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里桜編:出会い



俺の髪を引っ張る誰かさんによって微睡みかけていた意識は引きずり出された。

もうちょっとで寝れたのに。


いくら俺でも不機嫌にだってなるってもんで。殴りたくなるのも仕方がない。

顔を上げて枕に顎をのせた。


睨もうと、見上げるまでもなくー


俺と同じ目線に居たコ。


ベッドヘッドに並べてあるぬいぐるみ達に埋もれてこっちを見つめる、赤ちゃん。


「……………………はっ?」


髪の毛ふわふわさらさら。

小さな赤ちゃん。


「あー」


魔●ブーのぬいぐるみを押し倒してその上踏み潰して近付いてきたそのコは俺の髪を掴んで笑顔を見せた。



「…え、りおちゃん…?」


 まさか。

 でも髪さらさらだし。

 笑顔里桜ちゃんだし。

 しかもこんなに可愛いし。


なんてったって、俺に拒絶反応が出なかった。


里桜ちゃん以外には有り得ない事だ。

子供といえど、他人に触られるのは不愉快だから。



「あーー」


俺がちょんまげにしてたゴムを引っ張って手にした里桜ちゃんは、飾りのメロンを大きく開けた口に持って行く。


え、食べるの?

食べちゃうの?


「だっ、だめ!」


メロン奪還のために掴んだ手はちっちゃくてぷにぷにですべすべで。


まあいつもの里桜ちゃんの手もこんな感じでふにふになんだけど、肉付きのせいか弾力がやばい。



「うああ゛ーーーん!!!」

「え゛」


指を引っ張ったり握らせたり開かせたりして遊んでた俺の耳をつんざく泣き声。


 え、俺のせい?

 俺泣かせちゃった?

 なにコレどうすればいいの?!


「りおちゃ、」

「ああああ゛ーーん!」


泣くのにそんな叫ばなくても。


 慰め方等わからない。

何をしてやれば喜ぶのか。

とりあえずメロンのゴムで里桜ちゃんの前髪を結んでみた。


 うん、かわい…


「うぇー…」


しゃくりあげてまだ泣いてる。


やはり髪を結んだくらいで泣き止みはしないか…。


「えぇー…泣かないでよぉ」


 もう俺も泣きたいんだけど!

 ぷにぷにほっぺは真っ赤になってて可愛いけど涙に濡れまくっててダメ。

 可愛さに浸っていられない。


 ねえ、どうすればいいの!


 里桜ちゃん、助けて!!!




 *


「…る…けるさ…」

「ん゛ーー」

「かけるさん!」

「?!」


 激しく揺さぶられて飛び起きた俺を、眉根を寄せて覗き込んでくるのは大きな里桜ちゃん。

 いや、ちっちゃいけど。


「りお…」

「だ、だい、じょぶ……? こわいゆめ、みた?」


 里桜ちゃんの声はぼけぼけだ。

 寝惚けながらに俺の心配をしてくれてる。

 可愛い。


「…おっきい方が好きー」

「へ?」


 小さな里桜ちゃんが初めて大きいと思った夜中の4時。

 赤ちゃんは可愛くて可愛くて可愛かった。

 けど俺には扱い方が謎過ぎる。




 おばけ?って的外れな心配をしてくる里桜ちゃんに甘えて、小さな胸に頬を擦り寄せて眠った。


 里桜ちゃんはこのサイズが一番だ。





≫―――End.



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