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第五節 生徒会長

前回までのあらすじ


お嬢様学校に入学することになった方後丈、もう、彼には逃げ場がないようだ。

とりあえず、クレームをしよう、うん。そうだろう?


「博士あんた、騙したな! こんな男を男と思ってない学校に入れやがって‼」



 俺はホームルームが終わった後、博士の元に駆け寄り開口一番言ってやった。彼女は悪戯が成功したようにてへっと舌を出す。



「あれあれ~、方後くん。私はここでは先生になっているんだよ。それなりの敬意を払ってくれないかな~」


 ムカッとした。これはおちょくっているな。無意識に手が空間を切り裂こうと動き出した。


「ま、待った! ここじゃ迷惑になるし、移動しようよ。ね、そうしよう?」


 長谷川博士は俺の剣幕に恐れをなしたらしい。女生徒達に無様な姿は見せまいと、どこかに連れて行かれる。


「生徒会室?」


「ここで話そう。関係者もそろっているし、君もゆっくりとできるだろ?」



 コンコン、とノックをする。いくぶんか、長谷川博士も緊張している。扉を開けた。 

 見たことがある人物が一人、作業机の椅子に座っている。誰だっただろうか。



「こんにちは、久しぶり。ダイヤ事件ではやってくれたわね」



「え、と。どちらさまでしたっけ」


 彼女はフワッとしたショートカットで髪の色は赤だ。身長は俺と同じくらい。キリッとした目に何処か優しさも感じる。胸は成長期といったところだろう。


 キッチリとお嬢様らしいな。制服を着こなしている。中学でよく見ていたセーラー服とは違いこちらは清楚な白が基準となっている服装だ。襟や袖の一部に黒の線が入っていて細かい網目が入ったスカート。胸には金の背景色と白のバラが刻まれている校章が付いている。


 もっとも、彼女の制服を見なくても俺とスラックスが違うだけなのだが。

「ふ~ん。私のことは眼中にないか。さっきの入学式もずっと下見ていたものね。テレビも見なさそうだし」


「方後くん、紹介するね。彼女がこの学校の≪序決(インサイド)一位≫で生徒会長、御園生(みそのお) 真智(まち)さんです」


「せ、生徒会長⁉ ≪序決一位≫?」


「そ。よろしくね、裏口入学男子さん」

 


 思い出した! 火事の時、俺を庇ってくれた生徒!

 

 もしかして表と裏の顔があるのか? 前の時と比べて呼び方がなぜか見下されている。


 序列ってのも……そんなもの失くしてくれよ‼ もっとゆったりと過ごしたいんだ!


 博士、知っていて俺に教えなかったな。これじゃ、まだ教えて貰っていないことが沢山ある気がする。


 ん?

 気付いてガチガチに固まる。


「もしかして博士! 俺のことどこまで話した⁉」


「私にいくら隠したって無駄よ。君が政府と繋がっていることも知っているし、何か大事な取引をしていることも知っているわ」


「ごめんね。この生徒会長は凄い超能力をもっているの。理論が二十年前につくられたことになったことは知っているでしょ?」


「もしかして、一年前に作られた理論を過去に持っていったやつ」

 ドカン、と武道技で倒される。立っていた位置から地べたに這いつくばり、足に顔を踏まれていた。


「言葉に気を付けて。私が優しく話しているのは円滑なコミュニケーションをしたいからよ」


 こ、こいつ腹黒過ぎるだろ。ついやってしまったで解決できないし、きっと生徒会長になる器でもない。


 長谷川博士、どうにかしてくれよ!


「生徒たるもの、言葉遣いには気を付けないとね。うん」


「先生、たるもの、生徒を助ける義務がある、んじゃないですかね?」


「え、無理言わんといて。わたしゃ、御園生たんが出ているテレビ見てますねん。あないな風になりたくはないわ」

 色々混ざっている。自分は実力不足といわんばかりだ。



 博士だって、他とは比べようもない超能力を持っているのに。


「さあ、すみませんでしたと言いなさい」


「すみませんでした!」


 自分は悪くないのに、思ってもないことを言ってしまう。聞いた彼女は上機嫌だ。


 ゆっくりとどけた足からやっと立ち上がることができた。


 御園生生徒会長は何故か悪戯でもするような顔をする。そしてこっちを指差し長谷川博士に話しかけた。


「先生、分かりました。彼を私の部屋に入れます」


「ありがと~~~~~! 任せるね~‼」


「は⁉ どういうことだ、ですか?」


 長谷川博士はほっとしている。何かあるなこれは。 


「実は~君と同じ部屋に入ることを全生徒が希望しているんだ~。どの生徒も『男子に勝ちたいから』と言っていたそうだよ~。でも~親御さんが反対していてね」


 わぁ、俺って人気者だ。


「ちょっと、長谷川先生こっちに」


「ん? 何だい」


 ちょいちょいと手招きする。隅っこで、彼女に聞こえないように。


「今すぐ、政府の交換条件に一人部屋にすることを追加しろ。異論は認めない」


「いいのかい? 君にもいい話だと思うけど」


「どこがだ?」


「だって寮が一緒ってことは、女の子の色々な部分が見られるってことだよ?」


 はぁ⁉ 知っているからダメなんだろ!


「それにもうさぁ、別に男子と行動を同じにしてもいいよね。体育とかさ? それに実は生徒会長の傍にいるほうがこっちもやりやすいんだ」


 男子が心のどこかで望んでいることを長谷川博士は真剣な顔で言ってきた。


 妄想が膨らんでしまった。生徒会長と一緒の部屋。それはもう気を付けていようと見えてしまうものがあるだろう。胸やお尻とか。部屋着とか新鮮だろうな。


 更に彼女の部屋に入るだけで、女子の体に触れる競技も一緒に参加できるらしい。


 博士お前、ニヤニヤと見透かしてくる顔はやめろ。


 断ることが正しい。健全な青少年なら。




 さて俺は、どっちだ?


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