53 行方不明はあげたモノでした
会話が怪しいものになりつつあるような?
・・・気のせいにしておこう。
珪の顔を見たら間の抜けた顔をしていた。
「なあ、俺が来るのって迷惑か」
「迷惑ではないけど、あらぬ誤解を生まないためにも、という忠告でしょ」
「別に誤解をしたい奴にはさせておけばいいだろう」
「珪さんや。これ以上私にビッチ疑惑までつけないでくれる」
「ビッチじゃないだろ。普通に不倫疑惑にしとけば」
「それはごめん被る」
「・・・なんで舞は、そんな言葉使いになるんだよ」
「おちゃらけてるからに決まっておろうが」
なんか精神的にくるものがあったのか、珪はがくりと肩を落とした。
「本当にお前はノリがいいんだか、悪いんだか」
「それよりさ、用がなければ帰っていいよ。毎日顔を見に来なくても大丈夫だから」
「まあな。・・・じゃない。用ならある。あいつらが日曜に見舞いに来るってさ」
珪の言葉に数人の顔が脳裏に浮かんだ。
「えー。来なくていいって言っておいてよ」
「無理。俺が舞のとこ行っているって知って、非難されたから」
「非難もなにも、みんなは離れたところに居るだけじゃん。珪とキャンは近いもの。退院してからまた会おうっていってよ~」
「だから無理。去年暮れに集まれなかったから、余計あいつらが文句言ってるの」
「う~、やだよ~。めんどくさいよ~」
「まあ、諦めろ。俺とキャンであいつらが暴走しそうなら止めてやるから」
「でも~、他の人の迷惑になる~」
「それなら、それを理由に追い出せるからいいだろう」
珪が慰める?ように言ったけど、全然慰めになってないよ~。
珪は私の頭に手を乗せてポンポンと軽く叩いた。
「とにかくあいつらも舞の顔を見れば安心するから。そんなに嫌うなよ」
「嫌ってないってば。めんどくさいだけなの。退院したらうちに集まるじゃ、駄目なの?」
「病み上がりに何させるんだってことになるだろう」
う~ん、仕方がない。諦めるか。
「それじゃあ話しは変わるけど、今日リエが来たのよ」
「リエ? もしかして曽根崎か?」
「そう! 旧姓 曽根崎リエ。今日に来てって言ったら、約束通りにきてくれたのよ」
そういったら、珪が顔をしかめた。そういや珪もリエのこと好きじゃなかったっけ。
「相変わらずか、あいつは」
「リエもブレないよね。昔っからのレイ君ぶりよ」
「あのな、そのレイ君というのがよく分からないのだけどな」
「えー、レイ君はレイ君なんだよ。というか教えたじゃん。リエもムーンライトに投稿しているって」
「それは聞いたけど、、ユーザーネームも、作品名も聞いてないいだが」
「えーと、xxxの・・・とか、誘惑の・・・・・を教えたと思うんだけど」
「ゲッ・・・あれかよ。あいつ、あんな話書いているのかよ」
「立派なBL作家よね」
「・・・あんな鬼畜なものを舞も読んだのか」
「少しだけ。昔ほどBLでドキドキしないというか」
「頼むからあんなもんでドキドキしないでくれ」
「ん~。リエのは鬼畜じゃないよ。無理やりなところはあるけど、一応ハッピーエンドじゃん」
「だから読むな。あの系統は!」
「珪の横暴~」
そう言ったものの、読もうのBLも短編は似たような話だし、連載は疲れるから読みたくないし・・・。というよりほとんど読んでないからね。
「それで思い出したけど、舞。なんで俺にくれた物を勝手に投稿してるんだよ」
「はあ? 珪にあげた? 何を」
「入院前に昔の作品を手直しして投稿したって、活動報告に書いてただろ。かなり変えていたけど、あれは俺にくれたもんだろ」
珪が軽く怒ったように言っているけど、思い当たる物がない。大体珪に見せたのって私を怒らせた時の、あてがきしたドエロ話しかない・・・はず? あれ?
「ねえ、もしかして花束とプロポーズシリーズってしたあれのエロバージョンって、珪の所にあるの?」
「そう、それ。投稿先が違うし内容変えすぎだろ」
「イヤイヤ、違うから。珪に渡したのと投稿したやつは別ものだから」
「はっ? 意味わかんないんだけど」
「言葉通りよ。設定同じで別バージョンで書いてるの」
珪は何かを考えるようにしてから、訊いてきた。
「恋愛拒否症の女みたいってことか?」
「うん。それに珪に渡したのって、私の所にデータはないのよ。消したか、元を残さずに珪に渡したのかのどっちかだと思うの」
そう言ったら珪の表情がわずかにほころんだ。自分だけというのが嬉しかったようだ。
「ねえ、その内容ってかなりハーレクインよりで書いていたはずだったと思うのだけどさ、出来れば確認したいから見せてくれないかな」
「・・・あれを?」
・・・おい。何故に顔を赤らめる! ということは、最近読み返したな。顔が赤くなるということはかなりハーレクインに忠実になっていたということなんだな!
「だから、口に出していうな。恥ずかしいだろ」
「そんなこと言ったって、あれは私が書いたものでしょうが。こっちにあるソフトバージョンでも、R18に引っ掛かるだろう書き方をしてたもの。濃厚エロにしたはずだけど、詳しく覚えてないから、読み比べがしたいの」
「・・・ちょっと待とうか。舞はこれから先ムーンライトに投稿する予定はあるのか」
「する気はない!」
「なら、必要ないだろう。読み比べしなくていいから」
「気になるもん」
「気にするな! 頼むから」
目線を逸らした珪の顔が耳まで赤い。・・・私はどれだけエロいのを書いたのだろうか?




