57 可愛い見舞い客
さて、どこまで本当のことを混ぜますか。
今日はお昼までは何も変わりなく過ごした。溜まっていた本の続きを斜め読みして、1冊読破。一休みがてら最後のノートに投稿用の闘病記の続きを書いた。
えーと、続きは・・・。
なろうユーザーさんに名前出し確認の所の次だから、入院の準備の話で、それから夕食作り、ああ~、そうよ。ひと眠りしちゃったせいで、投稿予約をしてなかったから・・・。これが苦労したんだよね。なんで調子に乗ってバレンタイン企画の話を、11作品も作った、私。何がめんどいって、それぞれにあらすじを書かないとならないのよ。連載ならその手間はないのよ! 甘くみてたわ~。それから、最後にメールを書いた・・・と。
次の日は入院の話で、ここは脚色はなし。で、幼馴染みとの再会・・・。減塩食は知らなかった、と。それから、点滴、もう一度説明があって、病室に戻ってからの会話は・・・うん、盛ろう。舞子さんの旦那ならこれくらいのことを言うし、するだろう。それから親友が来て・・・。幼馴染みが夕方に来てくれて・・・。よし、ここもどこかで聞いた話をいろいろくっつけて盛っちゃえ。でも、子供の頃の話は半分は本当にして・・・。
あれ~? この子だれ? 子供の頃からモテモテってどんだけ話を盛っているのよ。うわ~、なんかやだ。
・・・そうそう、舞子さんは私じゃないの。お話しの主人公なの。
よし、続きをサクサク行くっよ~ん。
幼稚園で覚えていることって・・・こんなものかな。小学校は・・・こんな感じで。でもなあ~、保健室にそんなに行った記憶がないんだけど、亡くなった母にもよく学校から「今日も保健室に行きました」って連絡帳に書かれてたって言われたのよね。ほんとうに覚えてないのだけどね・・・。
それから名字が変わってないことについては本当のことを書いて・・・のりちゃんは帰って。
それから本を読んだ・・と。面白くて読み切った私って何? で、この夜は日記も闘病記も書けなくて。
翌朝1月31日。いつもの時間に起きて、闘病記の続きを書いて。朝食に点滴。検査・・・。よし、やり取りを軽快に。いや、先生の言葉はなしにしてみるかな。・・・うん。これで良し。戻って昼食で・・・。それからお昼寝。お見舞いの人・・・。
あれ? おっかしいな? 怠惰に過ごすはずだったのに。真面目に続きを書いてるじゃん。
あ~、もう、やめやめ。
私はノートを閉じると息を吐き出した。時計を見たら、もうすぐ昼食の時間だ。だからトイレに行っておく。その後、昼食を食べたあと、のべ~とベッドに横になった。
気がつくとカーテンが揺れた気がした。
ん? おっ、誰かいるじゃん。顔を覗かせたのはキャンの娘、稀莎ちゃん。幼稚園の年長さんのプリティーな6歳児。この間、祖父母からランドセルを送られて、私に見せに来てくれたのさ。
「まい子おばちゃ~ん」
「稀莎ちゃん、来てくれたの」
「うん。おばちゃんだいじょうぶなの」
「あー、大丈夫だよ。検査のための入院だからね」
「いたいこと、してな~い?」
「うん、痛い事しないよ~」
いや~、癒されますなぁ~。純粋な幼子って可愛いよね。
「稀莎~、一人で先に行ったらだめだろ」
その声と共に来たのは、小学生の男の子二人。小4の悠馬君と小2の巧巳君。稀莎ちゃんのお兄ちゃんたち。実は二人ともかなり整った顔をしていて、将来が楽しみな子達。悠馬君は眉毛が太めのちょっと濃いめの顔立ち。対して巧巳君は眉毛だけでなく全体的に細めの印象を受ける。でも、眉毛の太さと印象の違いを抜かすと、二人は驚くほどよく似ていた。目の形も鼻筋も口の形もそっくりなの。でもそれぞれの印象から兄弟だと云われないと分からないらしい。
「舞子さん、お加減いかがですか」
「う~ん、かなりいいよ~。というか今はすこぶるいいの~」
「それはよかったです」
にこりと笑う悠馬君。この子もなぁ~、去年初めて会った時、いまみたいに心からの笑顔を見せてくれなかったっけ。新しく父になる叔父にも、母になるキャンにも気を使ってね。あと弟妹を守ろうと小さな体で必死になっていたっけ。いろいろな不安を押し隠してさ。親になる二人はそこまで子供達のことを見てなくて・・・。ううん。まだ、見る余裕がないと言うのが正しかったっけ。キャンが仕事を辞めるまで日にちがなくて、7月の夏休みはうちで預かったの。
お節介なのはわかっていたけど、一度悠馬君を泣かせたんだよね。別にイジメたわけじゃないのよ。三人とも暇していたから、一緒にお菓子を作っただけ。あ~、お昼も一緒に作ったか。ラップに塩を振ってご飯をのせて好きな具を入れるおにぎり作りは、子供たちに好評なの。同じように手巻き寿司も好評なんだけどね。
そうやって、仲良くなりながら自信を持たせて、心の中をポロリと吐き出させたの。不安な気持ちを言葉に出して、それと共に涙も出て。本人が一番驚いていたっけ。でも、一度泣いたらスッキリしたみたいで、そこから表情に変化が起きてきたんだよね。




