私が描く世界
作家である私が、一番描き出したいもの・・・
それは、本当にシンプルなものなんだ。
でも、そのシンプルなものが、この世界では一番難しいものだってことを知ってる。
人は、単独で存在していてもつまらない。
人が人と混じりあうことで生まれる世界こそが、一番美しい世界を描き出せる種だと思う。
人はキタナイ。ミニクイ。
でも、その中で腐らずに生きている人がいるのも事実。
傷つかない人間はいない。
隠して強いように見せて生きるのか、その傷を認めて生きるのか。
自分を守れる人間が強いんじゃない。誰かを守れる人間が強いんだ。
子どもは笑っていなくちゃいけない。
辛いことがあっても、誰かに支えられて、優しさを知って、大人にならなくちゃいけない。
この国の人は、その本当の意味を知っているはずなんだ。だから僕はここを選んだ。
もっと自由な国に行けば、もっと美しい風景もあったかもしれない。
でもこの国の人間は、きっととっても美しい。
今は、“社会”というガラクタに埋もれてしまっているけど、この国にはまだあるんだ。
僕は、それを描き出したい。
辛さと優しさを知った、未完成な少女は生きるこの世界で。
筆を握って、その小さな手に掴めるだけのちっぽけな大きな幸せを描く。
少女が笑顔になれる日、なれる居場所。
それが空のようにシンプルな色の、美しい1つのストーリーだと思う。