38 珪との本当の関係は・・・
本当はまだアニメについて語りたかったのに~。
でも、日を改めたら(つまり2月3日になったら)また語ります。
のりちゃんは困惑した表情で訊いてきた。
「ねえ、なんか二人の間には特別な関係があるみたいなんだけど・・・。その、えーと・・・間違っていたらごめんね。二人は親戚なの?」
のりちゃんの言葉に私はニヤリと笑った。横目で見たら、珪もいたずらが成功したみたいな表情で頷いている。対してのりちゃんは尚更混乱したようだ。
「えっ?・・・待って・・・。そんな話、私聞いてないよ。うちの親も、お祖母ちゃんも何も言っていなかったもの」
のりちゃんの言葉に私は珪の顔を見た。珪も私の顔を見てきた。珪が聞きたいことが分かったから教えてやる。
「のりちゃんのお母さんの実家がうちのそばなんだって」
「ああ、それでか」
納得したように頷く珪。
「ねえ、私を無視しないでくれる、舞ちゃん」
のりちゃんに睨まれた。
「無視をするつもりはないよ、のりちゃん。先に言っとかないと珪がうるさいから。それで、珪と親戚なのが分かったのは成人してからよ。ついでに言っとくけど、血の繋がりはないからね」
また、混乱した視線を寄こしたので、私は頷いて続きを話した。
「私と血の繋がりがあるのは珪の母親のお兄さんなのね。その人って私の祖母の姉の子供だったの」
そこで言葉を切ったら混乱しきった顔で、のりちゃんが私のことを見つめてきた。なので、ノートの一番後ろのページに簡単な家系図を書いた。
「えっと、えっと。いくつかいい?」
「どうぞ」
「まず、舞ちゃんのお祖母さんのお姉さん?このバツって別れたって事?」
「そうなのよ。離婚した後、うちに近い所に家を買って住んでいて、私の事可愛がってくれた人なのよ」
「じゃあ、珪くんのおじさんは?一緒に暮らしていなかったの」
「そうだよ。時代的にも跡継ぎを連れて行かせるわけないだろう」
「えっと・・・じゃあ、珪くんのお母さんは?血が繋がっていないって?」
「後妻さんの子供だったから、だな」
「後妻・・・」
困ったようにのりちゃんが私達を見ている。まあね、気持ちは分かるよ。私もおじさんと話した時に戸惑いが大きかったし。
「えーとさ、のりちゃん。私がね、聞いていた大叔母さんの事情は、子供が産めなくて離縁された、だったのね。それで離縁された時には、実家の両親は亡くなっていて、後を継いだ長兄は外聞が悪いって、実家に戻るのを許さなかったそうなのよ。だから、長姉を頼って身を寄せて、働いてお金を貯めて家を持ったの。だけど長姉も亡くなり、年も近くて仲が良かった妹のうちの祖母の所によく来るようになったのよ。それで私はその大叔母さんにすごく懐いていて、かわいがられていたのね。大叔母さんが亡くなった時にはすごく悲しかったな」
私にとってはもう一人の祖母。本当にかわいがってもらった。大叔母さんが亡くなった時に、私はすごく泣いたっけ。もうすぐ小学校に上がる所だったから、ランドセルを背負って学校に行く姿を見てもらいたかったと、思ったのだ。
「俺は母と伯父が異母兄妹だとは知っていたけど、詳しい事情は知らなかったんだ。社会人になってから、たまたま仲間うちの飲み会で、舞が小さい頃の話をしたんだ。家に近い市民プールのそばで、大叔母が夏だけおでんの店を出していたってことをな。それを伯父に話したら、舞の名字を聞かれて、そうしたら会ってみたいと言われたんだよ。伯父と舞が会って話をして、やはり親戚だと判った時には伯父が凄く喜んでいた。それで伯父は舞の両親と祖母と会って母親の話をきいたんだよ。そこからだな、親戚づきあいするようになったのは」
珪がのりちゃんにそう話したけど、のりちゃんは何か納得していない顔をしていた。
「珪くん、伯父さんは母親のことを探さなかったの?」
「あー、それなー、伯父は母親がいなくなったことを、母親が伯父を置いて出ていったと聞かされていたんだ。だからそれを信じていたのと、後妻の祖母が伯父のことも自分の子供と同じように育てていたから、本当の母親を探すことはしなかったそうだ」
「じゃあなんで、珪くんが舞ちゃんから聞いた話をされた時に、舞ちゃんに会いたいって言ったの?それっておじさんは舞ちゃんが母親の親戚だって知っていたって事よね」
「そうなんだよ。祖父がさ、亡くなる少し前に伯父の母親のことを話したんだって。それを聞いた時にめちゃくちゃ伯父は祖父のことを怒ったらしいけど」
「どうして?」
そういえば私もそこは知らないな。何があったのかな?
「伯父の母親が亡くなった時に連絡が来たらしいんだ。それを伯父に伝えなかったんだよ」
「えっ?それって・・・」
「うわ~。何してんのよ、おじいさん。母親の送りくらいさせてやろうよ」
「そう思うよな~。でもな、伯父も母親が亡くなって15年も経って聞かされたからどうしようもなかったんだってさ。それでも、そこから母親の親戚を調べたりしたそうなんだ。興信所を使ってわかったのは母親の兄弟は生きているのは妹だけで、亡くなる前に世話になったということだな」
「それが舞ちゃんの家なのね」
「そうなのよ~」
私は殊更ニッコリと笑ったのだった。




