表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/95

17 息子は・・・鋭い?

あっ!

下味だけして忘れてたものが・・・。


どうしよう・・・。

キャンに時間のことを言ったら、時計を見てまだ大丈夫と言っていた。

まあね、大丈夫ならいいのだけどね。


「そういえば尚人。夕べはご飯どうしたの?」

「鶏肉を焼いたよ。美味しかった」


ん?美味しかったとな?


「忘れたの、母さん。下味つけた鳥肉があったでしょ。あれ、面白いね。何を使って漬け込んだの?」


漬け込んだ?・・・おおー!そういえば下味つけてそのままにした肉があったねえ~。


「な~に、それ。美味しかったって、私でも簡単に出来るの?」

「あー、それね、下味に塩にんにくのドレッシング使ったのよ」

「「ドレッシング?」」

「そう」


だってさ、買ってはみたもののサラダにかけて食べるには、家族の口に合わなくて、冷蔵庫の邪魔者と化していたのよ。どうにかしようと思ったらそうなったのさ。


「んー?でも、ドレッシングぽくなかったよ」

「焼けば酸味は飛ぶし、他にも下味には足してるからさ。う~ん、食べたかったな。本当は玉ねぎとピーマン辺りと炒めたかったんだよね」

「昨日は買ってきた千切りキャベツを付け合わせにした。あと、冷凍庫にあったニンジンのグラッセを解凍したよ」

「ん~。その手もあったか」

「と、言うか、舞子。いつそんなもの用意したの?」

「もちろん入院前だけど」


そう言ったらキャンの後ろに般若が見えた。慌てたように息子がキャンの腕を掴んだ。


「待って。これ以上デコピンしないであげて」

「いや、これは舞子のためだから」

「でも、血栓がまだあったら揺さぶられることで大変なことになるかもしれないでしょう」


息子の言葉にキャンの動きが止まった。そして私が何のために入院したのか思い出したようだ。途端にオロオロしだしたキャンはかわいい奴さ。


「えーと、ね。来てくれてありがとう。そろそろ子供達の所に帰ってね」


私がそう言ったら、キャンが情けない声を出した。


「舞子~」

「うん。わかっているから。また、明日も来てくれるんでしょ。待ってるからね」

「・・・そうね。明日来るから」


そう言ってキャンは帰って行ったのでした。

・・・フッ、ちょろいぜ、キャン。


「母さん、悪い顔してるよ」


ほっとけ、息子よ!・・・というか。


「それで、息子よ。お前はいつ帰るんだい」

「もう少しいてもいいだろ。やっとまともな会話ができる母さんになったようだから、話しをしたいんだ」

「そう、だったね。迷惑かけてごめんよ」


息子は口を閉じた後、ため息にならない様に息を吐き出した。


「普通の話し方になったってことは、もう誤魔化しは無しなんだね」


私は口元に軽く笑みを浮かべるといった。


「誤魔化してたつもりはないよ。ただ私って思い込みで具合を悪くすることがあるから、それを考えないようにしてただけだから」

「キャンさんも付き合い長いはずなのに、母さんのこと根本的なところで解ってないよね」

「そう言わないであげて。彼女もいっぱいいっぱいなのよ。この年でいきなり3人の子持ちになったわけでしょ。親はもういないし頼れるのは私になるわけでしょ。精神的には私よりキャンの方が大人なつもりでいるんだからさ」

「だからって、母さんが手がかかる人みたいに接しているだろ。それって母さんのことを解ってない証拠になるだろう」

「・・・」

「ん?母さん?・・・なあ、もしかしてキャンさん相手に遊んでないよな」

「えーと・・・遊んではいないけど、観察はしてる。手のかかる友人を持った、姉御肌で実はメンタル弱めの彼女がどういう反応するのかって」


私の言葉に息子の眉間にしわが寄った。・・・お~い、睨まないでよ。


「ちなみにいつから?」

「さあ?気がついたらキャンの中で私は手のかかる友人になっていたから。・・・あー、もしかしたらあれかな。キャンの母親が亡くなった時。あの時にキャンの様子を見てらんなくて、手っ取り早く立ち直らせようと、手がかかることをいくつかしたからかな」

「多分それだね。それじゃあキャンさんにはこのままいくの?」

「う~ん。今回のことで私がもっと手がかかると、キャンの中で上書きされた気がするからな~」

「上書きされても仕方ないんじゃないの、さっきの話じゃ。自分の病状の事なのに覚えてないなんておかしいだろ」


ギクッ


「ん?おい。母よ。まさか覚えていたなんて言わないよな。忘れたふりしたなんて、言・わ・な・い・よな!」

「誓って言うけど、忘れたふりはしてない。本当に!」


そうさ、ふりなんてしてないのさ。孝一の話で、一度説明されたことを思い出しただけなのさ!


息子は胡乱な視線をむけてきた。


「いや、だから、忘れたふりじゃなくて、説明された時に頭痛が酷くて、頭に残んなかったの。だから、説明されたことは覚えているけど、何を言われたのかはうろ覚えで・・・」


そう言ったら息子は顎に手を当てて考えだした。


・・・イヤ~、我が子ながら絵になるのう~。いま時の子らしく足は長いし、顔は細いし二重瞼にまつ毛が長くて目は大きめで。唇も男にしておくには少しふっくら目だけど、いい形をしているのよね。残念なのは小鼻が張っていることくらいなんだよな~。


なんてことを考えながら見ていたら、私のことを見てきた息子と目が合ったのでした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ