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2 おっちゃん先生と知り合ったのは・・・

もう一度言うよ。

これは全てが実話じゃないからね。


・・・実体験は入っているけどさ。

結局、おっちゃん先生に文句らしい文句を言えずに、入院の報告をして帰ることになった。

そうしたら孝一が送ると言いだした。

いくら同級生だからってそこまでは~、と辞退したのに、気がついたら車の後部座席に座っていたのさ。


「ごめんなさいね、舞子さん。この人ったら言いだしたらきかなくて」


助手席に座る孝一の奥さんの澄香さんが話しかけてきた。実は澄香さんとはママ友だったりするのだ。


「い~え~。送ってもらうのは助かるから~」

「というより、なんで家で安静にしてないんだ。普通体がだるくて動きたくないだろう?」


孝一がそう言ってきた。澄香さんが私を振り返ってきたので目が合う。さすが、判っているよね。


「やらなきゃならんことがあるんだもん」

「だもんじゃない。明日でもいいんじゃないのか、それは」


と、お小言モードに入りましたよ。だから一緒はしたくなかったのに!

どうせなら澄香さんに送ってもらって、ママトークしたかったのに!

家までの5分間がすごく長く感じましたとさ。


家の前で降ろしてもらい家の中に入る。今度は炬燵のところにいって寝っ転がった。しばらく本当に一休みだ。

旦那にはさっき連絡した。帰ってから詳しく!と言われた。慌ててないところがわかっているなと思ったの。


おっちゃん先生との付き合いは私が社会人になってから。うちの家族はもともとは別の先生にかかっていたの。その先生が高齢を理由に廃業したのが、私が高校を卒業した年だった。

それにおっちゃん先生はもともとここで開業したわけではなかったの。もともとの場所はもう少し中学校に近いところだったそうだ。先生の親がやっていて、そこに入ったのが私達が中学に上がる年だったとか。なんと、おっちゃん先生はPTA会長まで務めたらしい。

・・・だってさ~、PTA会長なんて入学式や卒業式、あとは体育祭の祝辞を述べるくらいじゃん。子供の時ってそんな認識よね?孝一とは一緒のクラスになったことはなかったもの。知るわけないじゃん。

それで、私達が高校の時に先生の家及び医院が道路拡張でかかることになって、今の位置に移動してきたらしいのさ。


私は高校を卒業して就職したのね。ついでに4年ほど地元から離れてたのさ。

戻ってきて、祖母の付き添いで野村医院に行っておっちゃん先生と顔を合わせたの。大概は父が連れて行ってたんだけど、私が免許をとって車が増えたことによっていつの間にか病院の送り迎えは私の仕事になったのよ。

父や母もかかっていたから、いつの間にか私も風邪をひくとここにかかるようになり・・・。生年月日から息子と同い年だね。中学はやはり大中?から、いろいろ話すようになりましたとさ。


祖母が自宅で動けなくなった1ヶ月間。往診をしてくれて、亡くなる時も来てくれて、自宅で看取ることが出来たのよ。父の心臓病のことでも相談にのってもらったり。母が食欲がないと言って食べれなくなった時も、直ぐに総合病院に紹介状を書いてくれたの。

今は父母も亡くなってしまったけど、だから私の家族の病歴まで知ってくれているのよね。


そういう関係で、私が12歳から付き合っている右扁桃腺肥大症のことや、それに関連して風邪をひくと咳が出て完治までひと月かかることも知っているし、肩凝りがひどいとか、目の筋力が弱いことも話してました。・・・ついでにどこの眼科にかかっているの~?と、何気なく訊かれて素直に川谷医院にかかっていると答えたら・・・いつの間にか先生同士で連絡を取っていたし。


いや、これはいつの間にかじゃなかったよね。確かきっかけは3年前くらいの右手の痺れ。気がついたのはのこぎり鎌を握って草刈りをしていた時でした。しばらくやっていたら、痺れて鎌が持てなくなったの。

変だなあ~と思い、たまたま翌日におっちゃん先生のところに診察に行ったからついでとばかりに話してみたの。ちなみに診察は、確か血液検査で貧血に引っ掛かったのよね。それの再診で、貧血はよくなったとお墨付きをいただいたのよ。

それなのにすぐに総合病院に行けと言われて・・・。MRI検査をうけて脳梗塞と診断されました。すぐに飲み薬を出されたけど、この血栓ができてからしばらくたっていたようで、右手の中指の痺れだけは残ってしまったのよ。

確かに時間は経っていたと思う。実は少し前から料理をするときに包丁を長く握っていると、握力が無くなるようなしびれを感じていたのよね。


このあとよね、おっちゃん先生が川谷先生と連絡を取り始めたのは。季節は秋になっていていつものごとく風邪をひいた私は咳が出た。なかなか治らないしつこい咳に、激しいと頭痛まで引き起こす事態となったっけ。それを診察の時に話したら、なぜか目の前で川谷先生に電話して話しはじめて・・・。

それで結局この時も総合病院に行けになったのさ。


・・・あれ?この時にも言っていたような。珍しい症例と?

この時は激しい咳と頭痛で少しボーッとしてたから聞き流したのよね。

あんれ~?結局今回のことはかなり昔が始まりだったの?


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