安なことは手助けするけど、そろそろ一歩引いた付き合いがしたい」


最後に椿姫さんの方を向いた。椿姫さんはニコリと笑った。


椿「まさか私にも一言あるなんて、言わないわよね。舞子ちゃん」

舞「もちろん。あるに決まっているでしょう。いっつも面白がって混ぜっ返してくれて~。変な疑惑を皆に植え付けたのって、椿姫さんよね」

椿「やーね。人聞きが悪いこと言わないでよ。私はただ、いつからか舞子ちゃんと宇津木君との距離が縮まったように感じたから、それを口にしただけよ」

舞「それが植え付けでしょうが。甚だ迷惑なんだけど」

椿「それなら怪しい行動しないでくれないかな~。出ないと不倫を疑っちゃうよ~」


揶揄うようにいう椿姫さんのことを睨みつけた。落ち込んで下を向いていた皆の視線が、私達に集中してきた。


舞「どこが怪しい行動よ。親戚なんだから、一緒にいたっていいでしょうが」


私の言葉に皆は一様に口を開けて「ハア~?」といったのだった。



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