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3 やっぱり体調が悪かったのね

現実と違うところ・・・。

息子と娘はもっと不愛想。

私は一休みしていたらいつの間にかひと眠りしていたの。目が覚めたのは息子が帰ってきたから。念のために玄関の鍵をかっておいて良かったわ~。


「ただいま。・・・熱あるの?」

「ないけど、頭痛がひどい」

「わかった。炬燵じゃなくて布団で寝たら」

「・・・いや、起きる。お風呂洗ってないし、夕飯作んないと」

「風呂は俺がやるから。夕飯は買ってきてもいいよ」

「う~ん。豚肉を生姜焼きにするつもりだったけど・・・」


息子が私の顔を見ている。無表情に近いということは心配な顔色なわけね。


「それじゃあさ、もう少し母さんは休んでて。そのあと考えようよ」

「う~ん、そうね。・・・あっ!キラの散歩!」

「俺が行ってくるから、寝てて」

「わかった。よろ~」


息子のやさしい言葉に部屋を移動して布団を敷いて寝ることにした。ウトウトしかかったら娘も帰ってきて、私がいる部屋に顔を出したの。


「お母さん、大丈夫なの?また、咳き込みからの頭痛?」

「えーと、ちょっと違う。お父さんが帰ってきたら言うから」

「了解。・・・えーと、豆腐を使っていいならお味噌汁作るけど」

「う~ん。お母さんも・・・」


といって起きようとしたら、慌てて入ってきた娘に止められたのさ。


「寝ててよ、お母さん。他は何を作るつもりだったの?」

「あー、豚肉の生姜焼き」

「・・・わかった。何とか頑張る。お肉を焼くだけだもんね」


フンと気合を入れる娘を見ながら、また意識は睡魔に飲まれたのでした。


次に目が覚めた時には旦那も帰ってきたようで、賑やかな話し声が聞こえてきました。

身体を起こして台所に行くと・・・。うん、頑張ったね、娘。少しぐらい焦げてても生焼けよりいいよね。醤油の池に浸されたようなのも、そのうち慣れるさ。失敗して人は成長するのさ。


「お母さん、ごめんなさい。失敗しちゃった」


うん、見ればわかるよ。


「誰でも失敗の一つや二つあるものよ」

「でも~、しょっぱすぎるの」

「どれ」


肉を少し切って口に入れた。うん。しょっぱい。貸してごらんと、フライパンを受け取る。たれをすべて捨てて日本酒をかなり入れて沸騰させる。そこに肉と生姜を入れて肉に酒を絡ませる。味を見て、少し醤油を香らせるために最後に2滴。これで少しはいいはず。

味を見た娘が「さすがお母さん」と言ったけど、慣れよ、慣れ!


夕飯を食べて片付けを任せて、入院についての説明をした。娘が涙目になり、息子はなにもなし。あれ?そんなもん。夫は頷いて実家に電話。入院の保証人をお願いしたいとね。お義兄さんは驚いていたけど快諾してくれたそうで、明日家に寄ってくれるそうだ。


それから・・・支度その他は週末にやること。金曜日の娘の参観会は体調が悪ければ行かないように!土曜日に出かける用事は・・・前の日次第と言われました。

それで、お風呂。頭痛がひどいようなら入っちゃダメと言われていたから、収まったから入ると言ったら、全力で止められました。

えー、いいじゃん。といっても、ダメ!と布団のほうに追いやられてしまいました。


なので、こっそりなろうにアクセスしてメールを書いて連載をチェックして・・・ダメだ~。眠い。すぐにやめて寝ちゃいました。


翌日の1月25日水曜日。

いつも通りに朝起きて朝食の支度を始めたら・・・。目を覚ました旦那に怒られました。

いや、今朝は頭痛くないし、無理はしないから~。でも、お弁当は作らなくていいとか言いだしたの!

えー、じゃあ、この卵焼きは?ピーマンと玉ねぎとウインナーのケチャップ炒めは?あと・・・と言ったら、作ったのなら仕方がないとか言ってお弁当を持っていってくれたのよ。


そのあと起きてきた子供たちにも怒られたの。なぜに?私、普通に動けるよ。今日は顔色いいでしょ!


みんなが出掛けて私も病院に行くために家をでたら・・・なんで由紀さんがいるの?

由紀さんもママ友よ。息子が幼稚園からの付き合いなの。うちと性別が逆だけど、息子と娘と同じ年の子供がいるママさん。


「昨日ようちゃんママから連絡きたよ。病院まで送るから乗って」


ですとー。あっ、澄香さんに口止め忘れた。なのでおとなしくお言葉に甘えましょう。


「いつも迎えに来てもらってばかりなんだから、こんな時ぐらいわね」


そう言って笑う由紀さん。サッパリとした性格だけど、いろいろ気にしいなのは知ってるよん。


「それで脳梗塞って聞いたけど、動いて大丈夫なの?」


・・・ああ。他のママ友から訊いて来いと言われたのね。ん、じゃあ、説明よろ~。

と話をした。訊き終わった由紀さんは、眉間にしわを寄せたまま言った。


「それじゃあ、血栓を点滴で溶かすついでにいろいろ検査するのね」

「まあ、そう言うことよね」

「・・・本当よね?」


えー。それはどういう意味かな?


「何を嘘をつけと?」

「いや、池上さんは笑顔で無理する人だから。心配かけないために軽い症状を言っているのかと」


そんなことしませんがなもし!


「まあ、いいけど。家のほう、大変そうなら旦那さんにお節介しに行くって伝えておいて」

「そこまでは~、ねぇ~」

「他にも夕飯を差し入れようって言っているママ友がいるからね」

「それは助かるかも」

「分かった。みんなに言っとく。3人分でいいのよね」

「・・・あとでお金払うと伝え」

「こんな時くらい甘えなさい!」


強く由紀さんに言われました。

えー、悪いじゃんねぇ~。

そう言ったら、今まで私がいろいろ差し入れたもののお金を払うぞ!と言われたのさ。


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