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村上優希の憂鬱

ちゃらら〜ん♪

ガフトの入店音に合わせて入ると、窓際の席に村上が携帯を弄って座っていた。


「おい、来たぞ」


「お...来たか...どうだ、調子は...」


「調子って、特に...」


「で、で、相談したいことなんだけど!」


####


簡単に説明するとこうだ。


村上が以前所属していたリア充グループに対抗する(実際は冷戦状態では)グループの親玉の女子、三上みかみ 三美みみが村上に告った。


それだけでも十分やばい。

異なる勢力の男女が惹かれあった時、物語が始まるのなんて学園都市だけだ。

いや、学園都市では惹かれあってはいなかったか。

とにかくそこは本題ではないのだ。


本題は、「村上はゲイ」ではないかということだ。


「なぁ、村上...お前、俺の事...いや、やっぱりいいんだ。何でもない。」


「あ、なんだよ」


「なんでもないって。でさ、お前..."女子より吉田"のことが...」


「ああ。恋とかそういうのかわからんけど」


イケメン優希『吉田が好きだった』

これなんてフライデー?


「ガイがゲイって俺に打ち明けた時、皆が知ったらガイのことハブにするんじゃないかって思って。それから、俺が守らなくちゃって思ったんだ。」


マジかよ、母性発揮してる。

男から母乳がでるのは薄い本だけだぜ。


「でもお前、普通に女子がどうこう言ってよな」


「もちろん女子もいいけど、絶対にガイを1人になんかしない」


くっ...。無駄なくらいイケメンだ。

しかし男に向けられた言葉なんだよなぁ...。


「で、三上はどうすんだよ。返事すんだろ」


「あぁ、断るさ。」


「そうか、ならこの件は終わりだな。というか相談じゃなくて、打ち明けたかっただけだろお前。」


「まぁ、そうかもな!」


よかった。

楽になったみたいで。


そう思いながら、村上と店から出ようとした時。

何気なく振り返った店内に、三上とその一味が。


三上と目があって目が離せなかったが、ドアが結ばれた目線をプツリと遮る。


「おい、どうした?」


「い、いや。なんで...も...ない。」


####


村上はガフトに家が近いので、ガフトでそれぞれの帰路についた。

帰りのバスに乗っている間は最後に見た、三上の連中の事で頭がいっぱいだった。


「もし、あの話が三上に聞かれてたなら...、どうなる...。フラれた恨みに村上と吉田の関係をバラしてクラス、学年で孤立を狙うか...。それとも純情乙女覚醒するか...」


どちらにしろまずい。

腫れものとして三上を扱った結果、村上の事を口に出すだろう。

また、防ぐことはできない。

明日にならないとわからん事だし。


「あんた、さっきから何1人でブツブツ言ってんの?」


「あっ、すいません独り言が漏れてたみたいで...って久留島!?」


『次は〜、駅前〜、駅前〜』


「あんたが悩んでるみたいだけど、それはあの人たちの問題なんじゃない?それは忘れない方がいいと思うよ。」


そう言い放ってバスを降りる、久留島。


確かにそうだよな。

俺が告るって言った時、吉田はあえて干渉しないようにしてくれたし。

"あの人たちの問題"か...。


てか俺の独り言全部聞いてたのかあいつ!?

てかどこからどこまで漏れてた独り言!?


またバスが動き出す。

俺も駅前で降りるはずが、降り忘れてしまった。


####


昼になっても村上と吉田が来ないので、不安になってアイツらのクラスに言ってみると、それぞれの派閥で集まり、村上と吉田を見て何かヒソヒソと話していた。


大きい塊が2つ。


村上が以前、つるんでいた派閥。

リーダー格は特におらず、それぞれが個性を光らせることができる派閥だ。


そして、三上の派閥。

どこからどう見ても三上がリーダーだ。

彼女を中心にヒソヒソと何か話している。


教室の隅に、村上と吉田。


...やはり、昨日の話は聞かれていたようだ。


たぶん、でかい2つの派閥は事情を知っている。


三上はたぶん村上と吉田をハブにする気だ。

自分を振るという事はどういう事かわからせるために。


村上が前にいた派閥はきっと、どう接したらいいかわからないんだろう。


傍観者と言える他の連中は、そもそも事情を知らないだろう。

流れに任せて触れないようにしているのだ。


なら俺は。

俺はどうする。


俺はいつの間にか、アイツらと一緒にいないと違和感を感じるようになってしまった。

だから今、アイツらの事を見に来てしまった。


今までは1人で弁当を食べでるだけで良いと思っていたのに、いつの間にかアイツらと食べる事を当たり前にしてしまった。


俺を"群れる人間"の1人にしたのはアイツらだ。

だから、責任を取ってもらう。


"俺の青春"に付き合ってもらう。


俺は弁当を持って村上と吉田のクラスに入っていった。

三上の派閥や他の連中の視線が俺に集まる。

近くの机を引っ張って、村上と吉田の机にくっ付ける。


いつも通り、村上が話しかけてくるまで携帯をいじり始める。


ほんの一瞬、村上と吉田をみると笑っていた。


俺がいつも通りの行動をしている事に気付いて笑ってくれてるなら良いのだが。


####


その日の夜。


村上 : 何で俺のクラスで飯食ったん?/21:53


里見 : お前らが来なかったから/21:55


吉田 : ありがとう里見くん/21:55


里見 : あまり俺に感謝するでない、村上に殺される/21:56


村上 : 殺す/21:56


里見 : 隠す必要無くなったからって調子乗るんじゃねぇ/21:59


吉田 : 明日からもウチのクラスに来てくれる?/21:59


里見 : それはめんどい/22:01


村上 : じゃ2人で食うぞガイ/22:02


吉田 : うん/22:03


里見 : そうか、じゃ1人で食うよ/22:10


村上 : おけい/22:20


里見 : おい/22:23


村上 : ??/22:25


里見 : 誰がお前のクラスの雰囲気を元に戻した?/22:26


村上 : クラスはいつも通り平常運転でしたよ/22:30


里見 : スタンプ(怒り)を送信しました/22:32


村上 : ∧( 'Θ' )∧/22:32


里見 : なめおって/22:33


村上 : ジュースおごるから許して/22:35


里見 : しかたないのぅ/22:40


村上 : ちょろ/22:41


村上 : ガイも会話参加しろよ/22:41


里見 : 吉田?/22:45


吉田 : ごめん寝落ちした/07:15


吉田 : スタンプ(ごめん)を送信しました。/07:15

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