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二話 「LoungeAct 1」

随時と前から日にちが開いてしまった。なかなかスピーディーに書けないものですね。あひぃ。

 ブギーポップは笑わないって小説を知っているかしら。

 私は好きよ。上遠野浩平の他の作品もね。私あれを読むまでライトノベルを多少偏見を持って見てたのだけれど、勿体無い事をしてたのかもね。今では他にも読むわよ。西尾維新、入間人間、日日日。私の本棚の萩原朔太郎やサリンジャーの間に置いてあるわ。

 表現がライトノベルに対して差別的じゃないっかって? じゃああなたはクラシックとJpopを同列に語るかしら? そうでしょう。

 別に内容の事を話してるんじゃないわ。人間って不思議な物で長い時間を経て残っている物にはそれだけで付加価値が加わるものみたいよ。日本の天皇とか然りね。まぁそういう物と同列に語り争うというのは個人的に少々ナンセンスな気がするの。

 もちろん、あなたが何を好きかは自由よ。付加価値が有ろうと無かろうと最後に決めるのは自分のセンスだからね。あなたは何が好きなのかしら? そう、あまり良い趣味じゃあないわね。

 話が逸れたわ、どこまで話したかしら。あぁそう、そうだったわ。


 あの時私はいつものあのビルで男を殺している最中だった。

 その男とあったのは殺す一週間位前。通学路の途中で見かけた冴えない大学生だったわ。影が薄く友達もいなさそうな1人暮らしの青年。

 まさに殺すにはベストな人だったわ。ちょうど殺したい時期だったしね。そう、時期よ。別に理由なんてそれ以外ないわ。あなた彼と同じ質問をするのね。

 でも本当にそれだけ。ただ唐突に殺そうと思う。捕まりたくないから相手は多少選ぶけどね。なぜ殺そうと思うかもわからないしいつからこうしてるかも覚えてない。もしかしたら物心ついた時からかもしれない。いや、思うより先に殺してたのかもしれない。

 まあなんにせよ私にとって殺人は生理現象みたいなものよ。別に確固とした理由もなく、ただなんとなく、殺したいから殺す。それ以外の理由の事もたまにあるけどまぁこの話には関係ないわね。

 とにかく私の殺人に吉良吉影のように爪が伸びたからだの若い女だのと言った儀式的な意味合いはない。相手は老若男女拘りとかないし殺した相手も数も覚えてない。そんなものよ。

 これ以上このことをあなたとお話しする気はないわ。あなたとは彼との話をするためにこうして会話しているんだもの。まぁ逸れるのは私にも責任はあるのだけど。

 そう、あの男の話だったわね。

 電話であのビルまで呼び出したの。適当な事を言ったのだけど不用心ね。

 そしてあの部屋へ入った所でまず背中へナイフで1撃。次にバットに替え両腕、両足。そして動けなくなったら後は顔面をひたすらバットで殴打。

 抵抗次第でかわるけど大抵こんな感じ。今回もそんな感じだったわ。

 彼が言うには顔を殴っている時、いつも笑みを浮かべているそうなのだけど特に笑っているつもりはないのよね。童貞フィルターでもかかってるのかしら。とにかくそんな感じで男の顔面が完全にミンチになった頃だった。

 扉の方から不意に声がしたの。見るとロン毛で学ラン姿の高校生が微妙な表情を浮かべながら扉の所に立っていたわ。


 これが彼と私のファーストコンタクト。

 なんて言っていたかは覚えてない。私はほぼ無意識に練習していたナイフ投げを始めて生きてる人に実行した。これが上手く当たって彼は呆気なく倒れた。

 ここらへんで相手が誰だかやっと理解してきたわ。彼は私のクラスメイトだった。けどそれ以上は知らなかったの。

 彼はクラスの中では目立たない存在だった。決して友達がいない訳ではなく、名もないクラスメイトAって感じ。彼はそれを装っていたのでしょうね。たまに彼に他とは違う何か違和感を感じたりしたけど、思い違いだろうと気にとめなかった。

 そんな彼が私の秘密を見つけそして話しかけてきた。

 正直、訳わかんなかったわ。

 一応、私は自分のしてる事が世間的にどのような事か理解してるわ。普通こんなものをしかも同級生が人を殺してるのを見たら逃げるものだと思う。

 でも彼は私に話しかけてきた。

 そして私は彼に興味を持った。

 だから意識が朦朧としかけていそうな彼に話しかけてみたの。


「あなた、私のクラスの人よね」


 彼は一瞬戸惑ったような顔して、そして微笑んで掠れた声で答えた。


「そっか、君は僕の名前知らなかったか。僕は」

「いいわ別に。調べればわかるし時間も無さそうだし。それよりもあなたに聞きたい事があるの」


 何だいと答えた彼はだいぶ意識が飛びかけてる感じだった。


「なぜ逃げずに話しかけて来たの? こうなると思わなかったのかしら。それとも私が世にも珍しいフレンドリーな殺人鬼か今時流行りの二次元系な殺人姫かという頭の弱そうな妄想をした訳なのかしら」

「あながちそれ、間違いじゃないかも……でも、そんなチャチな感じじゃあないつもりだよ」

 

 そして彼は痛々しい咳をした後、一拍置いてこう答えたの。


「僕は君に一目惚れしたんだ」


 こう答えて彼は意識を失ったわ。

 唖然って感じだった。

 まさかこんな意味不明のタイミングで告白されるとは思わなかった。しかもあんなド直球の聞いてるこっちが恥ずかしくくなるような台詞で。

 残念ながら恋愛感情的なのは1mmも来なかったわ。えぇツンデレ的な意味ではなくね。

 でも私は彼にさっき以上の興味を抱いた。

 私が人を殺してる瞬間を見て恐れるどころか告白さえしてくる人なんて一生かかったって出会えないでしょうからね。

 私は彼ともうちょっと話してみたいと思った。

 だから彼は殺さないことにした。

 私はこういったトラブルを片付けてくれる知人に連絡しミンチの片付けと彼を病院に連れてくよう頼んだわ。ああして彼は生きてたわけだから上手くやってくれたのでしょう。その辺について詳しく話すつもりはないしあなたも興味はないでしょ? そうでもない?じゃあいつか話すわ、いつか。

 私は彼を一瞥し廃ビルを出た。

 私は頭の隅っこにずっと引っかかっる彼の言葉の意味を考えながらその日は家へ帰った。


 そして数日後、彼はまた私の前に現れたの。

誤字、脱字、ご指摘などありましたらコメントの方よろしくお願いします。

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