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第五十八節 予兆

前回のあらすじ

三次元世界を構築した、ゲームマスターと同じ権限を持つ

『起点』を管理する能力者。

その人はまだ早いと、刀の力を使えと言ってきたのだが――。




「丈これ、いい練習用の刀だな! ここ二日ぐらい死でしまいそうな攻撃を受けても元気千倍だ!」



「そりゃ、よかったな」


 あの後、俺は世良に膝枕をされている中、起き上がった。


 夢、じゃないのだろうか。 体に似合わない力が拒絶反応を起こした幻覚だと勘違いしそうになるけど。


 でも、物凄いツインテールの少女に心配されたから俺に助言する女性と会ったのは現実なのだろう。



 目に涙を貯め、後悔で押しつぶされそうに嗚咽をこぼしている。



「どうして危ないことになるって相談してくれなかったのよ? 私、もういや、あんな姿。血も涙もないようで私は一瞬、あなたの存在を、書き換えられた……」



 聞いた話では、俺は背中に翼が生え、バサッと羽ばたいたらしい。



 溶けるように服は消ていき白い布を纏った、罪人を裁く冷たい目をさせながら空中に浮かんでいったようだ。



 しかし、プツンと糸が切れるように落ちていった、そこで俺との記憶が戻ってきて体を必死に受け止めたらしい。



 元の俺に戻っていたが、さっきまでの記憶がこびりついて離れなかった、怖かった、そう言っていた。



「私を、心配させないでよぅ。う、ぐす」



「ごめんな。ちょっと焦り過ぎたみたいだ」



 涙がこぼれないように、拭ってやる。後先考えず動いてしまった。


 心配、か。姉貴と世良がいいたいことは根本的には同じなんだ。


 心の準備をさせられなかった、悪い、世良。



「これで動きは完璧! 次はお前だ、こい!」



 訓練場に備え付けられている、動くかかしを叩いた勝倉がにやりと俺を見る。



「そのつもりだ。いくぞ‼」


 

 あの構成能力者? らしい女性は、自身で刀の力を使いこなせと言っていた。



 知れば知るほど使いこなせないと思ってしまう、そんな俺の【武将刀召喚】という超能力を。



 なぜなら、いきなり力の解放をしてはまずいと思って、さっき本気で使いこなそうとしたんだ。




 でも不発。あれから、心切り(うらきり)というものが、出来ないんだ。



 実休光忠に付与された力は使うことが出来るのに。



「みろ、この独特の刀さばき!」



 やっぱり、刀の扱い方を覚えたほうがいいよ、お前。すごい適当に振っているよ~。



「キリギリス」



「はぁ⁉ お前、攻め手に悩んだ時ときにその攻撃を使うのやめろ! やめてくれぇ!」



「敵は待っちゃくれない。いかなる攻撃もさばききれる力を身に着けないとな」



 炎の衝撃波が勝倉の横や頭をかすめていく、生きた心地がしなさそうだった。



「そもそも、この二日間お前は何か成長したのかよ? 全然変わっている風には見えないんだけど⁉」



「俺は今回、オマケみたいなものだからな。今一番大事なのは、作戦の通り動いてどんな状況でも勝てる可能性を、底上げすることだ。つまりどうなるかわからないからお前を鍛えたほうが早い」



「言い訳だろおおお‼」



 あ、ついに力尽きたようだ。逃げるのを止めた。


 しょうがない、少し力を弱めてやるか。



「せめて、撃ち落せるようになってやる!」



 どうやら、二回死ねるくらいの攻撃に立ち向かうことに決めたようだ。すると、チラチラと振りかぶっているさなか、木刀から火花が漏れ出していた。



「うお?」



 こんな短時間で、武器に認め、



「ぐあぁは‼」



 後ろに吹っ飛んでいった。


 残念、見た感じ普通だったらきれいに腹が割けていただろう。木刀の力でもう回復はしているけどな。



 それにしても、何だったんだ?



「お~い、生きているか~」



 遠くから声をかける。



「はぁ、はぁ。さすがに死んだと思った。生きてる。まだ死ねないんだ、せめてラブラブジュースを恋人と一緒に分け合って飲んでみ、たい」



 ち~ん、動かなくなった。



「しょうがない、休憩するか。勝倉ぁ! 飲み物はなにがいい?」



「飲み物よりも恋人を」



 急に伸ばした手、それはバタっと地面に吸い付いていった。


 はいは~い。何でもいいのね。炭酸にしてやろう。


 訓練場から出て購買部に向かう、今、食料品を販売している生徒はいるかなぁ?  


 上級生の訓練場はこの時も便利、近くに何でもある。お金さえあれば買えないものはないらしい。


 カツ、カツっと俺は静かに歩いて目的地に向かっていた。



「こんばんは、丈」



「んん?」


 その呼び方は新鮮だった。だって、声の主は俺をよく丈様と呼ぶからである。


 暗い廊下の奥にいた人物、それはここ最近会う回数が減った、胸が成長期の女性だった。



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