第七節 学校内序列決定一位の実力
前回のあらすじ
殺風景な生徒会長の部屋、そこで俺は着替えを見せつけられる。
デモンストレーション、やりたくないよ。
でも、やらないと退学ですかね?
今、校庭にいる。
そこは春風が吹いていた。隅の方をぐるっと一周している木々が優しく揺られている。
そして俺は、一年生女子生徒全員にぐるっと周りを囲まれている。まるで公開処刑のようだ。
なぜ?
逃げたかったが長谷川博士に、『早く校庭に来ないと女子全員の前で着替えてもらうよ』と半ば脅された。
しょうがないと体操服に着替えた。そうしたら出迎えは、
ライダースーツのようなものにズボンが短い、ブルマっていうのか? という戦闘服を着た女子全員が待ち構えていた。
対応がひどいよ。どこをとっても。例えば、俺だけ体操服なんてさ。
そりゃ分かるよ。女子高だし。でもさ、もっとやりようはあっただろ?
愚痴を心の中で呟いていたら御園生生徒会長の準備運動が終わったようだ。
「では始めようか。方後君」
「始めるのはいいですけど、別に本気出さなくてもいいですよね? これは模擬戦闘なわけですし」
言ってやった。今回の戦闘はまるで俺にうま味はない。実質刀の扱い方が上達するぐらいだ。
というわけで適当に戦ってさっさと負けようと思っていたが、笑ってきやがった。
「ふふ、あははははは‼ 君やっぱり面白いね」
笑い声は他の女子生徒からも聞こえてきた。
イラっとした。こっちは塩対応を我慢してやっているのに。
「君にいいことを教えてあげる。私の前に立った対戦相手は必ず地面に這いつくばる。そう決定づけられている」
そんなわけない。上下関係の乱用か!
「納得いかないようだね。じゃあこうしよう。私が負けたら何でもしてあげる。でも、君が負けたら犬のように仕えなさい」
「あ~どうぞどうぞ。どうでもいいですよ~」
今の学校生活自体、酷いもんだし、別にどうでもいい。適当でいいよ。
「じゃ~始めるよ~戦闘範囲はこの校庭全体。では、始め!」
長谷川博士が開始の合図をいう。
俺は直ぐに間合いを詰めて、殴りかかった。
超能力なんて使わない。要は相手を戦闘不能に持っていけるかも、そんな方法でこの場を乗り切れればそれでいい。
「では、君の運命を解析しようか」
はいはい。ご勝手に。もうあと数センチの距離ですよ。
俺は思いっきり拳に勢いをつける。日ごろって程、月日は経っていないがこいつにはイライラしていたし、鬱憤を晴らしたっていいだろう。
「今日、明日、へぇ。君が勝ったらこうなるのか」
彼女は、その場から動かなかった。でも変化はある。
光り輝いている小さな宝玉が生徒会長の目の前に出現して、
ひとりでに砕け散った。
いや、砕け散るという言い方はおかしいかもしれない。
そこには確かになにかあった、でも俺にはもうなにが起こったのかも、思い出せないんだ。
気にしてもしょうがない。そう思い雑念のようなものを振り払う。
それに得てして懐はがら空き。至近距離に弱かったのだろう。さっさと距離を詰めたのが功を奏したな。
さあ、このままだとチェックメイトだ。やり返してこいよ。
「さあ、行ってきなさい」
不思議な光が彼女を基準に周りに広がっていった。俺は避けようと思ったが、後の祭りだしそのまま受ける。
すると不思議な感覚に陥った。
何かが捻じ曲げられるような、自分の意思に反して流れに巻き込まれていく。
組み替えられた時代の波に。
『は! なんだ⁉』
思わず声を出す。しかし女子生徒には伝わってはいないだろう。
「かわい~」
「ほんとにこれが彼だったらいいのに~」
「触り心地良さそう」
「ワン、ワンワンワンワンワン!」
可笑しいだろ。柴犬にされた。
「どうだい、男子君。その姿で私に勝つことが出来るかな? というかもう私の勝ちでいいかもね」
『おい、さっさと戻せ。別にお前に勝ちを譲ってもいいから』
俺は心の中で叫ぶ。こいつには聞こえているはずだ。
「勝ちを譲っても? そう、まだ遊び足りないみたいね。じゃあ」
不敵な笑みを浮かべて近づいてくる彼女。俺は危険を感じ距離を取ろうとしたが、なぜか彼女に近づきたい衝動が次から次へと湧いてきていた。
まずい、非常にまずい。これが這いつくばるという理由か!
「今のあなたは、私に買われているジョンって名前の犬なの。無理しないでいいのよ。おいで」
『もしかしてお前の超能力は【因果律の改変】、か?』
「さあ、どうでしょう? レイア先生、男子がわたしにお手をしたら勝ちってことでいいかな?」
「いいよ~」
話は決まったと勝ち誇る彼女。受け入れるようにかがんで手を広げる。
「おいで。しかし残念。私に勝てるかもと思ったけど、そんなことはなかったわ」
俺に何か期待している。勝者の余裕のようで腹立たしい!
なら、答えてやるよ。
御園生生徒会長の胸に飛び込むつもりで走りだす犬の姿の俺、走りながら、割れた空間から口で刀を引きずり出す。
するとどんどん光に包まれていき人の形に戻っていく。手に持つ実休光忠は怒りを身に纏っているように炎が噴き出していた。
「‼ どういうこと⁉」
俺は、刀に触れたことで彼女の因果律組み換えを破る。ちょっと失敗して、耳は残ってしまったけど。
でもそんなもの後で戻せばいい。
彼女に一矢報いるのだ。今までさんざん馬鹿にされてきたし、これくらいいいだろう?
あとで女子の前でかっこつけといわれることになるかもしれないけど、このままケリをつけてやるのも悪くないかもしれないな。
「一つ教えようか。俺は刀を呼びだす超能力。その刀は全て、戦国武将が持っていた特殊な力が付与された刀だ。今出した実休光忠もな」
手を広げていた彼女に刀を突き付ける。まったく、状況が呑み込めていない。
「そこまで! 勝者、方後丈‼」
歓声は上がらなかった。そしてこの時、俺の評価は一変した。
峰空最強が、俺ということを。
投稿を夜八時以降九時まで、にしました!
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