表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

売れっ子小説家の仕事部屋

作者: ハラショー

花肌椎はなはだ しい略歴

1965年東京生まれ。早稲田大学在学中に「頭から湯気」で作家デビュー。

岡山県の農家に七年間滞在して書いた「こえだめなんてクソくらえ」が100万部突破。

代表作に「イチかバチか木琴か」「はにかんだ鼻かんだ神保町」「俺、マジ、やべぇ」

などがある。


都内の某マンションの一室にて。売れっ子作家の、花肌椎と、編集者の富山がいる。


富山「先生!次号の読み切り小説の広告を掲載しないといけないんですけど」

花肌「今、手いっぱいだ、執筆が間に合わないよ」

富山「せめて、あらすじだけでも」

花肌「とにかく、なんでもいいから俺が書きそうな感じの予告篇書いといてくれよ」

富山「実は先生、そんなこともあろうかと、書いてみたのがあるんです」

花肌「本当か!そりゃあ助かる!どんな広告だ?」

富山「はい、先生の最新作はですね、

大冒険スペクタクル!地中海で大騒ぎ!三泊四日!おなじみの眼鏡二人が大暴れ!

とまぁこんな予告篇で」

花肌「まてまてまて!どんな話なんだよ!」

富山「とってもワクワクします!」

花肌「漠然すぎるよ!誰なんだよ、おなじみの眼鏡二人って!」

富山「なんかオトボケな感じの」

花肌「分からないよ!大体、この二人は一体何者なんだよ?」

富山「きっと、泥棒ですね」

花肌「泥棒?えー、泥棒の出てくる話、書いたことないよ~ていうか、まてまて、泥棒です!ってなんでそうはっきり」

富山「なんか、シリーズ第2弾の予告にそれらしきヒントが」

花肌「えっ!?なに、第2弾って?」

富山「ええ、再来月号の読み切りの分です」

花肌「ええーもう決めたの!」

富山「はい、編集部はもう、先生の手をわずらわせないように、早め早めに」

花肌「早すぎるよ、えっ、ちなみにどんな予告篇なの?」

富山「はい、神出鬼没!お前さん!噂をそこまで鵜呑みにかい!?ドジな二人が今夜も万引きでドロン!シリーズ最大のピンチ!」

花肌「全然意味分からないよ!泥棒っていうから、もっとルパンみたいなのかと思ってたら、

万引きかよ!」

富山「庶民的で!」

花肌「やかましいよ!しかもシリーズ2作目にしてもう最大のピンチなのかよ!」

富山「いやいや、ピンチはまだまだこれからですよ」

花肌「おいっ、まさか第3弾も決まってるんじゃあ」

富山「ええ、というか、もう第5弾まで」

花肌「なに!ほんとかよ!予告篇、あとどうなってんだよ」

富山「はい、第3弾が、たこ焼き屋のおっさんが容疑者に!バスタオルでぐるぐる巻き!おい!誰かつまようじを知らねぇか!?またまた女々しい二人が祇園祭で探偵きどり!シリーズ最高傑作!

続きまして、第4弾が、灼熱のコンクリートジャングルで「なんだよてめぇこの野郎!」

不安定な二人が今度はハワイでカーチェイス!

りんごとみかんがはじけ飛ぶ!シリーズ最高のアクション!

そして、第5弾が、完全に包囲されたビルで下着ドロが逃げ回る!狂ったニューヨークシティ24時!

さぁまかせろ!わりかし出来る二人が爆弾の解除につぐ解除!

シリーズ最悪の絶体絶命!割れた眼鏡の破片がどしゃぶりのニューヨーク!

以上です!先生の代表作になるんじゃないかと!さあ書いて下さい!」

花肌「もう、お腹いっぱいだよ!」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 作者略歴の完成度が素晴らしい!ありそう。 ボケとツッコミもリズム的で乗りやすい。 予告編もセンス○。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ