第五十五節 ヒント
前回のあらすじ
九次元というパラメーター。
俺達の超能力に補正を持つ理論。
まだまだ、要研究だ。
デートクジ争奪戦で根本に行ったことを分かりやすく伝えたつもりだ。
更にどういう鍛え方をすれば次元が鍛えられるのか、やり方は人それぞれだがそれについても長谷川先生との研究である程度方法は分かることが出来た。それも、一緒に伝えることができたよ。
そうそう、先生から聞いた一昔前の基礎訓練については、ある意味正しかったということが研究でわかった。
予想した通りだ。つまり他の人の同じような超能力を受けて自分自身の力を受け止める方法だったのだ。
う~ん、そうだな。やっぱりこういう新しい発見があるから峰空高校の超能力訓練についてはあるていど先に知っておきたい、けど、やはり応用である気がする。
サッカーで例えると俺が教えているのがトラップとかの基礎訓練であるのに対し、峰空の授業で習うものは、トラップを使う前提の練習だと思う。
勘だけど、うん。
「でも、不思議だな~」
「うん? 何がですかね?」
ワンツーマンが、あと一人で終わる。
解放されることにホッとしているところだったのに。
委員長とよこしまなことをしようとしている、頭に白い二つのお団子がある女子生徒がポツリと呟いた。
いっとくけど、へんなこと言ったら帰るからな! はあ、
峰空の生徒とワンツーマンなんてしなければよかった。疲れる。
「私達の世界のことだよ? 三次元以上って、普通見えないよ?」
「そうでもないぞ?」
「……なんで?」
「そうだな。お前、紙に絵を描いたことがあるか?」
「ある。よく書いている~」
何を書いているかは聞かないぞ~。
「紙っていうのは二次元だよな。縦と横、それだけしかない。でも俺達三次元はその二次元に干渉することも出来るし、三次元を表現することも出来る。それが高次元に変わっただけだ」
この世界にあるVRフルダイブも結局は二次元にダイブしているだろ? とは俺の言葉である。
「そんな単純なのぉ? それじゃあ、私達は紙に絵を描きたいという目的があるけど高次元でなんでもできるんでしょ? 次元が超能力なら私達の三次元はどういう理屈で存在しているんだぁ‼」
ビシッとDJのようにヨォ! と、肩幅にだらりと両手を上げて俺を指さす。
「……これは、予想だ、絶対に長谷川先生に話すなよ」
「え、なにこの空気、友達の女を奪った雰囲気です」
「やっぱりやめた」
「ご、ごめんなさあぁい! 聞きたいです。とても、とてもです!」
「はぁ。三次元にあるものは四次元にもある、それは確かだろう。でも、最効率かどうかはわからない」
「そ、その心は? ゴクリ!」
「石油を例に出すぞ。四次元は超能力があるから石油を精製できるだろう。でも、それは本物じゃない。人間、本物じゃないと科学的発展が緩やかになるんだ。だから本物を直に感じさせるために、三次元で暮らし始めたのかもしれない。三次元になれる自分の子供のために、とかな」
これに気づいて、当時中学一年だった俺は怖くなったんだ。そして、研究を辞めた。
あれ、そうだ。そうなんだ!
今の俺は、これ以上もっと刀の力を引き出さないかぎり強くなることは出来ないだろう。
しかし、この理論で行くと俺の体は四次元にもあるかもしれないのだ。
そこから、四次元の人間として一時的に自分から力を引っ張ってこられないだろうか?
「ナイスだ! お前のおかげで、ヒントをつかんだよ! さすが、目の付け所が違うな!」
「え、ええ~。ヘビーな話をされた相手から感謝された~。私は受け止めるのに必死なんだよぉ⁉」
頭を抱えてくらくらしている。今にも蒸気機関車のような煙が出そうだ。
「何か、お礼をしないとな。そうだ。ジュース一本ぐらい」
「委員長を下さい、お兄さん!」
うそん、一瞬で元に戻った、目をキラキラさせて俺に頭を勢いよく下げている。
ブレないなあ。もう、勝手にしてくれ‼




